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ココアピクルス追悼記 #21

再度演劇欲が湧いてきたので肩慣らしで簡単なものを見てみました。

演劇における、「共感(エンパシー)について」




今回はこちら。

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「アセリ教育」
劇団4ドル50セント×柿喰う客
2020

2020年2月の舞台が、現在YouTubeで期間限定公開されています!
【配信URL】https://www.youtube.com/watch?v=iGGqed7FtYw
脚本と演出が中屋敷さんなので、めっちゃ早口だし展開早いし照明音響バーンみたいな、いわゆる柿風味な演劇でした。

<あらすじ>
西暦20XX年―
個人主義の暴走は教育機関を完全にマヒさせた!
政府は新学習指導要領「アセリ教育」を断行!
人権無視のスパルタ教育を子どもたちに施していた!
そんな中、最強の落ちこぼれが、政府に反旗を翻す…!?

柿の作品って大体やべぇ設定なので、まあそんなあらすじですよねって内容でした。
なんでしょう。基本的に柿ってめちゃくちゃなのに、似たような作品を作ろうと思ったら絶対あそこまで面白くならんやろうなという確信があるんですよね。

面白かったです。

はい。


では、ここからはなんで面白いのかな?ということを考えていきます。


まず1つ考えられるのは、音響照明と役者のキレだと思います。

これはもはや、ダンスのようなものだと考えていいと思います。
そりゃ目の前でカッコイイ照明と音響に合わせて人が動いてたら見たくなりますよね。
また、ダンスと呼べるほどに徹底した身体表現(主にキレのある動き)も、ばからしい脚本を面白くしているひとつの要因だと思うのです。
演劇には和菓子のように繊細な部分ももちろん必要ですが、一方でこのようにジャンクフードのようなファンキーさもインポータントだと改めて理解しました。


そしてもうひとつは、お客さんの共感(エンパシー)を作るのが上手ということです。

演劇や映画、小説などにおいて、共感が非常に重要な要素であると、以前何かの本で読みました。僕もそう思います。

登場人物に共感をする事で、見ている側は感情移入ができ、泣き、笑い、感動することができます。共感はおもしろさに繋がります。充足感につながります。
極論を言うと、共感とは「観客自身」が登場人物になることだと思っています。勝手に。
自分自身が舞台上で起こっている経験をすると想像したら、ヤバくないですか?
僕はこれくらい、お客さんの「共感」を得ることは大事な要素だと思っています。

では、どうすれば共感してもらえるか?

これは、作品側と観客側の両方の問題です。

先ず一つの方法は、舞台上にめちゃくちゃリアルな人間を描くということが考えられます。
先程述べた極論をひっくり返すと、お客さんが「これ私にそっくり!」って思えれば共感を得れたということになりますね?
なので、お客さんがその人間的な役者の中に自分自身を見い出せた瞬間、大成功です。
僕は、これは平田オリザさんの演劇がそのタイプだと思います。

しかしながら、自分自身を見いだせないお客さんも中にはいるはずです。
僕がそうなんですけど、リアルな人間を描かれると、逆に自然すぎて特に何も思わないよって思っちゃうんですよね。ごめんオリザ。

ということでもうひとつの方法は、めちゃくちゃデフォルメをした人間を描くそして魅せたいリアルさだけ残すという事が考えられます。
これが柿喰う客の得意としている方法だと思うのです僕は。
こうすることで、お客さんは「見て欲しいところ」が見やすくなり、そして共感できるポイントを探しやすくなります。
デフォルメしたキャラクターで惹き付けておいて、一貫して残してある人間性にギャップ萌えみたいなイメージですね。

柿の上手いところは、それでもちゃんとリアルさを残すことで、観客に共感してもらう部分は紛れもなく人間的なリアルさを残した部分にしてある所だと思います。
だから、お客さんの共感も本物でいれるのです。


以下、書いていたらメモみたいになりました。



自分の理解力のなさをひけらかすようで嫌なのですが、実は僕は、2019本公演「御被楽喜」はあまり好きではありません。
なぜかと言うと、役がデフォルメされすぎて共感できる部分が少なかったからです。
凄いなとは思ったのですが、心は動きませんでした。残念。


ちなみに今回の作品で例を出すと、
「努力したことは認めて欲しい。〇と×の間の△を認めて欲しい」
という事が繰り返され、また僕の心に響いたのがそのセリフでした。
これは、全体的なデフォルメ(勉強による圧政とおバカさんの差別、最後のテストのシーン等)により「努力していること」を強調しています。設定を激しくし、「頑張ったこと」をとことん強調しています。
しかし、ゼロの必死さの根本にあるものはデフォルメされているものではなく、誰もが経験したことのあるリアルな必死さを感じられます。共感できます。
なので、その先の意見である「努力していることを認めて欲しい」という言葉についても共感できるという寸法です。

これ、もはやメモですね。ごめん。

ここまで読んでくれてありがとう。よく頑張った。ありがとう。おやすみ。
Googleでおひらきの解釈を調べて、今日は寝ることにします。

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