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介護認定調査&審査とリハ専門職 2022

介護保険を利用してサービスを導入予定の方、結果を心待ちにしていたけど、期待していた介護度ではなかった…という経験はありませんか?

このnoteでは、どのような情報を提供する必要があるのか?ということについて記載しました。

適宜、加筆・修正します(最終更新日2022/3/27)



介護保険制度とは

2000年(平成12年度)からスタート

40歳以上は、介護保険の被保険者、介護サービスを利用できます。

40~64歳までは、特定疾病により介護認定された場合、サービスを利用できます。

65歳以上は、市町村(介護保険の保険者)で介護認定された場合、サービスを利用できます。

リンクは厚生労働省のホームページです、ご参照ください。


介護給付と予防給付

海中道路

介護サービスには介護給付(要介護1~5)と予防給付(要支援1・2)があります。

2015年(平成27年度)から介護保険の予防給付の一部が総合事業に移行され、市町村の事業として実施されているのをご存じですか?


リンクは、総合事業を含めた地域包括ケアについて記載したnoteです。前述の内容が含まれていますので、ご参照ください。


サービス利用までの流れ

那覇市役所

①市町村の窓口へ申請

②市町村職員などによる聞き取り調査(認定調査)
 主治医意見書が必要

③コンピュータによる一次判定

④介護認定審査会(合議体)による二次判定
 介護の手間を考慮して判定
 疾患および重症度と一致しないこともある

⑤市町村が要介護度を決定
 認定の有効期間は原則と状況によって色々

⑥ケアプラン作成
 要介護1以上:居宅介護支援事業者
 要支援1・2:地域包括支援センター

④について
例えば「がん疾患」の末期である、と記載されていてもどのような介護の手間があるのかは判断しようがありません。


リンクは厚生労働省のホームページです、ご参照ください。


介護認定調査

research

市町村職員などによる聞き取り調査(認定調査)

どの調査員であっても、だいたい同じ結果になるように、認定調査テキストのマニュアルに従って調査されます。

そうはいっても人間ですから、マニュアルとは違うこともやってしまいます。その点については、市町村(保険者)や介護認定審査会がダブルチェックします。

調査項目は大きく分けて3種類
①能力で評価する調査項目
②介助の方法で評価する調査項目
③有無で評価する調査項目


リンクは厚生労働省のホームページです、ご参照ください。
PDFは認定調査員テキスト(令和3年度4月改定)

https://www.mhlw.go.jp/content/000819416.pdf


介護認定審査会(合議体)

介護認定審査会は、いくつかの合議体で構成されています。

市町村によって数は異なりますが、1つの合議体の人数は、保健医療福祉の学識経験者5名程度です。


合議体では

一次判定の続きとして
STEP1:一次判定の修正・確定

コンピュータによる一次判定は、過去に約3500人を対象とした調査結果を分析し、ロジックと呼ばれる樹形モデルを構築、そこから導き出される点数で判定されています。


二次判定
STEP2:介護の手間にかかる審査判定
STEP3:介護認定審査会として付する意見

という流れで介護度を認定します。

特にSTEP2が重要です。
一次判定の点数を決定するロジックには関係ない情報ではあっても、二次判定で「介護の手間」として検討される情報は、調査員へしっかりと伝えることで、適切な審査に繋がりやすくなります。


リンクは厚生労働省のホームページです、ご参照ください
PDFは認定審査会委員テキスト(令和3年度4月改定)

https://www.mhlw.go.jp/content/000819417.pdf


介護認定調査×リハ専門職

canva.com

リハ専門職は、対象者と関わるなかでたくさんの情報を持っています。その中から必要なのは「介護の手間にかかる情報」であり、調査員は「特記事項」として記載しています。


前項で記載している
STEP2:介護の手間にかかる審査判定

調査マニュアルに従って記載されただけのものでは、申請者の細かい情報は伝わりません。特に、介護者がどのようなことを手間であると感じているのか?これを一緒に考えてみましょう。


調査項目は大きく分けて3種類
①能力で評価する調査項目

できる or できない を評価している
この項目には努力は反映されない


「寝返り」ができる
  褥瘡があるので2時間毎の体位変換が必要?

「起き上がり」ができる
  座位から臥位には介助が必要?
 
「歩行」が何かにつかまればできる
  日頃はできない、なら「できない」が正解

 

②介助の方法で評価する調査項目

介助が行われている状況が反映される
より頻回に見られる状況が優先される
この項目に努力は反映されない
手間や介助量は反映されない


「洗身」が一部介助
  ストレッチャー2人介助?
  促しに対する拒否が強くて大変?

「移乗」が一部介助
  2人介助?
  体重は重くない?

「移動」が自立
  屋外の移動の介助は?
  玄関の段差昇降の介助は?
  入院中は車いす、自宅では?
  歩行できる距離は?

「食事摂取」が一部介助
  最初の数口は自己摂取、あとは介助?
  食事の介助は10分?30分?
  朝と昼で介助量は?

「排尿」が一部介助
  2人介助?
  床に尿が飛び散るので清掃が必要?
  日中は自立、夜間は一部介助?
  頻尿?


③有無で評価する調査項目

麻痺等・拘縮の程度は反映されない
BPSDの程度は少しだけ反映される
手間や介助量は反映されない


「拘縮」がある
  股関節の外転が困難で更衣の介助量は?

「昼夜逆転」がある
  家族も対応するので眠れない?

「一人で外に出たがる」がある
  スタッフが24時間予防しているだけ?

「自分勝手に行動する」がある
  物を投げる、壊す、それって性格?
  通所で入浴の順番が思い通りにいかず怒る?
  大音量でTVを見る、周囲への迷惑は?  


いかがでしたか?
調査員の記載する「特記事項」の重要性が伝わったでしょうか?

補足として、疾患および重症度を反映することは難しいため、それらによってどのような介護の手間に繋がっているのか?を伝えましょう。


余談

この2年ぐらい、市町村は臨機応変な対応を求められる状況にありましたが、その中でも得るものはあったと思います。今後は、さらなるスムーズな介護保険認定審査に向けてAIの導入について議論が進められるようです。

いつかは審査会委員は不要になるかもしれませんね…

これまで学んできたこと、これから学んでいくことをnoteを活用して表現したいと考えています。地域視点からの集中治療領域のOTをよろしくお願いします(^-^;