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泉屋製菓総本舗 節分で『いわしっ子』増

 コロナ禍では、お土産売店やお祭り等のイベントでの利用者が減って影響を受けたという同社。だが「思いがけず弊社商品の把握していない利用者や利用用途を改めて知ることができた。また、少人数、効率化を目指し、商品の見直しや新しい設備の導入も実施した」という。
 同社では、数年前から節分企画でロングセラー『いわしっ子』の引き合いが増加している。本来なら豆菓子が売れると予想されるところだが、関西で魔除けとして「いわし」を飾る風習があり、徐々に全国のスーパーの節分企画として取扱いが広がっている。「何がきっかけで需要が増えるか分からないので、新商品を開発するだけでなく、既存の商品を違った視点で捉えて、お客さまに提案していきたい」と同社では話す。

いわしっ子


 『いわしっ子』は、『アーモンド魚』の「アーモンドのないものを子供に食べさせたい」という消費者の手紙をきっかけに、1998年に誕生した。原材料は瀬戸内海産のカタクチイワシ、三温糖、水あめ、ごまとシンプルで、薄味だが甘みと塩味のバランスが良く、香ばしくサクサクとした食感で、連食性のある絶妙な味わい。子どものおやつとしても人気がある。1個装当たり0.6gの糖質量なので、近年の健康意識の高まりに対応し、糖質を控えた「ロカボ製品」であることをパッケージに記載している。

ロカボマーク


 この『いわしっ子』は昨年、「日経POSセレクション2023」に選出された。日経POSセレクションは、小売業のPOS(販売時点情報管理)データに基づき、1年間に売上を伸ばした人気製品を選出するもの。2023年は、2022年4月から2023年3月までに販売された加工食品・飲料・酒類・家庭用品など36万品目が対象。来店客1000人当たりの販売金額が2021年度に比べた伸び率や店舗カバー率といった基準を上回る177品目が選ばれた。
 伊藤寿康社長は、「今回の選出は、節分コーナーでの地道な取組みが奏功した」と、大手NBメーカーの製品が多数ランクインする同セレクションに選出されたことを喜ぶ。
 昨今の消費者心理については「日頃は節約し、納得できるものには支払いを惜しまない消費傾向にある」と分析。そのような中で、同社の強みの一つである「おこのみ菓子」について、以前のプレミックスから8種類が確実に入る自動計量器を導入し、製品価値の向上に努めている。
 あらゆるコストが高騰しているなか、「可能な限りの削減努力を実施した上で、継続してお客さまへお届けできる適正な価格で提供することが重要」と考える。特にロングセラー製品は安定した売上げが見込めて定番導入率も高く、特売や企画販売の採用率も高くなる傾向にある。「そういった商品を大切にすると同時に、次のロングセラーを生み出せるように新規開発にも力を入れていく」としている。
 2024年はイベントの再開も見られ、そういった場面で需要がある大袋製品やインバウンド需要にも注目している。


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