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No.836 花咲か爺さん、花咲かす!

2022年12月7日の仁の音で「No.725 心の花の咲く男」のことを紹介しました。彼は、私と同い年の今年70歳です。
 
私の住む団地内の隣の班の「ごみステーション」は、山際の直角三角形をした空き地の片隅に設けられています。その空き地は、10坪前後と思われますが、長い間放置され、更地のままです。数年前にそのステーションの隣の家に越してきた彼は、ずっと気になっていたのでしょう。
 
去年の11月前後から、その彼が三角州のような空き地の整備を始めました。石ころがずいぶん出て来たそうです。私が愛犬と散歩する午前6時すぎに、もう作業を始めていました。除草し、耕して畝を作り、デルタ地帯の周りに石ころを何段にも積んで垣にしています。土が流れ出さないようにし、水の流れを良くしようと考えたのだそうです。なかなか根気のいる作業です。
 
「花壇にしたら、ゴミ出しに来た人が目を休めてくれるかなと思って。」
彼は、そう言って花の苗の入ったポットをいくつも用意していました。私は、彼の「無償の行為」に感動しました。花よりも先に、彼の心の花が美しく咲いているように思いました。いつごろ、どんな花が咲くのか、大変楽しみにしていました。
 
先日、そのデルタ型の花壇に赤や白や黄色や赤紫色のチューリップ、ピンクの小輪ニチニチソウ、ブルーのネモフィラ、オレンジ色のキンセンカが、今を盛りと咲いていました。画像は、その1葉です。いい景色です。彼の思いが、ご近所さんにも届いていることでしょう。「志」が「形」になる事の凄さ、素晴らしさを教えてもらった気がします。
 
全国、いや、世界中の「花咲か爺さん」「花咲か婆さん」、そして学校では「花咲か少年少女」たちが花々に目を細める季節がやってきました。