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私は何者か、番外編、a dozen 短歌8


珈琲の湯気のとおりに空でさえ傾いてゆくこころなおさら

秋蝶の深い森から現れて次第に淡く消えゆくだけの

最後まで残ったからと一様に大切であるとかないとかで

キッチンの窓を少しだけ開けて呼んでみたなら霜が降るふる

飲んでいるビールを少し飲んでいる私ひとりをとりもどすまで

取り返す取り戻すとか誰のため烏は家に子供残して

ゆふぐれの誰か知らぬが駆け足でキッチンそれぞれ己が目分量

理不尽な婦人ではなく夫人だと城を出てから城へ戻るまで

土のうへ沈黙もなし雄弁も我ら平に陽を浴びており

川の音集まりてまた分かれゆく群れているのはひとである由縁

星を見て指をぽきりと鳴らしたり人とはそんな儚いものよ

落ちてくるものに水または水の音明日はそんなに遠くでもない

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