豆夫

久しぶりにAll The Sameを聴いた。
『大豆田とわ子と三人の元夫』
この作品、本当に松さんの演技が好きすぎた。惚れる。

以前、坂元さんが手がけた『カルテット』がすごく私の中で心に残る作品で、同じ脚本家で松さんと松田さんが出てるだと…!?と知ったのが第一話の放送終了後。

即、TVerで見逃し配信を観た。

シーズン1~3まで元夫達の個性も豊かだし、とわ子も恋愛体質のダメ女とかじゃなく、ちゃんと自立した女性だった。その時点で既に好感度70%。

男社会の建設会社でとわ子が社長というのが「世襲かな」と条件反射のように思ったけれど、第二話で前社長からのご指名だったと分かったり、伏線回収や後出し情報がいちいち魅力的で、どんどん夢中になった。

脚本、音楽、演出、演技、全てが素晴らしい作品。


個人的に、六話は特にすごかったと思う。

あんなにも明るく、爽やかに、微笑むように人の死の哀しみを表現している作品を私は他に知らない。

六話そのものが、かごめのお葬式だったのだと思う。


「出汁の匂いだ」と喜ぶかごめが愛おしくて。

ご飯を食べながらかごめの作品の原稿を読む、とわ子の潤んだ瞳が美しくて。


一人で死んでしまったかごめを、誰とも寄り添わず、一人で弔う。それは罪悪感とかではなく、ただそうしたかったんだろうと思う。

危なっかしくて、ちゃんとしてなくて、フラフラしてる彼女を、ずっと見守っていたかったんだろうな…。


一年じゃ全然消化なんてしきれなくて、でも生活は続いていくし、笑うことだってそりゃある。

そうやって少しずつ「居ないことが当たり前」になっている事に気付いたらやっぱりショックで、哀しくて、自分は冷たい人間なんじゃないかって考えたりする。

近しい人の死って、そういうものだと思う。

哀しみと罪悪感の比率が少しずつ逆になっていく。

泣かない日が増えて、考えない日も出てきたりして、薄情な自分に落ち込んでみたりしながら、それでも明日はやって来る。現実を残酷に感じながらも、時間が経過している事にどこか救われる。

この作品に登場する人達全員、濃いキャラクターはあれど皆ちゃんと「人間」らしかった。
何も割り切らず、誰も責めず、誰にも勝たないけど負けてない、本当に優しくて素晴らしい作品。

次の作品も出ないかな…楽しみだな。

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