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No.854 そこ(底)に気づいた!

ふとした日常を面白おかしく切り取った「サラリーマン川柳コンクール」は、昨年第35回目を迎えました。ところが、「『サラリーマン』という言葉は、男性のイメージが強すぎるのではないか」という第一生命保険会社(主催者)内から声があったそうです。
 
そこで、第36回目となる今年から、コンクール名を「サラっと一句! わたしの川柳コンクール」に改名するそうです。女性の参加者が今まで以上に増えそうですが、「サラリーマン」の語感が醸し出す男性諸氏の哀切を爽やかに(?)笑い飛ばすトーンの川柳が影を潜めぬように祈るばかりです。
 
さて、32年前となる第5回(1991年11月)「サラリーマン川柳」の入賞作品について新聞の紹介記事があったので、あまりに懐かしくて取り上げさせていただく次第です。

「一戸建てまわりを見ると一戸だけ」
「宮沢派りえのファンかと聞く新人」
第一生命保険は21日、全国のサラリーマン、OL、主婦から募集した第5回サラリーマン川柳コンクールの入賞作品百篇を発表した。
 応募5万5千70編の中から選ばれた入賞作で最も多かったテーマは、職場の「上司・部下」。例えば
「指示待ちの上司の下で指示を待ち」
「熱い鉄強く打ったらすぐにやめ」
「会議中うなずく者ほど理解せず」など。
 夫婦物の
「まだ寝てる帰ってみればもう寝てる」
「定年の近づく夫(つま)に仕込む家事」
「単身の男の手料理妻をこえ」
「スーパーで部下の姿に逃げ隠れ」
などの単身赴任物も多かった。
 住宅難、残業、職場での人間関係に悩みながらも、そんな姿をコミカルに風刺した作品が目についた。」

大分合同新聞

「サラリーマン川柳」は、時代を写す鏡のような性格を持っています。汗して懸命に働くお父さん方の自虐趣味的な作品、面と向かって口には出せない妻に向けての意趣返しのような、直球を避け変化球で男の優しさをアピールする作品に「ほ」の字の私です。
 
ちなみに、私の大好きなサラリーマン川柳は、第31回「サラリーマン川柳コンクール」(2018年)の作品、
「父さんの苦労知ってる靴の底」(可可子)
ベスト10には入りませんでしたが、私には、鼻の奥がツーンとしてしまう秀句なのです。


※画像は、クリエイター・INARIさんの、「しだれ柳」の1葉をかたじけなくしました。川に柳の姿、清々しい色がステキです。お礼申し上げます。