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「笑う森」を杉江松恋さんがおもしろげに紹介していたので読んだ。
私は杉江さんのファンなのでミステリちゃんはかかさず見ているし、記事も読む。杉江さんはけんごと同じくらい小説紹介がうまいので、ミステリちゃんに優秀な編集人をつければもっと再生数が伸びるだろうに、と思う。

「笑う森」のストーリーはこう。五歳の少年が森で行方不明になり、一週間後に帰ってくる。すると知らないはずのフレーズや、妙な仕草をするようになっている。少年は森でどう過ごしていたのか……。ってのを叔父さんと母親がさぐる軸と、森に集まる様々なひとびとのお話の軸がある。群像劇っぽい出だし。
こういうとシリアスそうだけど、ライトでコミカルでギャグ盛りだくさんでするする読める。自殺するぞするぞさあ死ぬぞ!って独白していた女性視点で、さらっと「帰るときに食べようと思っていたおにぎり」みたいな描写がでてきたり、誰がつっこんでもおもしろいきれいなボケを真顔でいれてくる。匠の技。
少年がASDで言葉が遅れている、っていうのが鍵になっていて母親も悩んでるんだけど、トーンの調整が絶妙でよかった。登場人物みんなギャグキャラみたいなところがあって、等身大の愚かさとけなげさが描かれているから少年にカメラが向きすぎない。みんないろいろありながら生きてる……。
ヤクザパートだけありきたりで便利な展開に思えて残念だったかな。少年が発する謎の言葉や動作の読み解きも、本格ミステリ好きとしてはもっとそのフレーズでなければいけなさがほしかった気もするけど、これはあとから思ったことで、読んでる最中は不満がなかった。たぶん最後に明かされることの迷彩にもなっているからかも。

びっくりするような展開もあり、最後はほっこりするようなところもありで楽しかったです。よかったよかった。

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