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No.673 お笑いネタあるある?

2014年、第15回小学館文庫小説賞を受賞した風カオル(大分市在住)さんの小説『ハガキ職人タカギ』は、現代若者生態事情とも言うべきハイセンスで斬新な内容です。  
 
「広島県在住、高校2年生、高木政弘、彼女なし。唯一の友人は、後ろの席の白井。おたくな俺に近寄る物好きな女子は、もちろんいない。だけどそれだけで狭い世界で生きる男と判断されちゃ困る。学校の奴らは誰も知らないけれど、深夜になれば全国のラジオリスナーが俺のネタを待っている(ハズ)。俺のラジオネームは『ガルウイング骨折』。今日も深夜ラジオに下ネタを轟かせるぜ!全世界のラジオ好きの皆へ捧げる青春爆笑小説。」
第15回小学館文庫小説賞受賞作のBOOKデータには、そのような触れ込みがありました。
 
「ハガキ職人」とは、特定のラジオ番組や雑誌に優秀なネタハガキを数多く投稿し、その名が広く知られている常連さんの事だそうですが、新分野を切り拓くと言ってもよい後味の良い読後感がありました。
 
この作品、芥川賞受賞作「火花」と一脈通じるものを感じるのは、私だけでしょうか?お笑いネタに思わず口角が上がります。
「銀行強盗が『少しでも動いたら殺す。カバンに金を詰めろ。』と難しい注文。」
思わず「あるある!」と頷く私です。
 
必死で逃げる犯人に、これまた必死に追いかける警官や刑事が「待てー!」と言ったからといって、待つはずもありません。また、捕まった泥棒が「放せー!」と叫んでも話してくれるわけがありません。どこから見てもまごうことなき宇宙人が、「ワレワレハ、ウチュウジンダ!」とわざわざ言わなくてもわかりそうなものです。これらも、あるある?

「笑わせる 腕になるまで 泣く修業」先代、林家三平