見出し画像

#30 ガン治療、今と昔では違うの知ってますか?

皆さんのガンの治療のイメージはどんなのですか?

岡安は小さい頃に見てたドラマとかのイメージが頭の片隅に残っておりまして…


重たいモノトーンの部屋。
薄手のベージュ色のカーテンが揺れている。
ベッドに横になってずっと外を眺めているアキヨシ

ユウキ 「だいぶ顔色戻りましたね」
アキヨシ「うん、落ち着いてきたよ」
ユウキ 「桃剥きましたよ。食べますか?」
力ない体を擦り起こして
アキヨシ「ん…いや、あとで頂きます」
ユウキ 「わかりました。とても熟れてて甘そうですよ」
アキヨシ「本当だね…じゃあ、ひとつだけ…」

か細い声で一口大に切ってある熟れた白桃を半分頬張るアキヨシ。
少し笑みを浮かべる妻のユウキ。
外の桜の木を眺めるアキヨシ。

アキヨシ「…」
ユウキ 「春頃は綺麗な桜が咲いておりましたね」
アキヨシ「今はもう落ち葉か…」
ユウキ 「そうですね」
アキヨシ「あの葉が全て落ちる頃には私は…」
ユウキ 「来年も一緒に桜を見ましょうね、今年よりきっと綺麗ですよ」

じっと桜の木を見つめるアキヨシ。

アキヨシ「そうだね…ゴホンゴホン」
ユウキ 「横になって下さい」
アキヨシ「苦労をかけてしまって本当にすまない」

首だけを振るユウキ

アキヨシ「あの日、君を幸せにすると言ったのに」
ユウキ 「…私は十分幸せです」
ユウキは涙を隠すように背を向け桃を片付けた。
アキヨシ「すまない」

コンコン

扉が開き看護師が入ってくる。

看護師 「失礼します。そろそろ放射線治療の時間です。」
ユウキ 「では、また明日来ますね。なにか必要なものはありますか?」
アキヨシ「大丈夫だよ、毎日ありがとう」


悲し。

岡安が経験しているガン治療は違う。
今は全然違うのだ。

冬を感じる高く澄んだ空。
慌ただしい朝の岡安ん家。
夕貴は章介に騒がしく言う。

夕貴 「財布はもった?」
章介 「持ってる」
夕貴 「診察券は」
章介 「財布に診察券入ってる」
夕貴 「じゃあ大丈夫ね。いつもギリギリなんだから」
章介 「行ってきます!」
夕貴 「朝ごはんは?」
章介 「食べる時間ないな」
夕貴 「桃だけでも食べてけば?」

お皿に剥いたばかりの白桃。章介は一口大の桃を半分だけ頬張り家を出た。

自転車で駅へ。電車に揺られ10分。
駅からは徒歩で病院に到着。地下で受付して待合所。

看護師「岡安さーん」

放射線室に入って10分位で治療は終わり、お会計して帰る。


これがあのガン治療。(放射線治療のみだけど)

昔の放射線治療は精度も低く照射エリアも広くなり、
その分正常な細胞まで攻撃してしまい副作用が大きかったらしい。

現在は正確なガンの位置、形がはっきりわかるので
照射エリアが絞る事ができる。
しかもまだまだ進化しているのが放射線治療。

                自分診療所調べ

仕事をしながらでも大丈夫なパターンもあるのだ。
朝に治療を予約しておけばお昼から出勤も出来る。
お昼休みの合間も狙える。
治療終わりは家に帰って過ごせるからストレスもなく、
本当にいい。

抗がん剤も副作用の少ないものであれば1日投与して
次の日から働くパターンもあるらしい。

ガンは本当に怖い。
もちろん色んな状況、進行度、ガンの場所によって違ってくるけど、

そこまで治療は怖がらなくてもいいんじゃないか?

と思った。


後、とりあえず言えることは健康診断に行くこと。
早期発見がなによりも大切なのだ。

そんな事を考えながら、

なんか無性に桃が食べたくなる病院からの帰り道であった。

                       つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?