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アッシャー家の崩壊を見た。
あのホーンティングヒルハウスやホーンティングブライマナーで時代を作ったマイクフラナガンの新作。アッシャー家と名前がついてるけど、メインとなる舞台は2023年だし、ポーオマージュがちりばめられたポーオールスターズな翻案系ドラマ。1時間×8話。
あらすじは製薬会社のボスであるアッシャーさんにデュパンが呼び出され、話を聞かされる感じ。二週間で六人子どもが死んだそうで。かわいそう。各話ひとりずつ子どもたちに焦点があたる。
オピオイド危機がプロットの軸になってて、アッシャー家の人々はだいたい悪いやつなので勧善懲悪的なスッキリ感がある。二週間で六人のペースにまともな死があるはずもなく、みんな自分の物語を消化しつつ、バリエーション豊かな死に様を見せてくれる。今回のアッシャーさんはどんな死を迎えるのか……。ファイナルデスティネーション的なわくわく感。そこにポーオマージュが絡んでくるからもうたまらない。チンパンジーで動物実験するヴィクや(その施設はモルグと言われたりする)、彼氏の黒猫を殺してしまったレオ、ゴールドバグ(黄金虫)というブランドを立ち上げようとするタミー……。ポー読者にとっては、毎回サブタイトルにつけられているポー作品の要素がどう回収されるのかという興味とネタがわかったときの快感で脳がキマる。
二話のタイトルドーンまで見たらもう止まれなかった。

とくに好きなのは二話と七話かなあ。二話は認められたい若者が破滅を迎えるカタストロフ。七話はヘイト集めの巧みさと死亡シーンのカタルシス……お前がベストオブアッシャーだ。
みんなキャラいいよね。カミーユとかなんかジョジョみたいな喋り方してたし……おばけのセリフまわしも特徴的。蘊蓄も文脈と言い方しだいで嫌な感じにできるんだなあとら感心……(?)
四話はくろねこだし、五話もわたしにしか聞こえない謎の音〜!あなた(中の人)ブライマナーでもそんな感じだったよね……。

六話も展開は好きで、発表会のシーンは共感性嫌な汗が止まらないけどもうちょっと心理描写を丁寧に積み重ねて欲しかった気もするなあ。

そして衝撃の八話。
デュパンがコルクボード片付けるシーンがいいよね。
余韻……。
去年のミッドナイトクラブがそこそこだったこともあり、期待を大きく上回る最高のドラマだった。コンスタントに毎年こんな映像作品を……フラナガン、スタッフみんなすげえよ。

グッバイ、アッシャー、Foreverアッシャー、
nevermore……。


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