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No.1138 まさかの発掘(?)体験

1914年、アーチボルド・クリスティ大尉と結婚した24歳のアガサ・クリスティー(1890年~1976年)は、14年後の1928年にアーチボルドと離婚しました。そして、2年後の1930年に中東旅行で出会った14歳年下の考古学者、マックス・マローワンと再婚しました。

この時、新聞記者が「なぜ考古学者と結婚したのですか?」と質問したのに対して、
“An archeologist is the best husband. The older she gets, the more interested he is in her. ”
「夫にするなら、考古学者が最高よ。だって、妻が歳をとればとるほど、夫は妻に興味を持つようになるんだもの。」
と答えたそうです。自作とも他作とも言われるエピソードのようですが、そのウィットに富んだ応答は、実に魅力的です。
 
高校時代の社会科の恩師が、考古学を修められた敬愛すべき人物で、私も考古学を学び、人として成長したいと思ったものです。
 
もう20年も前のお話です。
その年の4月に実力考査があり、ある教科の得点が記入されたクラス生徒の名票を担当教員から受け取り、胸ポケットにしまっておきました。ところが、取り出すのを忘れて洗濯してしまったのです。
 
ワイシャツがすっかり乾いて、折り畳んであった名票を見つけた時は、カラカラの状態でした。胸ポケットをまさぐって気付いたという情けないことこの上ない次第です。
 
慌ててピンセットを取り出し、カラカラに固まっていた名票を、息を殺しながら丁寧に、丁寧に開いていきました。悲観的な予想とはうらはらに、得点は見事に残っていました。小さく畳んでおいたのが怪我の功名だったのでしょう。私のウッカリ物忘れは、すでにこの頃から始まっていたのです。
 
私は、某大学の考古学科を受験したもののあえなく撃沈しましたが、まさか、こんなことで、思わぬ発掘(?)体験をするようになろうとは、夢にも思いませんでした。
 
その後、同じ轍を二度と踏むことはありませんでしたが、あの時の全神経を指先のピンセットに集中させた記憶は、今も鮮明に思い出せます。


※画像は、クリエイター・ia19200102さんの、タイトル「壁面突破ブレイクスルー」の1葉をかたじけなくしました。私にとってのダイヤモンドが、あの名票に書かれた成績でした。心境が重なります。お礼を申し上げます。