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BestBoardGames2019.


気づけば2019年も終わり、2020年を迎えました。
信じられないくらい速度で時が過ぎ去ってしまい動揺してしまいますが、昨年はボドゲに限らず各ジャンル良き出会いが多く、目まぐるしく推せた1年でした。

今年はもっとアウトプットできたらなぁと思いつつ、まずは昨年のベストゲームたちを振り返っていきたいと思います。
遊ぶ回数こそちょっと減りましたが、新旧織り交ぜて良いものに当たることが多かった印象。
前年は軽ゲー無双でしたが、今回は重ゲーや中量級も負けじと強かった!

今回も10個などとは言わず、心に残ったやつは全部行きます。がんばるぞ。



【軽量級】

・愚かな牛(Blöde Kuh)

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上半期大活躍だったこれから。
ドライハーゼンらしい可愛いイラストのシンプルなゴーアウト。

失点を押し付けるよくあるタイプだけど、その失点が「回る」のが面白い。
効率よく手札を無くそうとすると、自分に厄介者が回ってきてしまうかもしれない分かりやすいジレンマ。
かといって手札が残り過ぎてしまうと、それはそれでマイナスなので、どちらを取るのか悩ましい。

想像以上のスピードでぐるぐる回って、どこかでピタッと止まるのが可笑しいです。この感覚はククに似てるかも。
人数は6人までと使い勝手良し。
ここまでシンプルなゲームがまだ出てくること自体に感動しちゃう。持ってて損なし。



・ベルラッティ(Belratti)

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感性を使ったゲームはDixitに始まり、昨今名作がそろい踏みでしたが、その中でもテーマの再現度が素晴らしかった今作。

曖昧な指示の中、なんとかひねり出した作品があっさりばっさり叩き切られる中、無表情で待たされるのがほんと痛快。それ故に人は選びますが、何人でも面白いポテンシャルは名作の証。

友人の、パーセンテージで自信度を表明するヴァリアントがとてもよいので是非やってみてください。



・クレイジートースター(Crazy Toaster)

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レバーをポン!
飛び出すパン!
そいつを掬うはフライパン!

一家に一台はあるはずのクレイジーなおもちゃ。謎のギミックで飛び出すトーストカードをフライパンで受け止めるんだけど、すんげえむずい。3枚位取れたら自分を褒めていい。

ひたすらキャッチーな見た目とゲーム性なので、オープン会でやれば注目を浴びること請け合い。非電源でよくぞここまで。
子供も大人もマストバイな一作です。



・ピクショナリーエアー(Pictionary AIR)


打って変わって、こちらはめっちゃ電源を使う。付属のペンは電池入れるし、スマホのアプリで撮影をしなければならないという、現代のテクノロジーに身をゆだねている作品。

ライト入りのペンを光らせながら空中に絵を描き、それをリアルタイムでチームメイトに当ててもらう。制限時間内にいくつ答えられるかな?

自分では描いているものが見えないので、思い切りよく描いて、あとはジェスチャーで何とか!
表現の懐が広いところが好き。無理じゃろ……ってやつも案外当ててもらえる。

苦手な人はどうしても苦手だろうけど、当てるだけならばひたすら楽しいので、安心して変なポーズできる場所でお試しあれ。



・ドリームオン!(Dream On!)

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抱腹絶倒という言葉が現世へ受肉したものがこれ。
あまりにもツボに入りすぎてしまい、呼吸困難で死にかけて以来遊べていない個人的いわくつき。

ストーリーメイキングゲームなので、得手不得手が出るタイプかな?と思いきや、とにかく早く多く出すのが目的のため、凝った設定なんて作ってられません。
猫がドラゴンになるし、脈絡なく家が爆発するし、急にどこかのパンダが主人公になるしパンツは乱れ飛ぶ。そう、それがドリームオン!

しかしこのゲームの肝は、めちゃくちゃに積み上げられた物語を「順番に思い出していく」というところ。これをしてようやく得点になります。

複数人でやっていると意外となんとかなってしまうもので、人間の記憶力のすごさを実感できますね。つぎはぎの記憶でもつなぎ合わせればワンピース。

物語を作るのが苦手な人でも、記憶するという役割があるので、わりと万人にお勧めできます。ただ、笑いのツボがずれていると、もにょもにょした場になるのでお気を付けて。



・リッチモンド貴婦人(Lady Richmond:)

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リプレイ再評価枠その1。
数年前に始まった通称「大人HABA」の最初期に出されていた競りゲー。

当時はあんまりぴんと来なかった本作。
久々にやったら面白いじゃーん!
単純な競りにめくりと反射キャッチを混ぜて、パーティー仕様に。でもその要素がかなりうまく機能してて、このゲームならではの戦略性が生まれている。素敵。

その時のメンバーで相場観が生まれ、それにランダム性が乗っかって、毎回違う展開になるのが面白い。ガチガチに遊べるわけではないけど、競りを競りらしく、でも面白おかしく遊べるのは貴重なんじゃなかろうか。

世間の評価はさほどでもないので、お安く売ってると思います。ぜひバイ。



・ラマ(L.A.M.A.)

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今年のSDJノミネートツィア。
単純なゴーアウトで、なんでこれがノミネート……?と初めは疑問でしたが、いやこれがまた噛めば噛むほど味が出る。

そもそも2000年も20年経つってのに、単純なゴーアウトがまだ出るのがすごい(2回目)。説明は簡単だし、悩みどころも分かりやすい。
意外と戦略を考えられる部分がありつつ手札運は大きいので、それなりに考えた気持ちとテンポが両立して遊べるのが最大の魅力。

手なりに感じてしまう人にはつらいゲームだけど、ノれちゃう人はゴリゴリ回せる使い勝手の良さ。ウノに替わって定番ゲームになるといいね。



・ジャスト4ファン(Just 4 fun)

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なんで手に入りにくいのか理解に苦しむ最高のゲーム。
マスに書かれた数字に合うように手札を足し算して、コマを置いてく四目並べ。でも他の人も置けるからちゃんとマジョリティ取らないとダメ!
2個差を着けられると置けなくなるルールがピリッと効いてる。

ガチになり過ぎないしテンポよく遊べて考えた気になれるゲームとか楽しくないわけない。
ほんとオセロレベルで普及していいと思うので日本語版か流通をですね!!!!!



・あのアレなヤバイ動物


普段同人ゲームはあんまり遊ばないんですが、ワード系は例外で大好きなんですよね。その中でもこれは特に良かった。

語彙力がなくなり特定の言葉しか喋れなくなった探検隊が、発見した動物をなんとか研究員に伝えようとするという設定。
正直基本だけだったら微妙だったんですが、ワインソムリエ拡張がめちゃくちゃ良かった。
設定とは?って感じだけど、豊潤かつ貧相な語彙で動物を表現するのが面白すぎる。
繰り返しやるとその場での共通言語が醸成されて、その後普通の会話でも使われちゃうのが味わい深いですね。白ワイン。

質問によってはすぐ正解にたどり着けてしまう場合があって、そこはちょっと残念かな。
でもそこを気にするようなゲームでもないので気楽にやればOK。慣れたら自分たちでお題を作ってもいいかもですね。



・ノーリターン(No Return)

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ひっそり出てたエッセン新作。
ミニマムだけど割とズッシリなコマと色合いが可愛い。

色毎で降順に並べたコマを、色毎で集めたコマの数字で得点化していく。
この収集と得点化がフェイズで分けられてて、一度得点化を始めると収集には戻れない仕組み。ノーリターン。
コマは使った分を随時袋から補充していき、それが枯れたらゲーム終了。

この終了タイミングの見極めが肝。
フェイズ移行が早すぎると得点が伸びないし、得点化できなかったコマは失点になるので集めすぎるのもよくない。
そうやって夢中になって集めてるうちに、ふと、いつの間にか袋が軽くなってるのに気づく。そのタイミングがめっちゃ焦るし楽しいんですよね。

馴染みあるシステムをちょっといじって、上手いことコンポーネントに噛み合わせてますね。
一部色の視認性が悪いのだけが残念だけど、説明もプレイもササっと終わってかつ満足感もあって重宝してます。




【中量級】

・キーフロウ(Key flow)

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Keyシリーズに中量級が!
傑作であるキーフラワーをドラフトゲームにアレンジした今作。元作のエッセンスをこれでもかと盛り込みつつ、根幹のシステムであった競りを無くしてしっかり別ゲーに仕上げてます。

カードは建物・資源・船・ワーカーに分かれているんですが、このワーカーの存在がドラフトとしては大きな特徴。村の発展のため建物を置くのか、それともアクションに手札を使うのか。隣の村の建物も使える場合があるので、流すカードがことさら悩ましい。しかも、ワーカーは使われた村で回収され、得点源になりうるので、その辺りのジレンマも良く利いています。

一度ルールがわかってしまえば、1時間で終わる収束性。人数も6人まで出来て面白さを損なわないので、まさに中量級の入り口にピッタリ。
なんとなーくキーフラワーやった感も味わえるので、前段としてプレイするのもいいかも?
もっとやりたい。



・クルセイダーズ
(Crusaders: Thy Will Be Done)

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昨年の中量級の中でも出色の出来ではなかろうか。マンカラを使ったアクション選択が悩ましく心地いい陣取りゲーム。

そもそもマンカラの管理が難しいところなんですが、実質手番パスであるコマ調整アクションにタイル強化を割り当てたことで、だいぶ遊びやすくなってます。

盤面をガンガン占拠していき、その度能力も上がっていくパラメータ要素も大変おいしく、色合いも華やかでコンポーネントも素敵。テーマこそとっつきづらいかもしれませんが、そこまでゲーム慣れしていない人でも案外入りやすいシステムなので、是非一度は遊んでほしい傑作です。



・スマートフォン株式会社
(Smartphone inc.)

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世界にスマホを売りつけろ! 
プロットで経済ゲームなんて出来るんか…?と思ってたけど、見事に分かりやすくかつ濃厚に仕上がってました。

スマホ風なコンポーネントは可愛く、またそれを上手いことシステムに落としてるのが好き。
結構バチバチな陣取りとマジョリティ、能力解放の組み立て方など考えるところはいっぱい。でもやることはアクションポイントのプロットだけなのですっきりしてる。

あんまり流通してないのと、物理的にめっちゃ重いこと以外は素晴らしい作品。



・ツイクスト(Twixt)

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やっとかよ!って言われそうだけど、ツイクスト触れました。
ド名作じゃん………。

ランドルフ翁が囲碁から着想を得て作ったコネクトゲーム。囲んで陣を作るわけではなく、ペグ配置からのライン構築によって対面を線でつなぐ。このコネクタの長さが絶妙で、思わぬところからいきなり繋げられてしまい、ピンチとチャンスが行ったり来たりするドラマティックな展開が起こります。慣れたらさらに景色変わるんだろうな。

アブストラクトはそこまで得意ではないですが、このジリジリとした面白さはたまらないですね。権利関係で揉めにもめててなかなか正規品が手に入りにくいままなのが残念。
カフェなんかには置いてあることが多いので、ぜひ吹き出す脳汁を体感してほしいです。



・アンロック!(Unlock!)


謎解きゲームの金字塔。
1作目をいつやるか誰とやるか、と機会をうかがったまま遊べない日々を過ごしていたところ、友人からプレイ済みの物を全部譲ってもらうことが出来たので、大手を振ってプレイできるように。

昔懐かしい正に「脱出ゲーム」なシステムで、番号辿っていくだけで楽しい。かつ謎解きもしっかりあるので満足度高し。
スマホを補助に使うことで、テーマごとにいろんなギミックを仕込んでくるので飽きませんね。

ただ、その分それぞれの話で合う合わないは強く出る印象。あと日本だと理解しにくい謎もあったりするので、その辺は割り切る必要があるかも。
わかんない時は躊躇なくヒント見よう。

まだ☆3つの高難度は挑戦していませんが、今のところシェヘラザードが一番好き。
評判のいいホームズとかも楽しみだな。



・ビール侯爵(Fürstenfeld)

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ボードゲームを始めた頃から名前を見てはいたものの、自分で買ってプレイするまで遊んでいるところを見たことがなかった、フリーゼのデッキ構築。

原材料の拡大生産ラインを作りつつ、自分の土地に宮殿を建て切るのを目指すんだけど、畑も宮殿も、置けるのは共通の狭い盤面なのが悩ましい。
一度宮殿カードを流してしまうと巡ってくるまで時間がかかるし、かといって手札を圧迫されるのもしんどい。
それを補助する建物もたくさんあるけども、結局いつかは潰す運命。
フリーゼらしい辛い味付けがたまんないです。

やー、ほんと遊ばれてなかったのが不思議なくらい面白いですよこれ。1時間に収まるのも優秀。いいじゃん。

あと少し箱が小さければ、もっと遊ばれてたんじゃないかな。今遊んでも楽しいので、機会あれば触ってみてくださいね。



・トレインズ(Trains)

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国産逆輸入なデッキ&ネットワーク構築。
話は聞いてたんだけど、想像以上に面白かったー!

陣取りをメインにしていて、そのテンポを損なわないシンプルなカード効果がいい塩梅。溜まっていくゴミを処理するのも面白い仕掛け。圧縮はそれだけで気持ちいいもんね。

一回しか遊んでないけど、結構な種類使ってもまだまだカードバリエーションあるんだからすごいよこれ。今日本語版出しても戦える!!お願いします!!!!!



・レス アルカナ(Res Arcana)

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カードコンボの雄であるトムレーマンの新作。今回はファンタジーなリソースマネジメント。
キャンペーンに当たった思い出もあるけど、内容も大変よろしかった。

ちまちま進めていくプレイングなんだけど、展開自体は1ラウンドで大きく動くそのギャップが良いですね。
得点源も土地とモニュメントに絞られ分かりやすく、かつ10点先取のために緊張感も途切れない。

カード自体もアイコンこそ多いけど、複雑な効果はないので一度理解しちゃえばサクサク回せます。
コンボエンジンは小枚数で機能させられるし、そもそもカードは一度に8枚しか使わないから把握も楽。
慣れれば4~5ラウンドで終結するコンパクトゲームに。ぜひいっぱい回しましょう。

罠なのは、通常のランダム8枚で配るルールですね。あれは事故の元でしかないので、推奨セットで慣れたら、そのままドラフトで遊ぶのが吉。ドラフトで遊んでこそ真価を発揮できます。

早速拡張も出るようで。またごりごり回したいな。



・セイロン(Ceylon)

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運よく手に入れることができた紅茶栽培ゲーム。
アートワークの可愛さが天元突破していますが、中身も最高に面白いですこれ。

システムは、カードドリヴンとヴァリアブルフェイズの合いの子。
栽培し、収穫し、出荷するという分かりやすい工程で、他人の手番でもしっかりアクションが降ってくるので、ダウンタイムが少ないのも素敵です。

得点は出荷関係のセットコレクションと、盤面その他のマジョリティ。秘匿情報は手札以外ないので、どこで戦っていこうか計画も立てやすく、かつ足元も見られやすい。
がっつりインタラクションを感じつつ、アクション自体は完全には腐らない様できているので、気持ちよく遊べます。

しっかり下地を敷きつつ、これで1時間級ってんだから恐れ入ります。
供給がなかなかありませんが、これ含め2019年の中量級はほんとに傑作ぞろいなので是非遊んでほしいです。



・デウス(Deus)

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リプレイ再評価枠その2。
当時盛り上がっていたエッセン新作で喜々として購入したものの、よく分からずに手放した一作。
今やったらめっちゃ面白いでやんの。節穴。

カードプレイとコマ配置を同時に行うのが特徴。また、以前出していたカードがあれば、それがまた発動する拡大性も面白い。
手元と盤面の構築を並行して考えるので一見難しそうですが、地形やコマの個数など紐づけやすい要素で作られているので、想像よりはだいぶシンプルです。できることもカード出すか引くだけですしね。

当時はよく分からないまま2時間くらいやってましたけど、昨今の複雑長大なゲームに慣れた今なら1時間程度でガッツリ楽しめちゃうので、時間対効果が大変よろしい。

軍事関連がやや強い傾向にありますが、それを前提にして遊べば問題ないかな。
せっかく拡張も買ったのでこれからも遊んでいきたい一作。



・パパパオロ(Papa paolo)

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お前らフライドポテトなんて食ってないでピザ食えピザ!
ナポリなのに芋に押し負けてるピッツェリアが舞台とか、これだけで最高。

システムは、ワカプレ・エリマジョ・タイル配置・競り・デリバリなどなど山盛りにトッピングされ、かつ複雑にならない程度にうまーくかみ合わせてあってテンポもいい。ピザを配れば得点にも能力向上にもなる、このポジティブさがとっても好き。

素のルールだとちょっと引っかかりそうなところも、いくつか用意された公式バリアントを適用すればOK。視認性だけはちょっとどうしようもないので、タイルが並んだら念のため全員で確認した方がいいかも。

ジャケやコンポーネントから想像するよりも遊びやすいし面白いです。
出た時期的に話題にはならなかったけど、やる価値ありの隠れた名作。



・カリマラ(Calimala)

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安心安定のヒッポダイス受賞作。
マジョリティをたんまり堪能できるぞ。

特徴はアクションと決算の関係性。
3×3に配置されたアクションタイルの間にディスクを置き、隣接のタイルを発動させるんだけど、置かれたディスクはその場所が踏まれる度に再度発動するので、先に置くと人の手番でも動けておいしい。
ただ、4枚たまるとディスクは決算に使われるようになり、しかも他のディスクが減るわけでないので、それ以降そこが使われる度決算が発生。加速度的にゲームが収束していくので、めちゃくちゃ焦る。
このシステムだけで既に面白い。

アクション自体は割と簡素で、資材その他を用意したらそれを盤面に送り込むだけ。なのでマジョリティやコマの配置場所にしっかり悩めるのがGOOD。送り先などの選択肢は多く用意されてるから、アプローチの方向が多様で苦しすぎないのもいいですね。
あと、資材やらを全部キューブの置き場所で表現するやつ、これが結構好きなのでそれだけでテンション上がります。

アクションタイルや決算カテゴリの順序も毎回ランダムで、リプレイにもしっかり対応。売ってるのもやってるのもあまり見かけないゲームですが、マジョリティ好きなら絶対やっておいたほうがいい、いぶし銀な一品です。



・ラグーザ(Ragusa)

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カリマラ作者の第2弾。
鮮やかなボードとコマが目を引く港町で、建築家として大成を目指す。

少ない手番数でゲームをまとめるのは最近よく見る手法ですが、前作の先取り再発アクションを踏襲しているために、手番数の割にアクション数は多め。その分一手の重みがなかなか。

カリマラより意欲的にトレンドを盛り込んだのか、ジリジリした緊張感よりは遊びやすさと目に見える発展の気持ちよさが先に立ちますね。
とはいえ起点となる家コマの数は少ないので、どこで得点を稼ぐのか、しっかり考えないと伸び悩む作りは健在。
より取り出しやすくなりつつ、作者の特色がちゃんと残っているのはいいですね。今後の作品も楽しみなデザイナーです。



・イッツアワンダフルワールド
(It's a Wonderful World)

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セブンワンダーで一大ジャンルに躍り出たドラフトシステム。その後もたくさん作品が出ましたが、この年のドラフトゲームは熱かった!

資源の拡大生産を主軸にして、少ないアイコンで直感的にまとめられてます。
カードを達成することで、資源と得点を並行して構築していくのですが、「資源の生産は種類ごと順番に行われる」のがとても特徴的。これによって生産された資源でカードを達成してしまえば、種類によってはすぐ次の生産へ回すことができるのです。
それと同時に発生するそれぞれの「生産力」マジョリティでの得点があるので、周りが見えるようになるとより悩ましくなりますね。

シンプルで建設的。
得点構築の勘所がつかみにくい所はありますが、すぐに繰り返し遊びたくなるはずです。
エンゲームズさんから日本語版が出るのが楽しみですね。



・カーニバルオブモンスターズ
(Carnival of Monsters)

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こちらも良作ドラフトゲーム。
MtGのガーフィールドがモンスターと土地、とくれば間違いない。
今回は戦わせずに捕まえて見世物にしちゃいます。

システムはこれまたシンプルなドラフトで、1枚ピックして出し。
土地を確保し、そこにモンスターを割り当てるとそのまま得点に。あとは細かく目的カードやお金やらを集める感じ。

面白いのは、カードは出すか「保留」しなきゃいけない所。
それには1金かかるんですが、このゲームびっくりするほどお金が手に入りづらいので、回ってくるカードが出せないとじりじりと金欠に。手持ちが足りなければ借金で減点!(しかも返せない)
また強めのモンスターは凶暴で、ラウンドが終わると暴れだし、収められないとまた罰金!
でも、借金してでもいいモンスターをかき集めたほうがいいことも多いので、思い切りよくいくのも大切です。

あと、これもイッツア~も、世代や分類みたいな仕分け調整がないのがすごいですよね。山と積まれたカードはそれだけでワクワクしちゃう。
運の偏りはだいぶ強い方だと思いますが、ノリと勢いでやんややんや遊んでほしい作品です。



・アクアティカ(Aquatica)

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海底都市の繁栄を目指すロマンゲーム。
スマホ㈱のパブリッシャー新作を、おなじみ数寄ゲームズさんが取り扱ってくれていたので、ゲムマノリで買ってみたらまーーーー面白い。

コンコルディア式のカードプレイ&回収でアクションを回し、いくつもある終了トリガーに手をかけながら土地をかき集める。
レイヤーボードに差し込んだカードを動かしてリソース管理したり、精巧なマンタフィギュアはフリーアクションとして大活躍と、コンポーネントに寄ったシステムがしっかり機能してるのが熱い。

出来ることも分かりやすく、タスクタイルにもよりますが1時間程度で収束する中量級の鑑。キャラクターカードもいろいろあるのでリプレイもOK。
不思議なプレイ感は是非一度試してみてほしいです。




【重量級】

・フードチェーンマグネイト
(Food Chain Magnate)

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ついに手を出せた超重量級。
序盤でこけると4時間地蔵と聞いて戦々恐々でしたが、練習プレイを経てから本番と万全の態勢で挑みました。
結果、4時間半ののちに協議終了というものすごい結末で、2019年は戦慄の幕開けでした。

こんな書き出しですが、ゲームはめっちゃくちゃに面白いです。
抱えているだけで給金が発生する社員カードを駆使して、ファストフード店の基盤を整え、宣伝で需要を増やして顧客をもぎ取っていきます。

様々な工程がカードで細分化され、アクションそれ自体に複雑なものはありません。
ただ、求められる計画性が尋常ではなく、ラウンドの先読み、他プレイヤーの動向など、もう頭がパンクするかと思うほど考えさせられます。実際に考えすぎで頭痛がしたゲームはこれくらいだよ。

最終的には一番お金を稼いでいた人が勝ちますが、銀行のお金を吸い上げ切るのが終了フラグで、結局この時はそこまでたどり着けず終わりました。それ以降やれてないので、リベンジしたいところ。

万人には全くお勧めできないけど、体験したい気持ちがあるなら絶対やった方がいい作品だと思います。僕はやりたい。



・オルレアン拡張:侵略(Orléans: Invasion)

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傑作ゲームの傑作拡張。
オルレアンで協力……?となってたのも最初だけ。いや面白すぎるよこれ!

プレイの流れは基本と変わらず、引いたワーカーを配置してアクションするだけ。
ただ、今回は攻めてくる他国に備えて、いろんなタスクをクリアしていかねばならず、それがまた絶妙な塩梅で難しい!
共通の課題がてんこ盛りなうえ、個々人の使命まであるもんだから全然手が足りない。分身したい。

根幹は変えずにここまでプレイ感を変えられるのか、と本当に感動した。
キャラクターやイベント、プレイ人数でかなり展開が変わるので、何回遊んでも楽しい。オルレアンを持っているなら絶対に手に入れてほしい拡張ですね。



・クスコ(Cuzco)

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衝撃度で言えば2019年随一。
クラマー&キースリングの怖い顔三部作がひとつ、ジャワのリメイク。
相変わらずスーパーミープルのコンポーネントは重厚豪華。

アクションポイント制で、道と村を拡大させながら神殿を建設していく。
その所有権を争いつつ、祭りを催して得点を積み上げていくんだけど、このインタラクションがエグいエグい。今まで遊んだゲームの中で一番人との絡みを感じたゲームだと思います。

置けるタイルの多くは3マスと大き目、かつ簡単に配置できるので、手番が一周するだけで盤面が様変わり。
また、タイルを重ねてできる高さの概念がとても重要で、配置場所の奪い合いがすんごい激しい。神殿の乗っ取りも簡単にできるため、いかに人の育てた土地を美味しく頂けるかがポイントになってきます。えげつない。

知らない人とは絶対やりたくないし、濃厚すぎるインタラクションが苦手な人もいると思いますが、そこがクリアできるなら抜群に面白いので、機会があったらチャレンジしてみてください。3人がオススメ。



・ブラス:ランカシャー(Brass: Lancashire)

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こちらも名作と名高いワレスの過去作。
リメイクのおかげでプレイすることができました。

陣取りしつつ建物から得たリソースでさらに建築し、自分の輸送網を強化して得点を積み上げる。資源は盤上に配置されるため、人のモノも利用可能。かつどちらにもメリットがあり、めぐっていく経済をしっかり感じられます。

ワレスにしては優しめの借金があるので、お金回りはそんなに苦しくはないですが、そのお金を使うタイミングが手番順に直結しているため、いつ張るのか、使いどころがものすごく悩ましい。また前半後半に時代が分かれ、移行の際に輸送路(さらに一部建物)が全部リセットされるため、それに向けて備えられるかも重要。

一方、ネットワークの概念はかなりややこしく、プレイのハードル自体はなかなかに高いです。得点方式も、一回やらないとどれくらい入るのか想像しずらいですしね。
でもめちゃくちゃ楽しー!

こちらは旧作のリメイクですが、新作として出たバーミンガムも尋常じゃなく面白いので、黒白合わせてたっぷり楽しめます。



・バラージ(Barrage)

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積み上げたダムでせき止めた水を使い、発電で依頼を達成していくルチアーニ新作。
ぼくがいちばんうまくダムを動かせるんだ……!!

アクションによって必要な労働者数が変わるタイプのワカプレ。
ダム・導管・発電所のセットを盤面に構築して、そこに水が貯まれば発電ができる。んだけど、そこに至るまでの準備が割と大変で、お金も重機もモリモリ使わされる。
しかも陣取りがなかなかに苦しく、取る場所によってはジリ貧になりかねないシビアさがあります。
でも、そこを乗り越え上手いことエンジンを構成できた時の達成感たるや!

ダム、ってだけだと地味に聞こえますが、結構ド派手に展開が動くので気持ちよさが半端ない。時間こそかかりますが、それを補って余りある面白さ。
コンポーネントもしっかり豪華で満足度◎。
出版の出だしこそ躓きましたが、まごうことなく名作です。拡張もやりてい。



・ガイアプロジェクト(Gaia Project)

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テラミスティカの続編ということで評判が良かった今作。
購入はしていたものの、プレイできないまま1年が過ぎ去りようやくその機会にありつけました。

おおよその下地はテラミを引き継ぎつつ、細かく随所にブラッシュアップがなされ、遊びやすくもより複雑に仕上がっている印象。
キャラクター能力の派手さが少し抑えられ、個々の戦略の立て方が分かりやすくなったかな。ただ、自由度が跳ね上がったために、初動の見極めはだいぶ大変……。広大な宇宙を探索していく感じはよく出てて、上手く拡大していけるときんもちいいですね。

前作同様に膨大な種族がいるので、もっといっぱい遊びたいです。あとファン拡張の種族がなぜか大量にあるみたいなので、ちょっと試してみたい。



・西フランク王国の聖騎士
(Paladins of the West Kingdom)

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日本語版が予定されているにフランク王国シリーズの2作目。
いち早く遊ばせてもらえたんですが、これまた面白かった!

ワカプレっぽいアクション選択なんですが、ほぼ個人ボード内で行われるので、オルレアンのシステムに近いです。
ただ、ワーカーは袋引きではなく、ラウンド初めの手札と場札のカード選択で色が決まる仕様。ある程度コントロールが効くのは好み。正直ワーカーというよりは人型のリソースという感じ。

得点方式はパラメータ・条件カード・全体の目的あたりですが、その基盤づくりが意外とコツコツ遠回り。かつ満遍なく手を広げてしまうとどこも得点につながらなくなるので、関連性の把握が大事です。特に外敵カードは意識して取った方がよさげ?

特殊効果などでいろいろとこねくり回せてしまいダウンタイムが発生しやすいのと、コンポーネント並べた時の面積がかなり広いので、相当大きめのテーブルが必要なのは注意です。
攻撃要素も少なく、ひたすら拡大を目指してのリソースマネジメントを堪能できるはず。レイダースおぶざ建築家も期待できるなーやりたい。



・タペストリー(Tapestry)

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ストーンマイヤーの文明発展!
やるしかない!
面白い!
以上!

ではないですが、想像以上に面白かったです。
きれいな盤面、数多のカード、豪華なコフィギュア……物欲を満たすコンポーネントは流石の仕様。
しかし、それよりなにより気に入ったのがルールの少なさ。もちろん細かい部分はあるものの、シヴィ系をサラッと始められるなんて代えがたい魅力ですよほんと(なお準備は時間かかる)。

戻れないアクションラインをリソース払って踏んでいくシステムで、1マス1マスが全然違うものになってるのが新鮮。アクションと文明のパラメータフレーバーを合わせて表現しているのは珍しいですね。
攻撃要素もだいぶマイルドなので、4X苦手な人でもいけるんじゃないかな。

初期文明の強弱、めくりなどの運要素は言われてましたが、個人的にはあまり気にならなかったかな。プレイヤーのデバックから入った調整も試してみたい。

これまたコンポーネントの質量がすごいのでおよそ自宅でやるには向いてないですが、同社のゲームでは一番気に入ったので早く日本語版を愛でたいです。



・テラマラ(Terramara)

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アッキトッカが10年ぶりに集結!
ということだったんですが、触ったことが無かったのでこれが初めてのゲームに。
話題になるだけあるわ…おもしろ……。

かなりオーソドックスなワカプレ。
構成する要素もシンプルですが、随所の味付けがよく利いていてひたすら楽しくなる仕様。

アクションはパラメータ上昇かリソース獲得にほぼ絞られ、かつスペースは先のラウンドまでフルオープン。後々のアクションの方が強力になっている構成なんだけど、「未来のスペースにもワーカー配置ができる」というのがかなり機能してます。
先の方に置くと回収はそのラウンドになってしまうので再利用がしずらくなるものの、それをするに足るタイミングも多く、得られるリソースとアクション数のバランス感覚が求められます。

また、スペースには2人まで入れるものの、後入りは軍事力や首長コマの存在で入れない場合があるため、どこを優先するか悩ましい。リソースを奪う襲撃アクションの存在にも気を配らなくてはいけないし、この自由と制限の塩梅が本当によくできてる。

基本に敷かれた骨太なシステムに、アーティファクトという派手な要素を乗っけたことで、重苦しさも感じさせない、正に八面六臂な隙のなさ。

特殊効果の明確化だけは膨大にQ&Aがあるのでチェックが大変ですが、重量級の中でもかなりの完成度。安定して面白さを提供してくれる作品ですね。




以上、仕事の忙しさにかまけて、三か月近くかかってしまいましたが、個人的には豊作の年でした。
載せていないところでも面白い作品はたくさんあったので、ボド充まっしぐらな1年だったと思います。

今年も始まって1/4が過ぎそうですが、既に刺さっているものがチラホラ。遊ぶ回数を確保しつつ、良い出会いを期待します。
お読みいただきありがとうございました!

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