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『赤く染まる』 ホワイトデー声劇 準決勝用ハッピーエンド 『赤』想定3分

『赤く染まる』 作 沖ママ

女《ナレーション》
「2月14日、バレンタイン。その日は世界中が赤く染まる日。ランチもディナーもお菓子だって赤く染まる。」

男《モノローグ》
『俺はその日をただ、眺めていた。いや、眺める事しか出来なかったのだ。』

女《人混みをかき分けてくる》
「すみません!すみません!」

男《モノローグ》
『仕事も終わり、帰ろうとしたところで、ある1人の女が俺の前で立ち止まる。』


「あ、あの!これ!」

男《モノローグ》
『女が差し出したそれは赤い包装紙(ほうそうし)でハートが無数に描かれた、いかにもなものだった。』


「受け取って……もらえますか?」


『あ、あぁ。ありがとう。……あ、君!』

女《モノローグ》
「受け取ってもらえた!私はその場を逃げるように走り去った。」


『あれから1ヶ月。早いものだな。』


「今日はホワイトデーか。彼は私の事、どう思っているんだろう。」


『あ、君!』


「えっ……。あっ。」


『仕事終わり?』


「はい。今から帰ろうかなと。」


『そうか、良かった。君に渡したいものがあるんだ。少し、いい?』


「えぇ、少し……なら。」


『先月、君にもらったからさ。ほら、バレンタイン。で、今日はホワイトデーだから。』


「はい……ありがとうございます。」


『俺からの……受け取ってもらえるかな。』


「……はい。……えっ、これって……。」


『君にもらったチョコレートの包装紙(ほうそうし)を、封筒(ふうとう)にしてみたんだ。中のものは、その……。後で見てくれると嬉しいかな。』


「はい。帰ってから見させてもらいますね。それじゃ、私はこれで。」


『ああ、お疲れ様。また明日。』

女《モノローグ》
「私がプレゼントしたチョコレートの赤い包装紙(ほうそうし)。ハートが無数に描かれた、可愛らしいデザイン。まさか手紙の封筒になって返ってくるとは。」

《数日後》


『あれは流石に、ちょっとヤバかったかな。』


「ふふふ、あんなお返しは初めてでした。嬉しかったですよ。」


『そうか、なら良かった。今度さ、行ってみたいところがあるんだけど、どうかな?』


「えぇ、喜んで。」

男《モノローグ》
『今年のホワイトデーはこれまでの人生で1番赤く染まる。』

女《モノローグ》
「今年のホワイトデーは初めての赤いプレゼント。」


『さぁ、行こうか。』


「ねぇ、私も行きたいところ、あるんだけど。」


『ん?どこ行く?』


「えへへ、秘密。」

終わり

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