ポルフィリンと神経系

前回に続き、紹介した本「電気汚染と生命の地球史 インビジブル・レインボー」からのお話です。

その前に、前回のブログで「5-ALA」のことを書きました。
超久しぶりに5-ALAのことを書いたのですが、タイミングよくというかその翌日にネットニュースに出てきました。

新型コロナの増殖100%阻害《5-ALA》は今…「予防薬開発に製薬企業は見向きもしない」研究者の苦悩

コロナ禍のとき『長崎大学 北潔教授のチームにより「5-ALAが新型コロナウイルスの増殖を100%阻害する」という内容の論文』が発表され話題となっていました。
しかしこれは試験官の中での話しだったのですね。
それなのにメディアを上手く利用し、5-ALAをアピールしていました。
その後、人で確かめたけど結局明らかな効果がなかったとのことです。
でも当時は5-ALA爆売れしたんだろうなぁと想像できます。
自分はかなり前のブログにも書きましたが、5-ALAの背景がなんかうさんくさく感じていて(ビジネス臭がプンプンしてたとか)、最初からあまり興味を持っていませんでした。
ポルフィリンがどうのこうのとか、そこまでの詳しい知識はなかったのですが。
結構直観って当たるものです。

本題に移ります。
早速本からの引用です。

『この驚くべき分子(ポルフィリン)が見つかる場所がもう一つある。電子が流れる組織、神経系の中だ。実際、哺乳類では、紫外線の光を当てて調べたときにポルフィリンが赤い蛍光色を放つのは、中枢神経系が唯一の組織だ。このポルフィリンも生命の基盤となる機能を果たしている。ところが、それらは最も予期しない場所で見つかっているのだ。五感のメッセージを脳に伝える細胞であるニューロンそのものの中ではなく、ニューロンを包んでいるミエリン鞘の中である。

ついに「ミエリン鞘」という言葉が出てきました。
続けます。

『健康なミエリン鞘は主に2種類のポルフィリン、コプロポルフィリンⅢとプロトポルフィリンが2対1の割合で含まれており、亜鉛と結合している。正確な組成が極めて重要だ。環境化学物質がポルフィリン経路を害すると、過剰になったポルフィリンが重金属と結びつき、神経系の中や人体の他の部分に蓄積される。これによりミエリン鞘が崩壊すると、電気伝導率が変化し、結果としてミエリン鞘に包まれていた神経の興奮度が変化する。神経系全体が、電磁場を含むあらゆる種類の刺激に対して過敏になってしまうのだ。

『(組織の)再生のきっかけとなる信号が本質的に電気的なものであり化学的なものではない…』

『少なくとも治癒信号、すなわち出力信号を伝達するのは、神経そのものではなくて(ミエリン)鞘だということが示された。生物学者が単なる絶縁体だと考えていた細胞こそが、本当の伝染なのだと理解された』

『成長や治癒を支配する電流を運んでいるのは、シュワン細胞(ミエリンを含んでいるグリア細胞)であり、それに包まれているニューロンではないのだ。』

骨折が治癒する秘密にも電子の流れがあるとのことです。
電気を使った治療って、やはり結構いい線いっているのかもしれません。
(ただし電気の流れる方向が重要)

さて次に「亜鉛」を含めた話が出てきます。

『神経を包む液晶の筒であるミエリン鞘は、半導体のポルフィリンを含んでいる。ポルフィリンに添加されているのは重金属原子、おそらく亜鉛だろう。ポルフィリンが神経伝導で重要な役割を果たしているに違いないと1958年に初めて提起したのはハーヴィー・ソロモンとフランク・フィッゲだった。』

亜鉛ってやっぱり大事?

『1つ以上のポルフィリン酵素が遺伝的に不足している人たちは「神経質」なのかもしれない。なぜなら、周りの人たちよりもほんの少しだけ多くの亜鉛がミエリンに入っているため、周囲の電磁場(EMF)の影響を受けやすいからだ。したがって有害化学物質とEMFには相乗作用がある。有害物質を多く浴びるとポルフィリン経路がを害され、より多くのポルフィリンやその前駆体が蓄積し、ミエリンやそれに包まれた神経がEMFに対してさらにいっそう敏感になる。最近の研究に寄れば、ポルフィリン前駆体が大きく過剰になれば、ミエリンの合成が阻害されてミエリン鞘が壊れ、それらが包んでいるニューロンが裸にされて剥き出しになってしまう。

脳で消費される酸素の90パーセントを消費しているのが脳の神経細胞ではなく、それを包んでいるミエリン鞘だということだ。
『少なくとも神経系においては、ほとんどの酸素がミエリンと呼ばれる脂肪性物質の多重層で消費されているようなのだ。』
『ミエリン鞘そのものが実質的に巨大なミトコンドリアであり、そうでなければ脳や神経系における大量の酸素の需要に見合わないと言い始める科学者までいる。』
『ニューロンとそれを包むミエリン鞘とが協力して、複雑で簡潔な電気の伝送線のシステムを作っているとの認識も必要だろう。まさしくそれは人間の工学者が作る伝送線のように電気的な干渉を受けやすいのだ。』

ミエリン鞘がどれだけ大事かってことがよくわかりますね。

さてここからが自分にとって衝撃的なところでした。
亜鉛に関する記述です。

『神経症状のあるポルフィリン症患者の尿に、最大で通常の36倍という大量の亜鉛が排出されているのを発見した。(中略)多数の患者に対して、体内の亜鉛を減らすためのキレートを試みたのである。そして、うまくいった。BALやEDTAによる治療によって尿中の亜鉛の濃度が正常値に下がると、病気から回復して、それから数年間は症状の出ない患者が相次いだ。』

亜鉛は不足しがちであり、補うべきだと考えられていた従来の知識に反して、ピーターズの患者は遺伝的な理由と汚染された環境が原因で実際には亜鉛中毒になっていたのだ。

『低濃度の亜鉛を加えた水でラットを育ててみた。生後3ヶ月で、すでに記憶障害を起こしていた。9ヶ月では、脳内の亜鉛濃度が上昇していた。』

アルツハイマー患者の脳には、そうでない人と比べて2倍の量の亜鉛があり、認知症が重い人ほど濃度が高いことを発見した。

血中濃度はあてにならず、重い栄養不足でもない限り、食事で摂取する亜鉛の量と血中の亜鉛濃度との間に関係がないことを科学者は発見した。アルツハイマーj病などいくつかの神経疾患では、血中の亜鉛濃度が正常値や低い値であっても、脳内の亜鉛濃度が高くなるのが一般的だ。

血中濃度が低くなるのは亜鉛が不足しているからではなく、体内の亜鉛が過剰なために腎臓が血液から亜鉛をできるだけ早く取り除こうとしているからだ。

あわわ、あわわですよ。
栄養学的には現代人には亜鉛不足が多いといわれています。
亜鉛研究の第一人者の先生も、食事からの十分な亜鉛補給は難しいからサプリや治療薬を飲むしかないと言っているほどです。

認知症患者さんをはじめ、うつ傾向のある方、統合失調症の患者さんなど、たいていほとんどの方は採血をすると「亜鉛不足、銅過剰」の状態でした。
栄養学的には亜鉛と銅は同じ数値になるくらいが理想と言われています。
認知症治療のリコード法でもその差が小さい方が良いと書かれているほどです。
脳の記憶の中枢である海馬にはもともと亜鉛が豊富であると言われています。
ですから認知機能の維持・改善には亜鉛が大事であると思っていました。

しかし実際は脳に亜鉛が過剰にあるから血中濃度が低くなっていた、ということなのですね。
この本によると。

難しい…。

なぜなら実際亜鉛補給でうまくいっている人もいるからです。
血液検査で亜鉛欠乏があったので、処方薬で亜鉛補給を開始しました。
認知症と言われていた方は、亜鉛補給を開始してから認知機能が妙にしっかりしてきたのですね。
前回の診察のことや、自分が髪を切ったことまで気づいたりするのです。
ついでに遠かった耳も劇的に良くなりました
耳が良くなったから認知機能も良くなった、とも考えられますが、自分が髪を切ったことをちゃんと指摘してくるなんて「耳が遠い」こととは関係ありません。
亜鉛補給で遠かった耳が改善したケースは何例か経験しています。
(ちなみにこの患者さんは他にサプリ等は追加していません。)

コロナ云々と関係なく、以前から亜鉛研究においては「嗅覚」と関係していると言われていました。
もちろん「味覚」もです。

亜鉛補給によって味覚改善したケースはたくさんあるくらいなのですから。
食事量が低下した高齢者の患者さんに亜鉛補給をしたら、食事が改善したケースもあります。

ですから一概に亜鉛補給がダメともいえないかと思います。

上記の本の記述によると「脳に亜鉛が過剰に蓄積しているかどうか」がポイントなのはわかりますが、それはさすがに一般的な検査じゃわかりませんしね…。
解剖しないとわかりません。

ちなみにこの本には亜鉛による汚染についてこのように書かれています。

『実は、大量の亜鉛が、製造過程や亜鉛メッキ金属、歯の詰め物などによって、環境や家庭、体内へと入ってきている。亜鉛は入れ歯安定剤やエンジンオイルに使われている。自動車用タイヤにも大量の亜鉛が使われているので、タイヤの摩耗とともに、亜鉛が路上の粉塵の主要な成分の一つになっている。』

タイヤ?
調べると確かにタイヤには酸化亜鉛が含まれています。
ちなみに酸化亜鉛は化粧品、薬、テレビやスマホのディスプレイにも使用されています。
https://hakusuitech.com/kodomohakusui.html

ちなみに「ソーラーパネル」にも含まれています。

これら「悪い亜鉛」が環境の中を巡り巡って人体の中に入ってきている可能性があります。

「良いカツオ、悪いカツオ」じゃないけど、「良い亜鉛、悪い亜鉛」という概念もあるのだろうか。
そこまではまだわかりません。
ただサプリ等の亜鉛補給でアルツハイマー病が悪化したケースなども、この本ではちらっと紹介されていたりするのです。
となると「良いカツオ」じゃなくて「良い亜鉛」を補給すればいいということでもないのかと思ったり。

ただこれまでサプリなり処方薬で亜鉛補給をかなりしてきましたが、それによって「何かが悪くなった」ということはなかったと思うのですよね。
気づいていないだけなのかもしれませんが…。
少なくとも劇的に認知機能が悪化していった、というケースは経験していません。
亜鉛補給の症例数も相当なものだと自負していますが。
それに実際認知機能が維持できているケースも結構経験していますし、なんだか訳わかりません。

もちろん大前提として、この本で紹介したことがすべて正しいということではない可能性もあります。
特に上記認知機能に関することは、ある文献を一部紹介しているだけですから。

それにこれまでの文献だって、どちらかといえば、というか圧倒的に「脳に亜鉛は重要」というものが多いです。
『亜鉛は脳内に高濃度で含まれ、神経情報の伝達や興奮性制御に重要な役割を果たしている。』
『亜鉛は神経細胞の異常興奮を抑制しますし、抑うつ気分や不安を予防し、神経の修復にも関わるので、とても重要なミネラル』
なんて文献などに書かれていたりしますから。

脳に亜鉛は必要ではあるけれど、世間一般のこれまでの常識が間違っていた、なんてこともありうるし、闇雲に亜鉛補給をすれば良いということではないのかもしれません。
血液検査の亜鉛の数値だけ見ればいい訳でもなさそうですし。
だけど亜鉛補給でうまくいく人もいる。
脳を解剖しないことにはわからないのですが、とにかく治療しながらよく観察してみていくしかなさそうですね

※これまでのことを振り返ってみると、やはり実臨床においては、亜鉛補給で良かったケースの方が多い印象があります。
2018年にはこんなブログも書いていました。
亜鉛による精神症状改善例

ちなみにこの本には
『1日の摂取量が20ミリグラムを超えると、長期的には中毒の危険性が出てくる。』
とあります。
ちなみに自分は50mgとか飲んでいましたが(週末は飲んでいません)、中毒症状なんて出ていません。

同じ量の亜鉛を飲んでも血中濃度が上がる人、上がらない人がいますが、腸管での吸収の違いや、他に飲んでいるサプリメント、飲むタイミングなどによっても吸収量が変わってきます。
それに50mg飲んでもそのすべてが吸収されているとも限りません。
不必要な分は吸収されていない可能性もあります。

ちなみにQSS社の「亜鉛イオノフォア」は10mgの亜鉛しか含まれていないので、一応上記の本によればベストかもしれません。
しかも細胞内への吸収も良いですし。
脳に過剰に貯まるということはなさそうです。
でも高いのでね…。

亜鉛補給が間違いないのか、現段階ではなんとも決着付けがたいのですが、実際の経験を踏まえると、ほどほどに補充しておいた方が良いかとは思います。
亜鉛が不足して害が出ている人の方が圧倒的に多い気がします。
亜鉛は体内の何百という代謝・酵素に関わっており、亜鉛欠乏で起きてしまう有害事象の方が甚大です。
もちろんできれば血液検査で亜鉛と銅のバランスをみてからのほうが良いです。
上記の本によれば、血液検査のデータだけで判断するのは危険なのでしょうが。

また電磁波過敏は、体内に蓄積されている余計な重金属の量によっても影響の受けやすさというのは変わってくるでしょう
この点はイメージしやすいかと思います。
その点、グルタチオンは国が「金属中毒」に効果・効能があると認めています。
やはり電磁波の影響から守るという点でもグルタチオンは良いような気がします。
もちろん空間は電磁波だらけですし、すべての害を防御できるということではないかと思います。
ただ電気や電磁波を引きつけてしまいそうな体内の有害な重金属を極力なくし、電磁波の影響を体・細胞が受けても抗酸化作用で対処する。
グルタチオンは一石二鳥で活躍しそうかなとは思います。
もちろんこれは自分勝手な憶測ですので。

そして大事なミエリン鞘に対しては「Mガード」という武器があります。

電磁波が目に見えるとしたら、世の中すごいことになっているのでしょうね…。
携帯の人口カバー率は相当なものですが、それでも人里離れた田舎の方が空間はきれいなのでしょう。
便利さを取るなら何かを犠牲にしなければならないという、わかりやすい例かもしれません。

ちなみに電磁波の恐ろしさばかり強調されたりしますが、人間はすごいものですから、時間とともに適応していってしまう部分はあるかと思います。
もちろん電磁波の影響を受けないに越したことはありませんが。
ただ5Gなど突然新しい技術が出てきたり、それが全世界で運用が開始されしばらくの間は、多くの有害事象(健康被害)が起きるかなと思います。
これまでの歴史をみるとそうなっているのですから。
そして新しい技術がどんどん出てきて、人間の体がどこまで適応できるのかという不安はあります。
でもアホみたいな書き方ですけど、人間は結構いいところまで頑張れるんじゃないかなとは思います。

しかし電磁波の影響で頑張れない人もいますので、その点はみなさん理解してください。

無駄に医療機関の食いものにされないように、自分でできるケアなど役にたちそうな情報を大公開していきます。