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No.851 生涯忘れられない保護者代表のあいさつ

先日、在職した学校の入学式に来賓の一人として招待されました。並みいる先輩諸氏の末席を穢しながらも、一言だけお祝いの言葉を述べさせてもらいました。
「(生徒の)みなさん!箸をつかみ、シャーペンをつかみ、夢をつかんでください!」

新入生はポカンとするわ保護者からは失笑が漏れるわ、やっちまった感は否めません。
「弁当で箸をつかみ、勉強でシャーペンをつかみ、この学校で夢を掴んで下さい!」
と言えばよかったかな?などと思っても後の祭りです。後悔ばかりの人生です。

さて、私は1981年(昭和56年)4月から教員生活を始めました。採用されたその年の入学式での保護者代表(父親)挨拶は、今も鮮明に覚えているほど感動するものでした。
「(前略)ここに並んでいる子供たちは、先生方にとっては玉石混交に見えるかもしれません。しかし、親の私どもにとっては、どの子もかけがえのない掌中の珠です。この大事な珠を先生方にお委ねしますので、どうか磨いて下さり輝きを増してやってください。」
 
もう震えるほど感動しました。私が高校入学した時、父も母もこのような気持ちで私のことを見てくれていたのだろうかと思うと、愛されていることに泣けてくるほど頭の下がる思いがしました。聴いていた親御さんたちはもちろん、新入生たちの心にも強く響いたことでしょう。既に両親を亡くした私ですが、今も忘れられない親心です。
 
今から42年も前の事なのですが、今年も保護者代表のあいさつの時に、あのお父さんの言葉が色鮮やかに懐かしく思い出されました。希望のある言葉、愛のこもった言葉でした。私は、心新たに生きようとの気持ちを強くしました。


※画像は、クリエイター・hiyorimi36さんの説明にあった「お守り」だそうです。掌中におさめた大事なお品でしょう。お礼を申し上げます。