老化細胞をキメラ抗原受容体T細胞で除去~癌や肝線維症のマウスに有効
提供元:Biotoday.com
老化細胞の蓄積は炎症を許して組織を傷め、肝臓や肺の線維症・動脈硬化・糖尿病・変形性関節症等の温床となります。
マウスの損傷組織から老化細胞を省くとそれらの病変の症状が治まり、生存すら延長することが分かっています。
老化細胞の除去に免疫細胞が携わっていることを示した10年ほど前の報告(1)に着想を得た新たな研究の結果、ヒト臓器の殆どには認められないか僅かで老化細胞では豊富に発現している膜貫通蛋白質・uPAR(ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ受容体)を認識するキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞(CAR-T)で老化細胞を首尾よく一掃しうることが示されました(2)(3)。
前癌細胞は老化し、多くの抗癌剤は腫瘍細胞の増殖を止めるためにそれらを老化させます。uPAR標的CAR-Tは老化前癌細胞/癌細胞を除去し、肺癌マウスの生存を改善しました。
老化細胞の相手もすることで抗癌治療の効果の向上を目指す取り組み(4)は理にかなっているようです。
uPAR標的CAR-Tの用途は癌だけに留まらず、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を模すマウスの肝線維症がuPAR標的CAR-Tで改善することも確認されています。
今後の課題の一つとしてヒトuPARを標的とするCAR-Tがマウスと同様の効果を発揮するかどうかを調べる必要があります。
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