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カセットと青いワンピース


 映画の感想2本まとめて。まずは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」から。大好きなシリーズなので楽しみにしていましたが、最後を飾るに相応しい楽しさと感動がありました。今回の主役は銀河一凶暴なアライグマことロケット!彼の生い立ちエピソードは全動物好き号泣。私ももちろん泣きっぱなし。アライグマだけでなく、今後カワウソを見ただけで泣いてしまいそうなくらい。シリアスなシーンにも適度にギャグを挟みつつ、ノアの方舟を彷彿とさせるラストまであっという間の2時間半。普段は悪役やりがちなウィル・ポールターが、オチ担当だったのには笑ってしまいました。彼に向けられた「失敗してもやり直せばいいよ」というセリフはジェームズ・ガン監督自身とも重なり胸熱。

 完璧な世界、完璧な人なんて存在しないけれどそれでもいいところはあるというシンプルなメッセージが伝わってくる作品でした。ガーディアンズのメンバーはお互い助け合いながらも、それぞれの人生を尊重しているのもいいなと思いました。見出し画像は、お友達のインスタを見て劇場に買いに走ったカセット型キーホルダーです。

 次は大好きなレア・セドゥ主演「それでも私は生きていく」です。最近は特殊な役が多かったイメージの彼女が、親の介護や恋愛や子育てに悩む等身大の女性サンドラを演じているのが新鮮。赤と青を基調としたリアルなパリジェンヌの着回しファッションが素敵で、赤い花柄のワンピースに青のシャツ、ラストの花柄コンビネゾンにウェッジソールのサンダルが好きでした。そしてベリーショート(ピクシーカット)が似合うこと。顔が整っていて全身のバランスが良くないと難しい髪型ですが、古くはジーン・セバーグ、アジアなら「恋する惑星」のフェイ・ウォン(日本なら出家前の家田荘子先生?)などの系譜を継ぐ美しさ。

 哲学の教授だった父親の本にまつわるエピソードと、楽しそうなクリスマスのシーンが印象に残りました。本棚に並ぶ大量の本こそが父親の魂であり、少しずつ家族のことを忘れ恋人を頼りにする父親は肉体でしかないというのは真実だけにとても切なかったです。フランソワ・オゾンの「すべてうまくいきますように」でも描かれていたけれど、フランスでも介護や安楽死の問題は大きな関心事なのでしょう。サンドラと恋人クレマンの複雑な関係や、サンドラの母親が政治活動に参加して勾留されたりしているのもサラッと描かれているのはいかにもフランスだなと思いました。

 おまけはサンドラが羽織っていたシャツのような、鮮やかなブルーのHaaTのワンピース。おかゆ嬢が心配で物欲はギャラクシーの彼方へファーアウェイな昨今ですが、これは前に展示会でお願いしていたもの。京ちぢみを使った生地は涼しく夏に大活躍しそうです。同じくブルーのCITENのトートも活躍中で、今年は少しパキッとしたブルーが気分です。