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自意識の向こう側

かっこいいお店。昭和とかレトロとか、味があるとかないとか、安易な分類で終わらせるにはもったいないプレシャスが、ここにはあります。

昭和55年創業。日々の積み重ねで培われてきた「速い安い美味い」と「丁寧や優しさや愛」の両立っていうのかな。なんていうのかなーと考えあぐねていたら、「味と心のおもてなし」って暖簾が。そうか、もてなすという概念のひとつの解が、ここにはあるんだ。

時間がかかることを丁寧さと履き違えていないかとか、上っ面だけの難しい敬語を品の良さと勘違いしていないかとか、お金かける=高級とか、知らず知らずのうちに凝り固まりそうな通念やメディア・アジェンダが、一度ぶっ壊される快感が、ここにはある。異化作用の嵐という意味で、異文化圏に来た感すらある。

これだけ速くて安いんだから多少不味くても文句は言えまいと下げられたハードルのだいぶ上を行く美味さ。すなわち、これだけ速くて安いんだから...という甘えが店側にないということ。きっと、そんな発想すらない。一生懸命美味しいのつくる!たぶん、それだけ。そこに惹かれる。店が醸す雰囲気とかは、しょせん、後付けの他称ということ。

さらには、たとえば単身サラリーマンの一人晩酌に無言で寄り添うような、配慮や余白がある。お店の方は、ずけずけ話しかけてきたりしないけど、ちゃんと見てくれてる感があるのが心地よいのかもしれない。すごい間合いだ。常連さんたちのグルーヴもたまらない。そこに馴染むまでいかずも、それを汚さない振る舞いとは何か、新参者(私)は考える。自分さえ良ければ、みたいな人が、ここには一人もいない。夢みたいな場所。現代の奇跡だ。

異次元を旅してきたぐらいの食体験。
そして、世知辛い社会へ、戻るのだ。

この前、甲斐みのりさんが言っていた「私は、美味しいものが食べたいんじゃなくて、美味しく食べたいんだ」って言葉、思い出していた。他人のつけた星ではなく、自分の星を信じて探して愛でていこうな。

🔷お食事処 天平
宮崎市高千穂通1丁目8ー19
‭0985243727‬
営業時間は、だいたい10時半〜14時、17時〜22時くらいとのこと。不定休。

https://g.co/kgs/K34v7A

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