伴奏の付け方
メロディーに対する伴奏の付け方のパターンについて書き留める。
現実の伴奏は複数の要素を兼ね備えることが多く、完全に区別されるわけでは無いだろう。
なお、本記事におけるメロディーとはメイン・メロディー(主旋律)を指すものとする。
①モノフォニー
メロディーと同一の音を奏でる。これも立派な伴奏であり、メロディーに対する最もシンプルかつ強力なアプローチ方法である。
所謂「キメ」と呼ばれるアレンジや、ヴォーカルのダブリングなどは、モノフォニーの発想と言える。
②ヘテロフォニー
モノフォニーの感覚を基本としつつ、より自由に伴奏する。その結果として完全に異なる旋律に聴こえることもあるが、旋律の持つ雰囲気がメロディーと同じであることから、後述のポリフォニーと区別され得る。
例えば日本民謡の三味線伴奏は一聴、歌と全く別の旋律(ポリフォニー)に聴こえるが、よく聴くと歌と同一のヴァイブスを持って奏でられている。従ってヘテロフォニーに分類されるようだ。
多くの民族音楽がヘテロフォニー的である。
③ドローン
ピッチ変化の無い持続音を長く奏でる。バグパイプとか。現在の音楽にもドローンの発想を応用できるケースは多く、馬鹿にできない。
④並行オルガヌム
メロディーに対して完全4度/5度の音を同一のタイミングで奏でる。現在でもシンセサイズ等で応用が見られる。
⑤ポリフォニー
メロディーに対して独立した自由旋律を奏でる。リズムも任意にずらす。これ自体にキーの概念は無い。
対位法を応用する場合、緊張と安定の波のような音楽効果を得られる。
ポリフォニーの中の特殊な例としてカノンや自由オルガヌム(リズムはメロディーと同一)がある。
⑥ホモフォニー
キーの概念を導入し、トニック/ドミナント/サブドミナントの機能和声を用いてメロディーを支える。
実際の演奏としては、コードの重奏や様々なアルペジオ奏法、③~⑤の要素を部分的に取り入れるなどする。
ホモフォニーは音楽効果の高い伴奏法であるが、キリスト教圏で発展した特殊な伴奏法である。
(⑦)伴奏しない
アレンジを作る上で最も基本的かつ重要な発想である。
伴奏が始まる、或いは止む、ということ自体が音楽的である。
特に、リスナーに予期させず突然伴奏を止める手法は「ブレイク」と呼ばれており、音楽効果が高い。
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