流行初期の新型コロナウイルス1群と2群のうち1群のみ武漢市海産物市場と関連

提供元:Biotoday.com

中国武漢市の海産物市場は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源ではなさそう。流行初期の新型コロナウイルス1群と2群のうち1群のみ武漢市海産物市場との関連が示され、2群は関連せず。また、1群と2群のCOVID-19重症度に差は認められず。

今年2020年2月に医療機関を受診した中国上海の患者から採取した検体中の94の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ゲノムを解析し、他のデータベースGISAIDの情報も含めて検討したところ、これまでの報告でも示されているように中国での流行初期に出回っていたSARS-CoV-2は2つの遺伝子・ORF8とORF1abのヌクレオチド2つの違いにより1群(clade I)と2群(clade II)の2つに大別され、1群のみSARS-CoV-2感染(COVID-19)流行の発祥地と考えられている武漢市海産物市場起源の感染例と関連し、2群とその市場との関連は認められませんでした。

今回の結果は、武漢市海産物市場は目下のCOVID-19流行の起源ではなかろうという考えを支持しています。

1群と2群はその市場に至る前の共通するウイルスから発生して1群の方は市場を経由、2群はそれ以外を経由して広まったようです。

また、ヌクレオチド僅か2つの違いないので驚くことではありませんが、1群と2群が引き起こすCOVID-19の重症度に差は認められませんでした。

その代わり、ウイルス自体ではなくその感染先である我々ヒトの免疫系の要素に目を向けたところ、血中のCD3+T細胞が乏しくて炎症促進サイトカインIL-6とIL-8が多いほどより重症と分かりました。血中のCD3+T細胞の欠乏は恐らく感染組織への動員によるのでしょう。

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