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竹内製菓 企業名から製品名メインに大袋シリーズをリニューアル

 3年前に創業75周年を迎えたのを機に、大規模リブランディングを図った竹内製菓(新潟県小千谷市)。その試みが奏功し、「NB製品の知名度が高まっている」と同社は話す。そのNBの代表的なアイテムである大袋シリーズ5品が昨年10月、パッケージリニューアルを敢行した。好調にもかかわらず、わずか3年という短いスパンでの変更である。その背景やこだわった点について、竹内社長と営業部の吉田部長に話を聞いた。

 竹内製菓は、OEM事業で培った高い技術力で定評がある。日産とコラボした『新型カキノタネ』は、日産を代表する車のカタチをした柿の種で話題となった。また1970年発売の原料と製法にこだわった『極上柿の種』は、国産水稲餅米のみを使用し、昔ながらの製法でつくられている。大粒の柿の種で、新潟を中心に世代を超えて支持されている。

 そんな同社が「あられ、おかき、ひとすじに」をコーポレートメッセージに掲げ、ロゴマークを江戸時代から続く伝統的な「餅の家紋」をモチーフにして一新したのが、今から3年前のこと。それと同時にNB製品の見直しとリニューアルを積極的に進めてきた。その結果、「企業名とブランド名が着実に浸透してきた」と竹内社長は話す。

 とりわけパッケージに統一感を持たせるべくデザイン変更した大袋シリーズの『サラダ柿の種』(265g、参考小売価格400円・税別)は、中身はそのままに同社を代表する製品にまで成長している。販売会社が久慈食品となる同品は、柿の種として他にはない“真っ白い色”が目を引く製品で、塩味で仕上げている。おにぎりでいえば塩むすびみたいな、シンプルさが特徴である。


サラダ柿の種

 それゆえに食感や風味のよさが求められる。白焼きは米の風味を残すことが難しく、色を付けないと生焼っぽくなる。逆に色を付けると香ばしさを担保できるかわりに、色と味がバラバラになる。その加減について同品は、これまで培ってきた同社の技術を活かすかたちで対処している。

 この『サラダ柿の種』は2018年から売り始めた製品だが、実はリニューアル前は終売の危機にあったのだと、竹内社長と吉田部長は声をそろえる。

勤続50年の部長のひとこと

 「リニューアル直前は少しよくなったものの、リニューアル後はどれくらい伸びたかわからないくらい。確実に10倍以上になる。パッケージの変更に伴い販売者が久慈食品さんになり、JANコードを切り替えた。そのタイミングで配荷先が増えたことも伸びた要因の一つだろう。久慈食品の担当者がこの製品の大ファンだったこともあり、熱意のある対応も人気に火をつけたといえる」と、吉田部長は振り返る。

 中身はほぼ同じでも、パッケージが違うと売れ行きが全く変わる。『サラダ柿の種』は、まさにその好例といえるだろう。

 さて、今回の再リニューアルでは好評の中身はそのままに、これまで企業名を全面に押し出していたパッケージデザインを見直している。

 というのも、3年前のリブランディング時は“竹内製菓”という企業名を知ってもらうことが優先事項だったが、そのねらいが達成された現在は、より製品名にフォーカスしたほうがいいという判断からだ。

 高騰する原料など、ここ数年のコスト高に対応するべく価格は据え置きで量目調整している。透明性担保のため、ホームページでも公表した。

 量目調整ということもあり、パッケージは全透明で中身が見えていたものから上部を半透明とし、併せてそれぞれのキャッチコピーを見直すことで付加価値を高める工夫をした。

 そのキャッチコピーは、外部のマーケッターと相談しながら最終的には社内で決めている。名詞+形容詞という決まり事をつくり、こだわって考え抜いた。

 「柿の種についてはすでにいろいろな表現がされていて特徴をだすのに苦労した。特に定番の醤油味である『柿の種』については、何十パターンとアイデアをだしたがなかなか決まらなかった。そんな折り、勤続50年の営業部長から『米を愛し、醤油を楽しむ』というフレーズが口からでた。まさに自分たちの思いを体現していた」と吉田部長は話す。

 今後はファンが定着してきたからこそ、この流れに乗って大袋シリーズを広げたいという思いが竹内社長にはある。加えてハイエンドのシリーズの定着化を図るためのブランディングも考えている。

 そのためには、社外だけでなく社内に向けたインナーブランディングも大事になる。ブランディングのテーマやコンセプトを製造現場と共有すること。それが製品の完成度を高めるとともに、現場のやりがいにもつながると、竹内社長は考えている。

 以下製品名と仕様。

 『柿の種』=295g、320円・税別(以下同)。

   『ひび辛大柿』=220g、320円。

 『えびかきもち』=175g、320円。

 『こざかな君』=180g、320円。


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