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No.514 わが家の三種の神器

「三種の神器」とは、天皇家に代々受け継がれてきた「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、「八咫鏡(やたのかがみ)」、「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」の秘宝を指します。
 
1953年生まれの私ですが、1956年(昭和31年)の神武景気の頃は、豊かさやあこがれの象徴として「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」が、「三種の神器」と呼ばれました。

さて、両目の中に勝っている蚊(飛蚊症)も厄介ですが、夏になると困るのは、あの白と黒の縞々模様の長いソックスを履き、人や家畜の生き血を吸い、「ごちそうさま!」の一言も言わぬ、礼節なき憎ったらしい蚊がいることです。
 
ボクシングでは、超軽量級のことをモスキート級と言いますが、そんな可愛いものではありません。血を吸うのは雌の蚊だと言いますが、サディスティックな性格の遺伝子を受け継いでいるものらしく、人間達の困った表情を見ると燃えてくるようです。
 
まして、わが家は裏に小山のような雑木林を背負った団地の中にあり、その一帯に生息する飢えた狼ならぬ飢えた藪蚊たちが身を潜め、虎視眈々と活躍の時を狙っているのです。その総攻撃を迎え撃つ私の気持ちとしては、『平家物語』の中に見る木曾義仲に与して鎌倉軍と戦った今井四郎兼平の心境のようであります。
 
よって、わが家には、「蚊取りマット」「キンカン」「蚊取りスプレー」という豪華三点セットの「三種の神器」が、わが家の御用達として卓上に鎮座するのです。八十八夜の日に、今年初の蚊の闖入を受けました。我が家の三種の神器の華麗なるステージ本番は、もうすぐのようです。