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エッセイと読み物

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ネタに(あんまり)走ってない愛媛のまじめなエッセイやSSを集めました。
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記事一覧

祖父はオレンジ色と共に

およそ70年前、戦中から戦後すぐのことだ。 国鉄勤めの父親は、浮気が原因で身重の母に追い出…

よしきち
2年前
6

ソースがないのにお好み焼きが食えるか

「今日お好み焼き作るって言ってたけど、ソース無いよ」 同居人氏と同居し始めて一か月。 仕…

よしきち
2年前
10

おもいでバス

「癌が見つかった時には、ステージ4だったんですよ」 「去年息子が風呂場で倒れてそのまま……

よしきち
2年前
6

未来をボクらの手の中へ

「ベビーカー、担ぎますよ」 声を掛けた先、お母さんは眠る赤子を抱っこし、折りたたんだベビ…

よしきち
3年前
5

ショートピースと秋の空

秋晴れの朝。始発の特急に乗って瀬戸大橋を渡る。 ガラガラの車内から変に晴れやかな外を眺め…

よしきち
3年前
12

あめふりのうた

「いらっしゃいませ。3名様ですか?」 竹内の声が店内に響く。 そちらの方向に『いらっしゃい…

よしきち
3年前
9

人生って、逃げても案外なんとかなる。

「大丈夫ですか!?」 「意識が戻ったぞ!」 さっきまで駅のホームで立っていたはず、だった。 背中が地面に触れている。必死な表情の救急隊員に顔を覗き込まれ、周りがやたら騒がしい。そのまま担架に乗せられて、救急車まで運ばれている間の周りの声で、やっと状況を理解した。 意識を飛ばして、頭からぶっ倒れていたのだと。 そんな状況に陥ったのは、私のある【失敗】が原因であった。 話は2008年まで遡る。 就職して3年目。とある試験装置を1人で担当することになった。 部署のメンバー

あの頃のワンピースをもう一度

何年か前の話。 体を壊して体重が増えた状態から戻らなくなって。 《どうにかしたい》どこか…

よしきち
3年前
14

13歳と33歳がB'zの『さまよえる蒼い弾丸』に背中を蹴っ飛ばされた話

1998年 中学校に入学してすぐ。 子どもながらにやっぱり色々あるわけで。 心に抱えるモヤモ…

よしきち
3年前
14

母の一汁五菜と、今の具沢山みそ汁と。

二十歳。親元から離れ、引っ越してきた部屋に一人。 ある家事について、どうしたものか考えて…

よしきち
3年前
8

秘湯は基本的に山奥にある。

こんな場所を走れるのか?そんな疑問を余所に車が走る。 人生で初めて見る高さの雪。 万が一…

よしきち
3年前
8

「相変わらず誰も人が居ないね」

一人旅で撮った写真の数々。 それを見た友人がぼそりと呟いた。 一人で、自撮りをしないので…

よしきち
3年前
8

闇夜の提灯

「あの人も毎年参加してるって」 そう聞いて出掛けた、兵庫のあるイベント。 来るかどうか解…

よしきち
3年前
7

西の祖父が死んだ

9月26日 午前5時9分。  祖父が87年の生涯を終えた。 私が最後まで手を握り、家族11人に見守られて死んでいった祖父。 前から体調が悪いのは聞いていた。 また救急車で運ばれたのも、入院したのも。 それでもちょっと前まで減らず口を叩いていたから今回も回復するかな、前も大丈夫だったし。そんな風に思っていた。 いや、思っていたかった。 (下記参考) 母から電話があったのは23日の夜。 急に容態が悪くなった。今度こそダメかもしれない。 上期末で年に2番目に忙しい1週間