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No.662 あなたのテーマソング・人生の応援歌は何ですか?

「振り返ってみるのは、前に進むためです。」
とカッコ良く言ってみたいところですが、単に懐かしいだけのお話なのかも知れません。
 
その昔、「ミッチと歌おう」という音楽番組がありました。オープニングからのミッチ・ミラー合唱団の歌が素晴らしく、今もメロディーだけは口ずさめます。放送は1963年(昭和38年)~1966年(昭和41年)だったようですから、私は小4~中1の頃でした。その指揮者のミッチ・ミラーは、2010年(平成22年)に99歳で大往生したそうです。歌の楽しさ、合唱の迫力と重層的な美しさを子供心にも感じさせてくれた忘れ難い人物です。
 
続く「アンディー・ウイリアムス・ショー」は1966年~1969年(昭和44年)の放映で、私は中1~高1の頃です。アンディの鼻に掛かったソフトでスケールの大きい男性的な歌声には、ご婦人だけでなく、日本の一少年もシビれました。加山雄三の歌声がアンディ似だと思うのは、私だけでしょうか?
 
その「アンディー・ウイリアムス・ショー」で、2人目の妻となったクロディーヌ・ロンジェが「青春の光と影」を消え入りそうに儚い声で歌ったように記憶するのですが、どなたか覚えていらっしゃいませんか?そのタイトルが衝撃的だったからなのですが、何ともいえない若い女性の憂いに満ちた歌い方に魅入られてしまったのかも?
 
そして、大好きな「ステージ101」(NHKの若者向け音楽番組)が始まったのが、1970年(昭和45年)、私が高校2年の時でした。弾ける若さ、まぶしい笑顔の輝き、ヤング101のメンバーやその歌声に毎週待ち焦がれていました。中でも「怪獣のバラード」は、大好きな曲の一つでした。砂漠に棲む怪獣が、愛と海のある希望を目指して歩き始めるのです。夢をもって一歩踏み出すことの情熱を、歌から与えてもらったのでした。
 
そのステージ101の放送最終回(1974年3月)の歌は「涙をこえて」でした。
♪  涙を越えて行こう
 なくした過去に泣くよりも
 涙を越えて行こう
 輝く明日、信じて~ ♭
我が青春時代のテーマソングだと感じていました。
 
しかし、社会に出てみると不条理はまかり通るし、思うように事は運びません。情熱の鼻はへし折られ、四季折々に喜怒哀楽の心の花が、咲いては散りました。そんな私の心の奥にストンと嵌ったのが、渥美清の「泣いてたまるか」(1966年)でした。これが、私の人生の応援歌となったのです。
(一)
天(そら)が泣いたら 雨になる
山が泣くときゃ 水が出る
俺が泣いても 何にも出ない
意地が涙を
泣いて 泣いてたまるかヨ~
とおせんぼ
(二)割愛
(三)
上を向いたら きりがない
下を向いたら あとがない
さじを投げるは まだまだ早い
五分のたましい
泣いて 泣いてたまるかヨ~
夢がある

その渥美清さんは1996年(平成8年)に68歳で病没しました。晩年には、俳句を趣味としていたそうで、「風天」(「瘋癲の寅さん」?)の俳号で句を詠んでいます。
「ひとり遊びなれし子供のシャボン玉」
「好きだからつよくぶっつけた雪合戦」
「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」
「いみもなくふきげんな顔してみる三が日」
「台所誰も居なくて浅利泣く」
「蟹悪さしたように生き」

※画像は、クリエイター・スナフさんのタイトル「柴又は寅さんに会いに行ってみた。」をかたじけなくしました。生涯を歩いた雪駄が雄弁です。