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No.910 100年前のジョーク

「いちばん長い英単語は何ですか?」
と質問されたら、みなさんは、どんな単語をあげますか?
 
1989年(平成元年)11月12日に放送された「知ってるつもり?!」(日本テレビ系列)は、宮澤賢治(1896年~1933年)が主人公でした。その放送の中で、賢治が26歳で教師として赴任(1921年)した岩手県稗貫郡稗貫農学校(翌1922年「花巻農学校」と改称)で、英語を教わったという男性(80歳を超えていた)が、数年前に撮ったビデオ録画の中で話してくれました。なにせ、賢治先生が授業で受け持っていた科目は、作物・土壌・肥料・気象・農産製造・化学・代数・英語にも及んだそうです。もう「どんだけ~!」を連呼してしまいます。
 
賢治先生は、
「一番長い英単語を、辞書で調べて来なさい。」
と生徒たちに宿題を出したそうです。1920年代というと、大正10年代です。農学校の生徒たちの全員が英語の辞書を持っていたかどうか疑問ですが、Aから順に調べて来たそうです。中には徹夜組もいて、見つけた一番長い英単語を自信ありげに黒板に書いたといいます。
 
賢治先生は、生徒たちが黒板に書き留めた長い英単語をみながら、
「答えは“smiles”。sとsの間が1マイル(約1,6km)もあるから。」
と言ったそうです。「1マイルも長い!」という答えを聞いた生徒たちは、ちょっと間があって、「な~んだ!」というふうに皆で笑ったそうです。すると、賢治先生、
「ほら、“smiles”(笑顔)だね。」
と立派な「落ち」までつけたというのです。
 
私は、そのお爺さんが、非常に懐かしそうで、なおかつ誇り高そうに話す姿を見て興味深く思いました。それは、ただのクイズではなく、生徒の関心を引き出し、学問の面白さ楽しさに気づかせようとする知的好奇心への誘い水だったのだと思いました。賢治先生の教育術に感動と畏れを抱いたことが忘れられません。
 
宮澤賢治が、花巻農学校で教壇に立ったのは4年4ヵ月間だったそうですが、それから100年が経ちます。学校教育は、どこに向かおうとしているのでしょうか?凄く刺激を与えられた番組でした。
 
ある年、私のクラスの生徒たちに、
「一番長い英単語を調べておいで!」
と課題を出したら、な・な・何と「longest」と書いた生徒がおり、これにはやられました! 賢治先生、いかがでしょう?