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No.1090 ふくきたる?

寒くなりました。その昔、布団の中で読んだ『ガイド落語名作プラス100選』(京須偕充著・弘文出版)「佐々木政談」に大笑いしました。その中から2つご紹介します。
 
アハハ!(その1)
江戸の子ども奉行の名判決。
裁きの対象となる事件は、子供の喧嘩だ。
一から十までの数に「つ」が揃ってついているかどうかで、殴り合いの喧嘩と成った…。
「お奉行様、決着をつけてください!」
「さようなことにおいてお上に手数を煩わすは不届き。この度は差し許してつかわす」
戒めの縄を解かれた被告役の子は、奉行に
「一から十まで『つ』は揃ってついておりましょうか?」
と尋ねた。すると、子ども奉行は答えた。
「揃うておる」
「でも、お奉行様、『十つ』とは言いませんよ!」
「黙れ!奉行の申すことに間違いはない。『つ』を盗んでおる者があるのだ。一つ、二つ、三つ、四つ、五つと申すであろう。イツツの『つ』を一つ十に付ければ良いのだ」
「畏れ入りましてございます…」
 

アハハ!(その2)
前述の子ども奉行(高田屋綱五郎のせがれ四郎吉)に南町奉行佐々木信濃守が出頭を命じた。見事な頓智頓才に舌を巻いたからだ。
「四郎吉、天の星の数を教えてくれ!」
「お白州の砂利の数がわかりますか?」

「しからば、天に昇って調べて参れ!」
「初めて行くから案内つけてくれます?」

「父と母のどちらが好きか答えよ!」
「(三方に積まれた饅頭を取って半分に割り、)お奉行様どちらが美味いと思います?」

「では、その饅頭を乗せた台は、四角なのに、なぜ三方と言うのか!」
「この方々は、一人でも与力(四りき)?」

「では、与力の身分はどうじゃ!」
「(起き上がり小法師の達磨を取り出し)身分は軽いけど、お上の威光を笠に着てピンシャンピンシャン立ちます。腰は弱いけど」

「しからば、与力の心とは何じゃ!」
「(四郎吉は天保通宝の穴あき銅銭を達磨に結び付けると、)銭のある方に転びます」
 
「衝立の中の仙人は何と申しておるか!」
「『佐々木は馬鹿じゃ。絵に描いた口もきけぬ者に聞いて来いとは』と言ってます」
南町奉行佐々木信濃守は、子ども奉行(四郎吉)に一本、いや、七本取られました。
 
四郎吉の爪の垢を煎じて飲みたい気分の私です…。ハイ…。
あっ、いかん!出勤の時間だ!慌てて飛び起き、着替えます。
笑う門には、福来る(服着たる?)。
おあとが宜しいようで…。