1123(網内人・首吊りアクロバットの冒険)

・「網内人」を読んだ。妹が自殺ちゃったお姉ちゃんが事件の真相を求めていちゃいちゃする話だった。妹は自殺する直前スマホを見ていたらしく、そこからネットいじめの闇が明らかになっていく……。妹が炎上するきっかけとなるコメントを掲示板に書きこんだやつを特定するため、探偵とともに捜査をし……そして……というのがあらすじだ。特徴的なのはスーパーハカーの探偵で、そいつはスーパーハカーらしくただしく賢そうであり、できるやつであり、性格の悪いやつだったのでよかった。おれは人を見下し、こんなこともわからないのか?と鼻で笑ってくる探偵が大好きだ。おまえたちもそうだろう? そしてネットを使った捜査だ。ワイファイとか中間者攻撃とかドローンんとか……なんだかどっかできいたことのあるようなあの手この手で探偵は容疑者にアプローチする。この現代的なハッキング捜査で手がかりを得つつ、最終的には論理的な思考で犯人に迫る展開は本格ミステリの現代を思わせた。なのでよかったです。本格ミステリベスト10の一位は網内人で間違いないね。

・「首吊りアクロバットの冒険」を読んだ。あいかわらずの進研ゼミだ。ここでは推理の起点かつ最大の謎にもなれる「わざわざ」を学べる。なぜいろんな凶器があったにもかかわらず、わざわざ犯人は首吊りなんて面倒な方法を選んだのか? まあそんなことよりサーカスのみなさんの描写が楽しいのでよかった。クイーンさんの小説力がいかんなく発揮されている短編でもある。食事とサーカスをおもしろく書ける作家は腕が立つと相場が決まっている。この発見をおれはごはんとサーカスの原理と名付けた。


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