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エスペラント語の面接試験の思い出

やあ!

みんな元気かい?メタファーしてる?(笑)

今日は、ぼくが2020年に山口県下関市で実際に受けた「KER試験C1口頭試験(面接試験・リスニング試験)」の話をするね!

まず、「KER試験(けるしけん)」ってことばをはじめてきいたひとはいるかな?

だいじょうぶ???

いま不安な気持ちになってない?

いまからていねいに説明するから安心して聴いてね!!!

KER試験っていうのは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠;セファール)に準拠したエスペラント語の試験のひとつで、これが最大の特徴なんだ。

(KER試験ってなあにって訊かれたら「CEFR準拠のエスペラント語の試験」って答えたらいいってことだね!)

で、CEFRっていうのが何か、気になるよね?実はこれはけっこう画期的な仕組みなんだ。いまから説明するね。

CEFRは「ヨーロッパ言語共通参照枠」っていうんだけど、名前が示すとおり、ヨーロッパでうまれた規格なんだ。

ヨーロッパはいまヨーロッパ域内での交流や文化教育を積極的におこなっているんだけれど、そのとき問題になることのひとつのが「言語」なんだよね。

たとえばヨーロッパで「フランス語」をしゃべれるひとの求人を出すとする。あるいは大学があるレベル以上の複数の言語の能力をもった学生を求める場合なんてのもある。

そういうとき、どうやって求められる「語学レベル」を表現したらいいと思う?

もしそれぞれの言語が独自に「〇〇語検定」をやってたら、おなじ「2級」でもフランス語検定とイタリア語検定とポルトガル語とで内容も難易度もまるでちがうっていうことがおきかねないよね?

それだと困るということで、共通の枠組みをつくって、それに準拠した試験をしましょうというのがCEFRという仕組みなんだ。

このCEFRに準拠した試験に合格すれば、公的な語学能力の証明として使えるんだよ。

KER試験は、ハンガリーの政府機関と世界エスペラント協会が協働で実現し、運営している、エスペラントの公的な試験なんだ。ここまで書くと、どうしてエスペラント図書館がKER試験の実施と受験機会の創出にこんなに熱心かわかるよね?

エスペラント図書館がKER試験の実施に熱心な理由はここにも書いているから、時間のある人は読んでみてね!(クリック!

ここまではKER試験の仕組みについて話してきたけど、ここからは内容の特徴について話すね。

KER試験の内容はCEFRに準拠してるから、CEFRの方針にしたがってつくられてるんだ。

じゃあCEFRはどういう方針をしめしてるのか気になるよね?

簡単にいうとCEFRは日常で想定される言語運用能力をはかる試験」なんだ。

だから文法や単語の知識をひとつひとつ確認していくというよりは、もっと総合的な力が要求されることになるんだね。

だから正直に言えば、ちょっと難しい。そもそもKER試験ではB1、B2、C1という中級から上級レベルしか用意されてないんだよね。

(ちなみに2021年以降にさらに上のC2が用意される可能性があることが公式にアナウンスされているよ!)

でも試験としての意義は他の民間資格のエスペラント検定とはまるで違うんだ。この試験を受験することは、受験料によって試験の運営を応援することであり、具体的にこのKER試験という制度を支持することでもある。
だからね、落ちるとか受かるとか関係なく、この試験に挑戦するひとたちにはぼくが無限のリスペクトを送るから、大丈夫だよ!!!!!!

(ここで「ぼくは余裕でC1合格しましたけどね」とか言ってるきみ!あんまり上品なひとにみえないから、きみはちょっと今後の振る舞いを考えたほうが良いかもね!)

それではKER試験の面接試験(C1)で満点だったぼくの記録を雑にかいていきます。

1.導入部分(ウォーミングアップ、ここも一応採点対象)
質問:あなたはどこに住んでいますか?
わたし:私は下関に住んでいます
質問:その町はどこにありますか?
わたし:私の町は西日本にあり、韓国に非常に近いです。
質問:下関はなんで有名ですか?
わたし:私の町は安倍晋三首相で有名です。
質問:その首相があなたの町にどう関係するのですか?
わたし:彼はここで選出された議員なんです。

(このほかに、首相選出の仕組みについて質問があり、日本が各地域にわけられてそれぞれで代議士が選出されること、多くの場合、多数の議席を占める政党の党首が首相になることを話しました。)

質問:首相についてはわかりました。ではあなたの町は天皇とどのような関係がありますか?
わたし:下関市は天皇と深い関係があります。そのひとつは幼くして海峡に入水した安徳天皇です。下関市民はその霊を慰めるために毎年夏に大きな祭りをおこなっています。
質問:最近日本は改元を行いましたが、これに関連して珍しいことがあったと聞いています。前回の改元とはなにが違うのですか?
わたし:珍しいことが起こったというのはいっぽうでは事実であり、しかし他方では事実ではありません。話題になっているのはいわゆる生前退位です。前回は天皇の崩御、その後新天皇の即位と改元がおこなわれました。しかし今回は高齢の天皇が譲位し、あらたな天皇が即位しました。確かにそれは現行憲法下では新しいことでした。しかし長い天皇の歴史のなかで譲位は必ずしもめずらしいことではありません。
質問:すると国の雰囲気もずいぶん異なるのではありませんか?
わたし:当然まったく違います。今回は祝賀ムードが支配的で、そのことは前回の改元と大きなコントラストをなしています。前回は自粛ムードがあり、経済活動も委縮しました。今回はそのようなことはありません。

2.評論
質問:つぎの文を読んでください。
「パソコンや携帯電話の画面の健康への悪影響が話題となっている。これを法的に規制すべきか。」
わたし:よみました。
質問:もう一度読みますか?
わたし:大丈夫です。
質問:これについてどのように思いますか?
わたし:パソコンや携帯電話の画面の健康に対するさまざまな悪影響は明らかであり、法的に規制すべきだと思います。
質問:さまざまとおっしゃいましたが、具体的には?
わたし:さまざまな体の部分に悪影響があります。たとえば目、こどもたちの間で急性の斜視が問題になっています。これは長時間にわたって小さな画面をみつづけることによっておこるものです。片方の目が正視しない状態ではピントを合わせて対象を見ることが困難になります。ほかには指です。人間の指は繊細な動きができるようにできています。しかし画面を撫で続けるようにはできていません。繊細な動きを可能にしているのは指の両側にある細い筋肉です。これらは長時間の使用には不向きです。これは大きな筋肉と対称的なものと理解できます。大きな筋肉は持久力がある一方で細かな動きは不得手です。
質問:しかし本当にパソコンや携帯電話の使用を制限することができるでしょうか?
わたし:難しいことはわかっています。事実、わたし自身つねに携帯電話を手にもっています。だからこそカタリンからの問い合わせや依頼にも即座に応えることができるわけです。寝起きに返事をしたり、お風呂の中から返事をしたこともあります。しかし法的規制はもちろん可能です。ご承知の通り、多くの先進国で労働時間の上限が定められています。これは長時間労働が人の心身に悪影響があることが明らかであるためです。現在リモートワークなど家に帰ってからもパソコンをつかって働き続けることができるようになりました。これは結果的に労働時間の伸長をうながす結果となっています。しかし家でパソコンを使ってする仕事も本来規制されるべき労働に違いありません。技術的なことは可能です。労働時間の順守のためにも法的規制が必要です。

3.Situacia ludo
質問:文を読んでください。
「あなたはペットショップで働いています。やってきたひとに対応してください。」
質問:こんにちは。
わたし:いらっしゃいませ。
質問:こちらはペットショップですか?
わたし:わたしたちはペットを売っています。
質問:なにを売ってるんです?
わたし:わたしたちは犬を売っています。
質問:犬だけ?
わたし:実は、ねことねずみも売っています。
質問:たったそれだけ?
わたし:はい。
質問:夫の誕生日に犬を買いたいんだけど、おすすめはある?
わたし:失礼ですが、夫の年齢は?
質問:年齢がなにか関係あるの?60歳です。
わたし:ではお売りできません。
質問:なんで年齢が関係あるの?わたしはお金もある、いますぐ買いたいのに?
わたし:ペットを売ることはできません。
質問:わからない、60歳じゃ犬は飼えないの?
わたし:そうではありませんが、犬を売ることはできません。ご承知の通り、医療技術は現在たいへん進歩しています。それは人間の医療だけではありません。その結果として犬や猫が飼い主の寿命をこえることがあります。そのとき、犬や猫の世話をする人がいなければ、犬たちになにがおこるでしょうか。飼い主にも犬たちにも残念なことがおこるに違いありません。
質問:そんなこと考えてもみなかった。じゃあどうしても売ることはできないのね?
わたし:法的に有効な文書に後見人がサインしていれば、犬を売ることができます。
質問:そんなひとはいない。私は犬を買えないのね?
わたし:残念ながら。
質問:残念ながらではないわよ、残念なことじゃない(早口で、おそらく素で言ったものと思われます。)
わたし:もし息子さんか娘さんがいらっしゃったら、その方にお売りすることはできます。もちろん、同意が必要になります。
質問:ペットってみんな長く生きるものなの?もっと短く生きるペットはいないの?
わたし:ねずみは短命です。
質問:本当に?
わたし:はい、1年ほどです。
質問:本当に1年?
わたし:はい、おおよそ1年です。
質問:じゃあねずみといっしょに猫を飼ったらどうなるかしら?
わたし:いつ飼うかによります。もし子供のころからネズミと猫をいっしょに生活させると、彼らはお互いを友人とみなします。しかしもし猫がある程度成長したところでネズミを家に招いたら、おそらく、一方が他方を食べるでしょうね。
質問:じゃあぬいぐるみの犬が欲しいわ。
わたし:わたしたちは生きた動物しかあつかっておりません。
質問:ありがとうございます。ここで試験は終了ですが、これまでおこなった会話試験のなかでこんなに考えさせる内容は初めてです。おたずねしたいのですが、本当に日本には飼い主の年齢や後見人を定める法律があるのですか?
わたし:いえ、現在はありませんが、ペットショップによっては質問するところもあります。また法制化されるべきという運動もおこってきているときいています。まだ法律があるわけではありません。
質問:スイスではこういうことはありますか?
スイスの人(もうひとりの面接官):聞いたことがありません。

4.画像の説明
(省略)

さて、ぼくのKER試験受験(C1、面接試験)の記録はこれだけだよ!
なにか参考になることがあったらうれしいな。

ほかの受験者の人の記録にも興味があるひとは、Bonuloさんの投稿もきっと参考になるからぜひみてみてね!(ここをクリック!

じゃあまたね!読んでくれてありがとう!

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