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『いくつ時を重ねても』作 沖ママ

こんな恋もある
出会いは 突然に
数百年の時を超えて出会った2人
漫才のような、笑いが絶えない
そんな2人の間に変化が訪れる
『告白』『恋文』『辞世の句』

辞世の句から始まり転生
からの覚醒。そして恋。

和也(かずや) : 男性
綾美(あやみ) : 女性

『いくつ時を重ねても』作 沖ママ

女《辞世の句 モノローグ》
気(き)も凍(こお)る霜月(しもつき)の
過(す)ぎし日々(ひび)は早馬(はやうま)か
見上げる空は睦月(むつき)なりけり

男《辞世の句 モノローグ》
交わす文(ふみ)の応文(おうぶん)や
幾(いく)ばくの文字が呼応(こおう)せんやと
早(はや)る紅葉(こうよう)見ずともとて
染(そ)まる頬(ほほ)の可愛(かわい)からずや

和也
「あ~や~み~!」

綾美
「あ、和也だ。」

和也
「な、なんだよ。その、あ~面倒臭いの来たな~ど~しよっかなぁ~。相手しなきゃダメなのかなぁ。みたいな感じ!」

綾美
「いや、だって、ねぇ……。」

和也
「え、何?ホントにそう思ってんの!?う、嘘でしょ!?冗談……だよね?」

綾美
「……はぁ。。。」

和也
「マジかぁ……ショックだわ……。俺、帰るね……。」

綾美《独り言》
「あ~、ちょっと……あからさま過ぎたかなぁ。ま、仕方ない……よね。帰ろ……。」

和也《独り言》
「綾美のやつ、あんな態度取らなくったっていいじゃんか。何だよ。俺、振られちゃったのかなぁ。」

綾美《独り言》
「そもそも、和也が悪いのよ。そうよ。そうだわ。きっとそう。今度会ったら許さないんだから!」

和也
「へぇ~、誰を許さないって?」

綾美
「そりゃもちろん和也よ和也。って和也!?あ、あんたなんでここに!?」

和也
「何でって帰る方向一緒じゃねぇかよ。綾美、どうした?今日なんかおかしくないか?」

綾美
「か、和也こそ!今日どうしたのよ!?何かいつもより優しい感じだし、その……。」

和也
「何だよ?言ってみな?」

綾美《照れながら小声》
「いつもよりカッコイイ……。」

和也
「え?何だって?聞こえなかったからもう1回言って。」

綾美
「はぁ!?何でまた言わなきゃいけないのよ!?」

和也
「聞こえなかったんだよ。だから、もう1回。」

綾美
「わ、分かったわよ。言えばいいんでしょ!言えば!……ちょっと近くに来なさいよ。」

和也
「ん?このくらい?」

綾美
「もっと……。耳、貸してね。1回しか言わないんだから、ちゃんと聞いてなさいよ?」

和也
「あぁ、分かった。」

綾美《大きな声で》
「和也が好きー!」

和也
「わ、綾美!?バ、バカ!耳!耳がぁぁぁ!」

綾美《走り去る》
「和也のバーカ!バーカ!」

和也《綾美を追いかける》
「綾美!ちょっと待てって!綾美!」

綾美《和也から逃げながら》
「だーれが待つもんですか!乙女に恥ずかしいこと言わせておいて!サイテー!」

和也《綾美に追いつく》
「俺の!俺の話を聞け!」

綾美《和也に捕まる》
「きゃっ。」

和也《綾美を抱きしめながら息を整える》
「はぁはぁ、綾美。」

綾美《照れる》
「か、和也。ちょっとこれは……恥ずかしいって。……ねぇ和也、聞いてる?」

和也
「あぁ、聞いてる。でもな、今日はいつも通りには行かねぇぞ。」

綾美
「……和也……。」

和也
「俺はな、綾美の楽しそうに話すのを聞いているのが好きなんだ。楽しそうに笑う綾美を見ているのが好きなんだ。俺にとって綾美は、そういう存在なんだよ。綾美の声を聞いていたい。綾美をいつだって見ていたい。」

綾美
「和也……。それって、もう告白してるようなもんだけど……。」

和也
「俺は綾美が好きだ。」

《間を開ける 2~3秒》

綾美《辞世の句 モノローグ》
気(き)も凍(こお)る霜月(しもつき)の
過(す)ぎし日々(ひび)は早馬(はやうま)か
見上げる空は睦月(むつき)なりけり

《間を開ける 1~2秒》

和也《辞世の句 モノローグ》
交わす文(ふみ)の応文(おうぶん)や
幾(いく)ばくの文字が呼応(こおう)せんやと
早(はや)る紅葉(こうよう)見ずともとて
染(そ)まる頬(ほほ)の可愛(かわい)からずや

《間を開ける》
《場面転換》

綾美
「か~ず~や!」

和也
「ん?……なんだ綾美か。」

綾美
「ちょっと、何よその反応は。また昨日、何があった~とか、ど~でもいい話しに来たとか思ってるんでしょ?どうなのよ?」

和也
「いや、だって、ねぇ……。」

綾美
「え、何?ホントにそう思ってんの!?う、嘘でしょ!?冗談……だよね?」

和也
「……はぁ。。。」

綾美
「うわぁ……ショックだわ……。私、そんなふうに思われてたんだ……。はぁ……。帰ろ……。」

和也
「あれ、俺ヤバイこと言った!?え!?綾美!綾美ー!」

綾美
「何よ、和也のばーか!」

和也
「綾美ー!ちょっと待って!」

綾美
「誰が待つもんですか!」

和也
「また人通りの多い場所で告白させるつもりか!?」

綾美
「あ、あれは和也が!って、私だって告白したんだからね!?」

和也
「あ、そっか。それもそうだな。」

綾美
「もぅ、和也のバカ。」

和也
「さ、行こうぜ。俺たちの恋はこれから始まるんだから。」

綾美
「和也、さっきから私たち何を話しているのかしら?」

和也
「さぁな?DD(ディーディー)なんだろ、きっと。」

綾美
「DD(ディーディー)??」

和也
「DD(ディーディー)。どんな時でも、大好きだ。」

《間を開ける》
《時間経過》

綾美《ナレーション》
「恋も愛も、幾(いく)年月(としつき)。」

和也《ナレーション》
「どれだけ時を経ても尚、変わらないと信じている。」

綾美《ナレーション》
「悠久(ゆうきゅう)の時を漂い、時代の荒波に流されてもきっと。」

和也《ナレーション》
「再び出会い、愛し合えると信じている。」

《間を開ける》

綾美
「ねぇ、ちゃんと聞いてた?じゃあ、どう思う?」

和也
「ん、っと。えっと……。」

綾美
「ほら。答えられないってことは、ちゃんと聞いてなかったでしょ?女のコはね、ただ黙って話を聞いてくれるだけで良い時と、そうだよね、って共感してほしい時があるの。」

和也
「まぁ、うん。そうだよな。」

綾美
「でもね、一番は、私もあなたの声を聞きたいの。だから、聞かせて欲しい。あなたの声を。」

和也
「綾美……。こうして抱きしめてるとさ、すげぇ安心する。」

綾美
「和也……。ってそうだわ!ちょっと和也、恥ずかしいから!」

和也《最後ため息》
「そ、そうだな。ここ、外……だもんな。ま、まぁ誰も俺たちの事なんて見てないと思うけどさ。う、うん。恥ずかしいよな。アハハ。……はぁ。」

綾美
「ねぇ、何かさ。和也とはずっと前から知ってた気がする。」

和也
「綾美もそう思う?俺もそれ思ってたんだよね。」

綾美
「和也も?私たちの過去に何かあったのかもね。」

和也
「それならさ、調べてみないか?俺たちの過去を。」

綾美
「え?そんな事、出来るの?」

和也
「出来るかどうかなんて、分かんねぇよ。でもさ、面白そうじゃん?」

終わり


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