SAKKA SONIC 2020のこと

さる1/18(土)、小説家によるライブフェス、SAKKA SONIC 2020が開催された。

1年前に初開催されたSAKKA SONIC 2019が、譫言としての初ライブだった。その感想などはすでに記した。挫折と言えば大げさだが、とうてい納得のいく出来ではなかった。

それから1年が経ち、再びサカソニのステージに帰ってきた。最近ではライブも回数を重ね、しだいに緊張しないようになっていたのだけれど、やはりサカソニは少しばかり気負いがあった。僕ら譫言にとって、特別なステージなのだ。

さて当日の朝、準備をしていて重大なミスに気がついた。リハ前にバンドで1時間練習をする予定にしていたのだが、アンコールのリハとバッティングしてしまったことに気がついたのだ。慌ててメンバーに連絡を取り、リハのあいだにアンコールに出ない吉住にセッティングをしてもらい、練習をすることで落ち着く。

僕は事情を説明してアンコールのリハを途中で抜けさせてもらうため、早めに会場入りした。雪の降るとても寒い日で、機材があり傘を差すのが面倒でコートのフードを被って歩いた。ほかの方からタクシーで会場入りしたという話を聞き、自分もそうすればよかったと思うが後の祭りだ。ライブハウスに機材を置き、近くのラーメン屋で昼食をとる。その後、いったん機材をスタジオに搬入したのち、明利さんとともにアンコールのリハへ。

今回の目玉と言っていい、初出演の堂場瞬一先生にはステージ上でご挨拶。音があるのでちゃんとお話しもできず、カチコチに緊張してしまった(失礼しました)。バタバタでリハをおこない、まあ僕と明利さんはボーカルだけなので進行だけ確認してスタジオへ。しかしさすがに時間が足りず、不安な曲を抜粋して練習するにとどまった。

ライブハウスに戻って、譫言のリハーサルは滞りなく進んだ。返しなどでいくつか注文をしたものの、全体的には音響がとてもよかった。リハが終わったら、いつの間にか会場にいたはずの共演者や編集者さんたちが全員消えていた(飲みに行っていたらしい)。吉住の「『バンドマンをリハ中に撒くことなど容易説』にかけられたんじゃね?」という発言に笑う。物販のセッティングをし、明利さんはいつもどおりビールを飲み、開演へ。「Next artist is」の映像、めちゃくちゃいい。こういうところをおろそかにしない運営、本当に素晴らしい。本物のフェスっぽくて感激した。昨年同様、入場待ちの列ができてしまったとのことで、開演が5分遅れたが、5分で済んでよかったと思う。

譫言は今年もトップバッター。板付きの吉住のドラムで1曲目の『リバース』が始まる。イントロで高揚させてくれるこの曲、イベントの始まりに実にふさわしい。ステージから客席を見回すと、すでに満員近い入り。興奮からかどうしても走りがちになってしまったが、それでも自信を持って演奏できた。

2曲目はおなじみ『加害者エレジー』。ただこの曲はハイトーンが続くうえに息継ぎが難しく、いまだに歌い方を模索中だ。このときも最後のほうで息切れしてしまった。反省である。

MCはいつもと毛色が違う。小説家バンドという紹介が不要になるからだ。映像を見ると、いつものMCよりだいぶ声のトーンが高い。われながら興奮していることが伝わる。明利さんが「そのうち会場が武道館になるんじゃないか」という発言、夢が広がりますね。

3曲目、『ミルフィーユ』。この日はこの曲が一番出来がよかった。ライブ後の反応もとてもよく、複数の方に『ミルフィーユ』がよかったと言っていただけた。もともと、そういう反応をいただけるだろうと思っていた曲だ。間違ってなかったとようやく実感でき、安心した。

4曲目、『タイムライン』。サンプラーでギターを重ねるという実験をした。練習不足で本番でうまくいくか不安だったが、おおむねよかったと思う。サンプラーがあると三人でもできることが広がる。今後、どう生かしていくかは課題だ。

再びMCをはさんで、この日初披露の新曲『真実』。以前、一度バンドのツイッターで弾き語り音源を上げたことを憶えておられる方はいるだろうか。デモができたとき「名曲だ!」と叫んだのはこの曲である。8ビートのアップテンポな曲が多いうちのバンドの中で、この曲はリズムが違うのでアクセントになると思っている。歌詞のメッセージも力強い。この曲もあとで何人かの方に「よかった」と言っていただけた。ただし、ギターソロではテクニカルで難しいことをやっており(開放弦がスケールから外れている関係で、指弾きをしているのだ)、この日は思いきりミスをしてしまった。もっと練習するのはもちろんだが、弾き方自体を変えるかもしれない。

ラストはいつもどおりの『ソフィー』。これで終わるという解放感から、この日もだいぶ暴走した。それはともかく、サビが以前よりしっかり歌えるようになったのは改善できたポイントだ。演奏を聞いてフィードバックをし、確実に歌がよくなっているのは自信につながる。

35分間、楽しんで演奏することができた。1年前とは天と地ほどの差があった。これも、昨年の後半にしっかりライブをこなして経験を積んできた成果だ。昨年のサカソニにも来てくださっていた方ほぼ全員から、「すごく成長した」と言っていただけた。僕らもその手ごたえを感じている。まだまだ未熟だが、少しずつでも前進しているということが大事だ。1年前の失敗の呪縛から、ようやく解き放たれたような気がした。

2組目の佐藤青南さんはほとんどスタジオ練習もできなかったらしいのに、とてもしっかりした演奏だった。個々の技術が高いからだ。僕らももっと練習しなければならない。ピックや本を投げたり、ライブの盛り上げ方も上手だった。盛り上げ下手な僕らにとっては学ぶところが多かった。

3組目、初登場の堂場瞬一&PICABIA。いくつになってもバンドを続けることって本当にかっこいいなと思う。堂場先生はテクニカルにギターをかき鳴らし、お好きな音楽が伝わってくるようでよかった。ぜひまた共演したい。

ラスト、誉田哲也&ザ・ストロベリーナイト。誉田さん、やっぱりギターがうまくてかっこいいなと思う。このバンドはもう5年続けているそうで、安定した演奏で素晴らしかった。特に1曲目のクールな感じが好みだった。コーラスのかかったギターのサウンドもいい。

4曲目まで聴いて、アンコールのスタンバイのため楽屋に向かった。堂場先生がいらして、僕がサカソニTシャツに着替えたのを見るなり、「やっぱり着なきゃだめかなあ」とおっしゃいながら着替え始めた。堂場先生とはこのとき少しお話ししたが、僕が緊張してしまってこちらからいろいろ訊けなかったのは残念であった。またゆっくりお話しできたらうれしいなと思う。

アンコールはKISSの『ROCK AND ROLL ALL NITE』。誉田哲也&ザ・ストロベリーナイトのお三方と堂場先生、青南さんが演奏し、僕と明利さんはボーカルのみという構成。というのも、僕はギターを弾いてほしいと言われていたのだが、どうせ大したギターソロは弾けないので、ボーカルだけでいいと断ったのだ。もし客席に「岡崎にも弾かせてやれよ」と思った方いらしたらすみません。僕が断ったのだということは、ここに記しておきます。

昨年のアンコール『Daydream Believer』はぶっつけ本番だったので途中ややグダってしまったが、今年はリハをやったので安心だ。僕は1番のAメロを歌った。ギリギリまで歌詞を憶えておらず(ものすごくシンプルなのに)、案の定本番でも少し歌詞があやふやだったが、まあ歌詞なんて誰も聞いちゃいないだろう。作家三人によるギターソロの競演、しびれた。とても楽しいアンコールだった。

こうしてサカソニ第二弾は幕を下ろした。とても楽しい一日になった。MCでもたびたび言及されていたように、サカソニ本編はもちろんアンプラグドなど関連イベントももっとやっていきたいし、地方でも開催できたらうれしい。野外もやりたい。ますます夢は広がるばかりだ。

もちろん自己満足ではだめで、お金を払って見に来て下さるお客さんに楽しんでいただくことが何より大事である。そのために、あらゆる意味で腕を磨き続けなければならないと思う。がんばりたい。

ご来場いただいた皆様、共演者の皆様、運営の皆様、ライブハウスの皆様、本当にありがとうございました。またサカソニのステージに帰れる日を、心より楽しみにしております。

まったくの余談だが、サカソニが終わって昨年から続いたライブ出演も一段落し、ようやく肩の荷が下りた心地になり、ここぞとばかりに朝4時まで飲んだ。月並みだが、ライブのあとの酒ほどうまいものはない。

次の譫言ライブもほぼ決まってます。また告知しますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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