見出し画像

オオカンガルー個体ニャーゴについて

初めまして。ブログを読んで頂いてありがとうございます。
先ずはオオカンガルーのざっくりとした生体の説明をさせていただきます。オオカンガルーはオーストラリアに広く生息しており雄雌を含めて体長150㎝~85㎝、尻長75㎝~100㎝。
体重は25㎏~80㎏と雄雌でも個体差はかなり差があります。
有袋類の中ではアカカンガルーと共に最も大きいです。
カンガルーといえばお腹の袋。
これは育児嚢と呼ばれる子育てのための袋です。
カンガルーは雌が子育てをするため、育児嚢は雌にしかありません。
よく、カンガルーはみんな袋があると思われがちですがそうじゃないんですね。
後、もう一つカンガルーの大きな特徴といえばジャンプですね。
通常個体では前方への跳躍が最大で8mにも達します。
また、真上への垂直のジャンプはアカカンガルーでは183㎝も跳躍した記録があるようです。
実体験の話ですが、沖縄こどもの国のカンガルー、生一はまだ若い個体で体も小柄ですが、お客様の大きな声に驚いて、僕の真横で垂直に僕の頭の高さまで跳ね上がったのを見たことがあります。
僕の身長が174㎝あるので約、170㎝くらいはジャンプしていたことになります。
間近でその跳躍力、そのパワーをみせられると、やはり油断はできないなと思うばかりです。
因みに、普段はそんな跳躍をみせることはありません。
それほどまでに身の危険を感じたり、パニックに陥った時に魅せる野生の力なのです。
ですがその有り余る力で柵に衝突したり、個体同士で衝突したりして怪我をしてしまうことがあります。
そんなことにならないためにも、このブログを読んで頂いてる方もカンガルーを驚かさないように優しく見守っていただけると嬉しいです。

カンガルーについて簡単に知ってもらったところで、ここからは僕の大好きなカンガルー、ニャーゴについて書かせてもらおうと思います。
ニャーゴは高知県にある、のいち動物公園で生まれ、沖縄こどもの国には2017年3月14日に来園しました。
2012年2月24日生まれの雄で今年で9歳になりました。
飼育下では寿命が15年~20年くらいなので立派に成熟した雄になりますね。現在、体重は50㎏、体長は70㎝尻尾は1m。
沖縄こどもの国のカンガルーの中で一番大きな個体です。
カンガルー自体、大体は憶病な性格ですが個体差によってはちょっとのことでは全く動じないものもいます。
ニャーゴがそうです。
人を恐れずにぐいぐい餌をもらいに(奪い)きます(笑)。
その人馴れしたところが人懐っこくとても可愛いところでもあり、油断してはいけないところでもあります。
普段は穏やかなニャーゴもお腹が減っているときは猛獣のように唸ったりひっかいたりします。
そんな時は近寄らないか速やかに餌を与えるかしかありません。

そんなニャーゴも弱点があります。
なんだと思いますか?
自分よりも大きな生き物?
それとも小さなゴキブリ(笑)?
弱点というと語弊があったかもしれませんね。
実はニャーゴには撫でられると身体の力がぬけちゃう場所があるのです。
それは人間でいうところの胸筋のあいだ。
そう、胸の谷間です!
ちょっと機嫌の悪い時でも胸筋の間を撫でられると脱力状態となり顔も緩んでしまいます。
さっきまで唸っていたのに。
触り方にもこつがあって(変な意味にとらないでくださいね)脇の下から胸の間をゴシゴシしてあげると直立していた上半身がいっきに垂れ下がり地面すれすれまで脱力してしまいます。

気持ち良いのかくすぐったいのか何とも言えない表情をみせてくれます。

ただ毎日これをやると慣れちゃって効き目が薄い時もあるので、このなでなでは頻繁にはやらずここぞという時にやります。
多少の機嫌の悪い時や興奮状態の時など、治療が必要で投薬する時などですね。
落ち着かせて他の個体を怪我させない、ニャーゴ自身も怪我をしない為の抑止力となっています。
また、投薬の時には警戒されない為、安心させるために行います。
効果は抜群ですが、流石にあまりにも興奮しているときはこちらが怪我をしてしまうので近寄れませんが。。。
そんな時はこちらが折れてニャーゴが落ち着くのを待ちます。
時間が解決してくれる場合が多いです。
僕がニャーゴのことが大好きなのは、和ませてくれる表情や性格の半面、時折みせる野生の顔なんですね。
飼育員なりたての僕には大切なことを沢山教えてくれる先生みたいな存在です。
今回はカンガルーのニャーゴについての魅力を紹介させていただきました。まだまだ、ニャーゴ、カンガルーの魅力は語りつくせませんが、またの機会に深くお話をしたいと思います。
その際は是非お付き合いいただけたら光栄です。

※このブログは、2021年11月に沖縄こどもの国ゆんたくコミュニティにて掲載されたものを再掲しています。