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ゴーストバスターズと音の隙間

Netflixで、ゴーストバスターズがどうやって出来たかという番組的なものがあり、それ見てみたら、本編をもう一度見てみたくなりました。

ゴーストバスターズって、ゴーストブレーカーズって名前になりそうだったんですね。以下を見るとそんな事も出てます。

自分が気になったのは、ストーリーとかではなく音の作り方で
セリフの録音とか、効果音のジャンル、音楽の考え方なんです。

ゴーストバスターズは1984年の映画なので、機材が発達してる部分と、
そうでない部分があり、めちゃめちゃな時代です。

セリフ
映画見て(聴いて)すぐに思ったのが「セリフのマイクが遠い」です。
ガンマイクも高性能ではないですし、
ピンマイクは、まだ大きすぎて衣服に仕込めない時代です。

70年代くらい迄は、撮影時に録音が殆ど出来なかったので
しょうがなくアフレコをしてました。
80年代からは録音機もデジタルになり、撮影と同時に録音でき、
アフレコしないで済むので予算削減にも繋がります。

たたし、マイクの感度や、技術が今程よく無かった為に
演者とマイクの距離がかなりあり、セットに響いている音が凄く多いのです。
この年代の映画は全てそうで、バックトゥーザフューチャーとかもそうなってます。

90年代に入るとピンマイクも小さくなりましたが、
ルーカスのチームのように、
「カメラで撮影した後、カメラをどけてマイクを入れて2度目の演技をしてもらう。」
という方法も確率していきます。

撮影録音とアフレコの中間のような手法で、
演者も演技を覚えているし、音も良い位置にマイクを置けるので
最適な手法です。
ルーカスはこの為に、その場で映像見ながらアフレコが出来るソフトまで開発したそうです。

因みに弊社はこれを15年前からFinalCutProで行ってますが
国内映画は撮影時間が短いのでなかなか定着しません。

効果音
効果音はシンクラビアという、デジタルサンプラーが出てきた時なので、
凄くカッコ良い音してます。
これ、自分が居たポスプロにもありまして、10年使ったので良さを知ってますが、録音、加工、音程変える、再生、音を重ねる、映像に貼り付ける。
このような事が、一瞬で出来ました。
全てのボタンがキーボードに出ていたので、アクセスが早かったのです。

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因みに自分が使っていたのは、シンクラビア9600というモデルで
パトリオットとかいうテープレコーダーと、レーザーディスクに読み書きするオプションが付いてまして
スカイウォーカーサウンドの効果音とかが入ってましたね。
このシンクラビアは、現在iPadのFM音源として蘇ってます。

で、このゴーストバスターズの効果音はかなり良いと思ってますが
セリフや、音楽に効果音が勝ってしまっていて、バランスが悪いなと感じました。
「下手な合成を見た」という感じです。


音楽
今この演出をしたら、見てる人不安になると思います。
音楽が入ってない所が多いのです。

絵を見て考える所とか、音楽もメロディーで引っ張らなく
BGM扱いの考えが沢山あります。

今の映画音楽では、全体的に「音も主役」みたいな所があり
映像演出でもセリフでも、効果音でも、音楽の歌でも、
全て同じメッセージを言ってぶつかりあってます。

同時に鳴る音が多くなっていて、
「考えないで感じさせる」という構成ですよね。

最近の映画はこれが頭から最後まで続きます。
作っていると分かる気もします、隙間が不安になるんですよね。

でも思い切って、隙間を多くして
脳みそのリセット空間が必要と考えてます。

この80年代の映画は、きっちり考える時間を与えてくれてました。

皆様も音に注目して、この映画を聴いてみてください。
隙間だらけですから。


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