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新生・壮関が目指すもの 前編

市場へ大きくアプローチ

『茎わかめ』などの素材菓子で知られる壮関(栃木県矢板市、板山健一社長)が、昨年9月にロゴマークと主力製品のパッケージを一新し、9月と10月には従来イメージを一新するプロモーションを敢行。同時に企業としての将来を見据えて、「壮関ビジョン2030」を発表した。そこで、今後どのようなプロモーションと営業を推進していくのか、プロモーションを遂行するマーケティング部長椿原淳史氏と営業の前線に立つ事業本部営業部長駒井雅彦氏に話を聞いた。

マーケティング部長椿原淳史氏(左)と事業本部営業部長駒井雅彦氏

CI刷新と
  製品パッケージを一新

 1991年に創業した同社は、つい10年ほど前までは、ほぼ2名で営業を担当していた。生産もPB中心の体制となる。営業の人数が少ないので、NBの販売においては、卸への依存度が高くなっていた。
 「私が入社したのは5年前ですが、その頃から営業の人数を増やして、卸依存オンリーから、小売様との商談にも注力していく営業スタイルに変えていこう、という流れが出てきました」と駒井氏は語る。
 年商は201
9年に過去最高売上の58億円を達成したが、その後はコロナ禍で3年連続の減収。そこから営業努力の甲斐あって持ち直し、昨年12月の決算では、過去最高を上回る売上65億円を計上した。ただ、NBの売上に注力した面もあるものの、PBが売上の約75%と、依然としてPB依存度の高さを示している。
 こうした状況を打開するために、今後取り組むべきは、新たなプロモーションを通したNB製品の拡販と、会社の認知度の向上であると同社は考えた。
 そこで、まず昨年9月に行ったのが、会社ロゴマークと主力製品のパッケージデザインの一新であり、板山社長自らがスティーブ・ジョブズ風にプレゼンテーションをする、YouTube上のプロモーションである。ロゴマークは読みやすい字体に変え、さらに素材を前面に押し出したタグラインである「素材で、にっこり」をロゴに施した。パッケージデザインは、消費者がこういうものだったら「手に取りたい」と思うような、消費者目線に立ったパッケージデザインに変更し、主力製品18品をリニューアルした。

インパクト大のWebプロモーションを実施

 次にWebを中心とした、大掛かりなNB製品のプロモーションを、昨年10月に実施した。同社製品の中でも、茎わかめは、NB・PBあわせて、売上の約4割を占める看板商品だ。日本における茎わかめの63%を同社が製造加工しているので、茎わかめを前面に押し出し、社名を知ってもらい、ファンになってもらうというのが施策の中心テーマになった。
 「茎わかめの売上の最近の傾向としては、消費者の購入回数、購入金額ともに上がってきていて、リピーターは非常に増えてきています。一方、ライトユーザーと呼ばれる、1回買うか買わないかという層が減ってきているのが、課題として浮上してきました。したがってプロモーションは、以前茎わかめを買ったことがある、あるいは知ってはいるが最近食べていないという人に、もう一度思い出してもらって、手に取ってもらうという面と、現在茎わかめを買っている人が、今以上に買いたくなる面の両面を意識して行うということになりました」と椿原氏は語る。
 しかし、現実には、無難にまじめにアプローチしても、最近買っていない人の関心を引けないのでは、という意見が出された。そこでインパクトがあり、かつ同社のテーマである「素材で、にっこり」に通じるようなCMを作ろうということになり、さまざまな案を考えた。その中で尖っているもの、尖っているといっても、純粋に面白く、「何だ、これ!」というものを作れるという視点で、まず、社長登場の動画を、さらにはインド映画をモチーフにしたCMを製作した。そのCMを、YouTubeとXで昨年9月から配信を開始。10月11日には、日本トレンドの6位に入り、結果として約600万人が視聴するという想定以上の反響を得た。またSNS上でのリアクションは、約99・9%がポジティブワードであったことから、ユーザーからの厚い支持を感じたという。
 さらに、プロモーションに合わせて販売展開した小売業にも好結果が表れた。都内某チェーンでは、プロモーション時期に店頭露出したところ、他社競合製品実績に対して、販売金額240%の実績を上げた。また都内の別のチェーンでは、10月の月間における『茎わかめ』の2品が、前年対比の販売金額で160%の伸長を示した。いずれも菓子販売において、かなり影響力のあるチェーンなので、決して突発的な現象ではなく、プロモーションを仕掛ければ〝売れる〟という証左を得たと確信できたという。(続く)

茎わかめ
茎わかめ


                               


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