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私は何者か、313


歩いていたら、影がついてきて、いやに元気よく私の先回りなんかして、行進みたいに手なんかぶんぶん振って歩く。もうすっかり日も落ちて、その影は誰がこさえたのか。あゝ、あの、エルイーディーとかいう、明るいがいやに冷たい光のもたらす影武者か。私が威張っているのに、影よあなたはもっと偉そぶっているのか。でも、あなた自身は死なないのですものね、まこと影武者。お風呂を洗い終え窓を開けたなら、湯気の代わりに若い草の香りが満ちてくる。暗闇にも季節は巡り、誰かが月をしゅぱりとたて半分に切り取って、内ポケットのなかにしまいこんだのだろう。半分の月明かりを頼りに家路を急ぐ人たちよ。そのからだの周りにも春は纏いつく。たしか、一年くらい前背中に文字を書くゲームを夜通しやり続けて、画数の多い、けれど、ちょっと仄々とした文字を書くのが暗黙のルールで。ワインを飲みながら、背中をくねらせて、笑いあう。そんな春ならいくらでも来ていいよねと。明けない春も良いものねと。


目覚めたら白いシーツの草原にわたしはひとり揺蕩う春陽


光にあふれる、けれど、普通の日々。


それが、どれほど、良きことか。


私は何者か、


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