3.2


 中日ドラゴンズの岡林くんがダルビッシュの150kgの球を膝に食らったらしい。岡林くんは5位~最下位をうろうろするドラゴンズに現れた光のような選手だ。去年はセリーグでいちばんたくさんヒットを打った(中日は最下位だった)。そんなわけで心配でつらくなっていたのだが、その後の報道によると打撲ですんだようだ。骨や靱帯は大丈夫そうなので、最悪のケースにはならず、ひとまずよかったといえるだろう。よかったよかった。
 じぶん自身の老化がすすみ、仕事などにもまれていくうちに、成長があたまうちになったことを実感する。そうなると若者に成長を託したくなる。自分に子どもが生まれたなら、教育費などをつぎこんだり、ごはんをたくさん食べさせたりして、物理的な成長や精神の複雑化をよろこぶのだろうが、わたしは子供もいなくて、ちゅうとはんぱな時期だ。そんな日々においてスポーツ選手の若手というものは、成長を見守るための絶好の的となる。知らない若者が成功をおさめたところで自分自身に何かがあるわけではない。だけど、二軍の日々でのうまくいったりいかなかったりする試行錯誤、つらい練習、戦う顔、変わったり変わらなかったり……そんなニュースとともに時間を過ごしていると、彼らが成功したとき自分のことのようによろこべる。それはスポーツのひとつのたのしみかただ。しかしスポーツにケガはつきもので、それがもとで一生を棒に振る選手もいる。平凡(仮)だった選手が成り上がる姿をみたくてBETしているのに、挫折なんてみたくない。だからつらくなってしまう。いろんなことを諦めて、イチゴ農家になるのは自分の人生だけでじゅうぶんだ……(イチゴ農家はすばらしい職業だと思う)。
 ドラゴンズは五年くらい五位をとりつづけてきたが、去年は最下位だった。これはドラゴンズが変わろうとしているということなのかもしれない。岡林選手はそんな変わりはじめたドラゴンズに必要な選手だ。彼のぶじをいのりたい。


韓国映画のスタートアップをみた。すじを説明するのはちょっとめんどうくさいので省くが、いいエンタメで青春で親子だったのでよかった。悪人伝の怖い人が料理を作っていてたのしかった。スローモーションの演出で大怪獣のあとしまつを思い出した。

麻耶雄嵩の「化石少女と七つの冒険」を最後まで読んだ。あいかわらずひねくれたミステリで、居心地がいい。間違ってもあの学校に入りたいとは思わないし、化石部もとんでもないサークルだが、ミステリ世界の住人のフィールドとしては最高のステージだ。神舞まりあがそんな学校で化石少女として成功をおさめてしまうという筋が、麻耶雄嵩らしい。テイストはさよなら神様に近く、あっちのほうが殺傷力(読者に対する)は高いが、あちらが本格ミステリという日常が終わってしまう話なのにたいして、化石少女2のほうは本格ミステリという日常の終わりのない終わり……三位一体の青春無間地獄を予感させる。これはこれでいい。

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