見出し画像

本気をだしたら飛べますが? 〜チャンピオンズカップファイナル サイクル1 デッキ記録(パイオニア:セレズニア天使)〜

岡(@okarin_)です。
だいぶ遅くなりましたが、チャンピオンズカップファイナルCycle1に出場した時の使用デッキ【セレズニア天使】の調整記録をまとめることにしました。
結果を先に載せると、自分の戦績が8-4、同デッキを使った友人2人がそれぞれ7-5、6-6。
ホームランは打てませんでしたが安定した成果を出すことができました。

本アーキタイプに関してはリスト提出5日前の土壇場で発見してから僅か4日間でリストを調整し、リスト提出後の3日間でプレイ指針を調整、そして本戦2日間で12マッチプレイした後に使い納め……(それ以降使っていない)といった、僅か1週間強程度の付き合いに過ぎません。
ですがプロツアーを目指して一番熱心に取り組んだ1週間でこのアーキタイプに対しての見識が深まったため、せっかくなので結果はともあれ調整記録を書き残そうと思い至った次第です。


アーキタイプ選択の経緯

元々使う予定だった愛機のイゼフェニが直近のトーナメントシーンでとにかく目立っていたため、本戦でのメタは相当厳しいものになるだろうと予測し、イゼフェニを乗り捨てる覚悟だけは本戦2週間前から半ば決めていました。
しかし対策が厳しそうな緑単やプレイ練度に不安があるラクドスまで忌避して使用候補から外していたため、納得のいく乗り換え先がなかなか見つからず。
リスト提出期日5日前、本戦直前の国内大型大会となる「第9期パイオニア神挑戦者決定戦」では新鋭・アサーラックコンボをテストしてみましたが、やはりラクドス・イゼフェニには安定して勝てず、リストの最適化にはまだまだ時間がかかりそうな印象でした。

その晩、アジアでの開催に一週間先駆けて行われていたヨーロッパの地域チャンピオンシップで、シェアが少ないながらも勝率の良いデッキとしてセレズニア天使が存在感を示しているのに目を付けたのが契機となりました。
2日目終了時点での最終戦績はそれほど目立つものではありませんでしたが、9人がプレイしてアーキタイプ別の勝率は56.7%と、まずまず期待できる数値。

https://mtgmelee.com/Decklist/View/256101


この結果を受けて同デッキのテストを始めたところ、初回しのMOリーグで4-1と5-0(1敗の内訳はミラーマッチ)、翌日の晩のShowCase Chalengeでも5-1※の戦績を叩き出して超好感触。

※アーキタイプの存在をこれ以上目立たさないように(と言いつつ本当は翌日仕事がある中で眠かったので)DROPを選択しましたが、結局ベスト16に4人のセレズニア天使が居たのであまり意味ありませんでした。最後まで続ければよかった。

また同じ日に並行して検証が進められていたイグナスコンボがやはりイゼフェニに安定して勝てないことで候補から脱落したため、デッキ選択に悩んでいた調整グループ内のメンバー2人がセレズニア天使のテストに相乗りすることに。
MOリーグやグループ内のダイレクトマッチでプレイ回数を重ねる中で、緑単・ラクドス・イゼフェニの3大トップメタに対してのゲームメイクが想定よりも大分安定することが判明。
そして一定数いるであろうアグロ系には不戦勝に近い相性であることを評価し、イゼフェニからの乗り換え先として十分に納得のいく選択に至りました。

2022/11/20 ~ 2022/11/23の個人戦績集計
ラクドス 2戦2勝
緑単 4戦4勝
パルへリオン 2戦2勝
青白コン 3戦1勝
イゼフェニ 5戦3勝
セレズニア天使 4戦2勝
その他 6戦6勝


デッキリスト

https://mtgmelee.com/Decklist/View/259422

Deck
4:《輝かしい天使/Resplendent Angel》
4:《若年の戦乙女/Youthful Valkyrie》
1:《スカイクレイブの僧侶/Skyclave Cleric》
4:《カイラの再建/Kayla's Reconstruction》
4:《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》
4:《集合した中隊/Collected Company》
4:《正義の戦乙女/Righteous Valkyrie》
4:《翼の司教/Bishop of Wings》
4:《希望の源、ジアーダ/Giada, Font of Hope》
2:《ポータブル・ホール/Portable Hole》
1:《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
4:《枝重なる小道/Branchloft Pathway》
1:《皇国の地、永岩城/Eiganjo, Seat of the Empire》
1:《ニクスの祭殿、ニクソス/Nykthos, Shrine to Nyx》
2:《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》
4:《寺院の庭/Temple Garden》
4:《低木林地/Brushland》
7:《平地/Plains》
1:《草茂る農地/Overgrown Farmland》

Sideboard
2:《安らかなる眠り/Rest in Peace》
2:《形成師の聖域/Shapers' Sanctuary》
2:《傑士の神、レーデイン/Reidane, God of the Worthy》
1:《ポータブル・ホール/Portable Hole》
2:《減衰球/Damping Sphere》
1:《ロランの脱出/Loran's Escape》
1:《群れの力、アジャニ/Ajani, Strength of the Pride》
1:《潜伏工作員、アジャニ/Ajani, Sleeper Agent》
2:《真髄の針/Pithing Needle》
1:《粗暴な聖戦士/Brutal Cathar》

MO・MTGA向けのDLは上記リンクから

アーキタイプの特徴・強み

5~6ターン目ごろに手札を使い切るペースでクリーチャーを場に出し続け、天使が戦場に出るたびに誘発する能力を連打することで膨大なライフと強固な盤面を築くのが主な勝ちパターンです。
この手のデッキの定番パワーカードである《集合した中隊》に加えて、最新セットからの新入り《カイラの再建》(以下、一括りで扱う際は「カンパニー」と呼びます)がデッキコンセプトを強固にし、トーナメントでのプレイに耐えうるデッキにまで成長しました。
各クリーチャーが持つ誘発型能力の条件は簡単なものが多く、それらしい順番で場に出していくだけでも盤面が強固になっていきます。
そしてその組み合わせによっては爆発的なアドバンテージを生み出し、相手を一気に突き放すことができるのがこのアーキタイプの特徴です。

対アグロデッキのゲームパターンを例を挙げると、

序盤に攻め込まれてライフが8~10程度まで落ち込む

クリーチャーを展開し、翼の司教や正義の戦乙女の誘発型能力によって16くらいまで戻る

相手の攻め手を受け流せるようになりながら27を超えて反撃

最終的には40程度のライフを有しながらゲームに勝利

のような展開になることが多いです。

《月憤怒の粗暴者》で追放されている《翼の司教》が戦場に戻り、
ターン終了時点でのライフは56になります。続けますか?(腕組み)


またこれは変わった一例ですが、ミラーマッチでお互いがひたすら天使を並べあう展開では、互いのライフが500や1000を超えることもあります。(この場合、メインデッキでライフを削りきるのは困難なのでお互いのライブラリーの枚数を数えてカンパニーをたくさん打っていた方が負けになる不思議なゲームになります。)

とはいえ、どちらか一方が先行して盤面を掌握する展開の方が多いですが。

セレズニア天使はこの戦法が劇的に効く白単、赤単、スピリットなどに滅法強く、逆にクリーチャーだけの盤面形成とライフ獲得の両方を意に介さない青白コン、ロータスを苦手としています。

緑単には相手が無限ループに入る前に盤面が完成すれば勝ちで、相手からの干渉が少ないためサイド後の2本を含めると若干有利と捉えています。

ラクドス、イゼフェニなど除去手段が豊富なアーキタイプに対しては、メインギミック同士をぶつけ合うと五分を少し下回ると感じますが、カンパニーが少し上振れるだけで勝つケースが少なからず発生するため勝率は凡そイーブンに収束する印象です。
あとは互いのサイドボードの枚数によっても優劣に影響が出る印象で、メジャーどころだと引き裂く流弾や絶滅の契機が複数枚取られている場合はやや苦手な相手になります。


採用カードの解説

4 正義の戦乙女 4 輝かしい天使
天使シナジー形成の核にして、カンパニーの当たり枠です。
両者とも能力適用条件を満たした際のスペックが破格であるため、多くの場合はその条件の達成を目指してゲームを進めることになります。
相手に強く干渉されない限り、これらを並べて能力を読み上げているだけで自動的に勝利していることでしょう。
ここを減らしてしまうと何が強いのかわからなくなるため、サイド後も減らすことは殆どありません。

4 スカイクレイブの亡霊
盤面に干渉する数少ない手段として雑に4枚入っています。
カンパニーのバリューの底上げに貢献してくれています。
リストを調整する場合でも2枚以下にしない方が無難でしょう。

4 翼の司教
実はジアーダより大事なシナジー形成要員です。
火力で落ちづらい点が魅力で、赤いデッキとの戦いでは序盤のテンポロスを防ぐためにジアーダよりもこちらを先にプレイすることが多いです。

4 希望の源、ジアーダ
ブン回りの起点ですが、2ターン目にプレイしても3・4ターン目のダブルアクションに寄与する確率は意外と高くありません。そしてそれ以降のターンではジアーダ自体が強く振る舞える速度帯では無いので、カード評価としてはあくまでオマケ付き2マナ天使くらいのイメージです。
対ラクドス、イゼフェニ等では減らします。

4 若年の戦乙女
ジアーダ同様、ちょっとしたオマケ付きの数合わせ2マナ天使です。
2マナ天使と書いてあるだけで価値がありますが、要は一番弱いカード候補なのでサイド後はよく減らします。
今後はメインボードからも枚数が減りそうです。

4 集合した中隊
主な役割は説明不要。
サイド後、カイラの再建を少量残す都合で1枚だけ減らすマッチアップがあります。

4 カイラの再建
3枚のリストが多いですが、対ラクドスは中隊とこのカードを何枚引けるかが勝率に直結するので最大枚数を取ることにしました。
サイド後、リソースゲームにならないマッチアップ(アグロ、クロックパーミッション系)では減らすことが多いですが、アーティファクトを戦場に出せる点を評価して緑単・ロータス相手には2枚程度残します。

2 ポータブルホール
1マナ帯で採用できそうなカードが軒並みパワー不足なので極力採用していませんが、早いターンから仕掛けられると天使シナジーが形成される前に押し切られることもあるため、このカードのみ最低限投入することでリスクを分散しています。
仮想敵である緑単、ラクドス、イゼフェニいずれが相手でも2枚程度なら腐らない想定です。

土地枚数:25枚(+スカイクレイブの僧侶1枚)
ニクソス1枚を除き、白マナ23枚+緑マナ15枚。
序盤のダブルシンボル捻出が重い上、中盤以降はダブルアクションのタイミングも多いため、見た目以上に白マナを多く確保しておく必要があります。

1 スカイクレイブの僧侶
中隊デッキにおいて重要なクリーチャー25枚と土地26枚の配分を1枚で同時に満たす枠。
セレズニア天使は「戦場に出るたび」誘発の組み合わせで盤面を作るため「何でもいいからクリーチャーを場に出したい状況」が時折発生し、その時に土地だったはずのカードをクリーチャーとして送り出せるのが沁みます。
正義の戦乙女や翼の司教と組み合わせて輝かしい天使の誘発条件を満たすことがあります。
ですが実際は見た目通りクリーチャー1枚分にならない状況が頻発するため、泣く泣く投入している枠です。このカードを別のカードに無理なく差し替えられたらセレズニア天使が一段階上のデッキになると思います。

2 耐え抜くもの、母聖樹
メインボードで盤面に触れるカードが少ないこともあり、土地の枠で少し無理やりカバーしています。
仮想敵はスカイソブリン、パルヘリオン、演劇の舞台あたり。
ジアーダやレーデインが伝説のクリーチャーなのでこっそり1マナで構えましょう。

1 アーデンベイル城
採用している土地が軒並みバリューを持たないので、1枚だけでもと考え採用しました。
対ラクドスで消耗戦に陥った際、カンパニーを引き込むまでのターン稼ぎの役割を見込んで投入しました。
一見有効そうに思える対青白コンではほぼ確実に廃墟の地で割られるため、焼け石に水感は拭えないです。

1 ニクスの祭殿、ニクソス
主にカイラの再建のXコストの支払いや輝かしい天使の能力起動に貢献します。
ただ信心が十分に足りている状況は盤面に天使が並んでいてそもそも優勢なケースが多いので、世間で出回ってるリストのように2枚取るのはかなり過剰な印象です。前述の通り序盤の白マナ供給を安定させた方が良いです。


サイドボードの選択

↑カンパニーで捲ったときに土地と誤認するので、
通常版イラストで揃えることを強く薦めます。

1 群れの力、アジャニ
奥義に価値がある1枚で、ミラーマッチで膠着した盤面を打破するために1枚だけ採用していました。
セレズニア天使自体がそれほど流行らなかったので今後は不要そうです。
強固な盤面を築く緑単相手にも入れられそうですが、想定しているケースだと相手に積極的にライフを攻められて後手に回る展開が多いので同じく不要です。

1 潜伏工作員、アジャニ
こちらも[-6]の忠誠度能力を目的として投入しています。苦手な青白コン相手に1枚で勝つ可能性がある他、ミラーマッチでも籠城した後の勝ち手段として機能します。
また残る忠誠度能力2つも天使との相性は悪くありません。
カード単体の強さは怪しいですが、メインギミックの穴を埋める役割の遂行を強く意識した採択です。

2 形成師の聖域
主にラクドス、イゼフェニへの対策。
強力なカードですが、ラクドスは対象を取らない除去(主に絶滅の契機)を複数枚備えていて過信できず、イゼフェニには安らかなる眠りを合わせてサイドインするため2枚程度が適切な枚数だと考えています。

2 安らかなる眠り
主にイゼフェニ、パルヘリオンに対して。
翼の司教が持つ「死亡するたび」誘発がはたらかなくなってしまう点には注意が必要です。(大抵のケースは墓地追放がクリティカルヒットするので大勢に影響を及ぼすほどではありませんが)

2 真髄の針
主に緑単のカーン、ロータスコンボの演劇の舞台or母聖樹に対して。
前者はカーンさえ止めれば勝てるマッチアップなので有用ですが、後者は苦肉の策です。

2 減衰球
主に緑単のニクソス、ロータスコンボのメインギミックに対して。
対緑単はカーン+ニクソスのどちらかが止まれば天使側に盤面を作る猶予ができてそのまま勝ちにつながるので、他デッキのセオリーからは外れる形になりますが妨害札として投入します。

2 傑士の神、レーデイン
主に青白コン、ロータスコンボ、ラクドスサクリファイス、不屈の独創力、創案の火に対して。
ヘイトカードの選択肢はいくつかありますが、カンパニーでアクセスできることや、苦手な相手ほど早い段階からライフを詰める必要があることから、クリーチャーであることは重要です。
その中でも特に苦手なマッチアップ2つの負け筋(青白コンの全体除去→テフェリー、ロータスコンボのメインギミック&全体除去)に対して一番真っ向から能力が噛み合っているこのカードを選択しました。
ラクドスサクリファイスには言わずもがな裏面で出します。
対緑単ではカーンや収穫祭の襲撃を遅らせる価値がありそうに見えますが、キオーラ+ニクソス+トロール+騎兵で序盤〜中盤に殴り込まれて負けるパターンがあり、その状況では一番必要ないカードと化すので投入しない方が良いです。

1 ロランの脱出
採用しているクリーチャーが全て2マナ以上で、サイド後引き裂く榴弾などの軽量除去でテンポ良く場を捌かれて負けることがあります。
そのようなケースを考慮し、小回りを効かせられる1マナ呪文を少量取ることにしました。
クリーチャーが場に残り続けることが重要なデッキなので効用は高いです。
またアーティファクトも対象に取れるのも優秀で、ロータスコンボが繰り出す「対策の対策」から減衰球を守れるのがありがたい。
あとはリスト公開制でこの類のカードを採用しておくと相手のプレイが少しだけ難しくなる副次作用も(無いよりはマシ程度ですが)見込んでいます。

1 ポータブル・ホール
追加の3枚目で、一番の仮想敵はラノワールのエルフとエルフの神秘家です。
相手の場への干渉手段が限られる緑単やグルールに一度盤面でマウントを取られると返すのに時間がかかるため、序盤から中盤にかけて減速してもらうことには価値があります。

1 粗暴な聖戦士
スカイクレイブの亡霊の追加分。
亡霊が4枚で足りない相手に有効なカードなので、メインの枠はスプリットせずこちらをサイドに落としています。
亡霊と比較すると各種デッキのトークンクリーチャー(鏡割りの寓話)や緑単の騎兵を捕まえられる点で需要があります。また亡霊の死亡時に生成されるスピリットトークンの後始末も消耗戦では重宝します。


不採用カード

1マナクリーチャー各種無私の救助犬、天界の語り部、月皇の古参兵
カンパニーで捲って強いといえないラインナップだったので、限られた枠でクリーチャー枚数の確保と質の両立を目指すにあたり全員不採用となりました。

魅力的な王子
リスト提出前日まで入っていましたが、カイラの再建4枚目を優先して抜きました。
いずれの能力も沁みる場面があるので、今後リストの調整が進んで再度入る可能性は無くもないですが、後述の2マナ帯の方が優先されそうです。

復活の声
他のカードとシナジーせず受動的なこの手のカードがあまり好きでなかったので、ロクに試しもしませんでした。
ラクドスや青白コンには強そうなことが書いてあるカードなので、今後セレズニア天使を使うなら試すと思います。

森の女人像
盲点でした。
苦手な相手からの除去を受けず早期ターンにカンパニーを打てるバリューが大きいため、ジアーダや若年の戦乙女と散らす価値はあるように思えます。

仮面の蛮人
このカードで対処したいカードが思い浮かばないまま採用に至りませんでした。
一応2マナ天使として運用できるので、2枚くらい入れてテストして、最終的に1枚くらい入れるシナリオがあったかもしれません。

高名な弁護士、トミク
役割が謎のまま元のリストから抜けていきました。
このカードで対策したい相手はおおむね減衰球でOKなはずです。

境界渡り
マナフラッドを約1/2弱の確率で受けてくれて、マナスクリューは受けてくれない3マナ2/3。
盤面に直接影響を及ぼさないこのカードを出す時点で若干のテンポロスが発生し、そこから都合良く働いてくれる確率に不安を感じたので敬遠しました。

ガーディアン・オブ・フェイス
青白コンの全体除去を牽制できますが、役割とプレイに足るタイミングが限定的すぎると感じたため不採用。
これを構えながら十分な数のクリーチャーを場に展開すること自体が結構難しそうな印象です。試せていないので想定より強い可能性は少し有り。

エメリアのアルコン
劇的に効くマッチアップが限定的(主にロータスコンボのみ?)で、専用サイドを積めるほど枠に余裕が無いと考え不採用。
苦手な相手に対しては先述の通りレーデインの方が適任で、そちらに枠を割きたいです。

大天使、アヴァシン
ガーディアン・オブ・フェイスの項でも述べた通り、盤面に脅威を並べた上でこのカードを構えるのは難しいと思っています。
またこのカードでないと解決できない盤面が限定的だったので今回は採用に至りませんでした。
とはいえカード自体が強く、今回一番苦戦したラクドスと青白コンに効きそうな能力を有しているので、もう少し有効活用する術を模索しても良かったかもしれません。
ちなみに、サイドボードの定番である引き裂く流弾に1:1交換された場合の被害が甚大過ぎるのはかなりの減点要素です。

ビビアン・リード
当初参考にしていたリストで印象的だったカード。
スタンダードで採用された実績のある5マナPWというだけあって何となく入れてもそれなりに機能しますが、仮想敵がイマイチわからないまま、5マナでプレイしたいカードはカイラの再建4枚で間に合っていると感じてリストから外しました。

フロスト・ドラゴンの洞窟
白マナを出せるミシュラランドとはいえ単純にパワー不足。
3,4,5ターン目にマナカーブ通りの展開を狙いたいこのデッキにおいては3ターン目以降のタップインが致命的。

変わり谷
天使ですが、「場に出るたび」誘発の条件は満たせないので翼の司教やジアーダと微妙にシナジーするのみ。
今回は色マナカウントの強化を優先して不採用。
何かと便利なので、今後枚数調整を進めて採用を検討してもいいカードだと思います。

耳の痛い静寂
減衰球と被り、こちらは睡蓮の原野もニクソスを妨害できないため不採用。
イゼフェニ相手に入れてもこれだけでは勝たないし、置き物は安らかなる眠りと形成師の聖域で間に合っています。
もしこのカードが必要な仮想敵がいたらコメントやリプライで教えてください。


サイドボーディング

各カードの紹介である程度の概要を書いたので、細かいinoutは割愛します。
一例として、若干特徴的な緑単だけ載せておきます。

vs 緑単

out:
希望の源、ジアーダ1
若年の戦乙女1
集合した中隊1
カイラの再建2
スカイクレイブの僧侶1
in:
粗暴な聖戦士1
ポータブル・ホール1
真髄の針2
減衰球2

サイドボードの項でも述べた通り、カーンかニクソスのどちらかを封じることが重要なマッチアップ。
カーンの封じ方として、真髄の針だけでなく適正ターンに唱えさせないことも重要なのでマナ源を潰せるポータブル・ホールをフル投入。
アーティファクトを複数枚置けると妨害の厚みが増すため、カイラの再建を2枚残して集合した中隊を1枚減らす形を試している。
また相手からめったにクリーチャー除去が飛んでこないため、ジアーダは被りを考慮して1枚減らす。

中隊デッキ全般で言われることですが、クリーチャー枚数を減らしすぎないことが一番大事です。
23枚が若干アウト寄りの限度だと考えています。


マリガン基準

理想は土地3~4枚、2マナ1枚以上を含む6枚以上の初手キープが理想です。

セレズニア天使は特に低マナ域のカードが少ない都合上手数が少なくなりがちなので、2ターン目に2マナ(+相手によってはポタホも含めてよい)のアクションを取れるかどうかは勝率に大きく響きます。

リソース勝負になる相手(ラクドス、イゼフェニ、青白コン)にはあまりマリガンしたくありませんが、2ターン目にカードをプレイできていないと早期からゲームの主導権を取られがちです。
2ターン目に2マナ分のカードをプレイできる初手か、そうでなければ4~5ターン目にカンパニーを連打できる見込みのある初手をキープしましょう。


微調整

Finalに参加した調整メンバー9人のうち3人が、各々擦っていたアーキタイプを直前で手放しセレズニア天使を選択しました。
リストはメイン60枚サイド13枚共通で、差分は以下の通り。

Kobayashi Ryohei, Tomita Ryutaro
out:
1 傑士の神、レーデイン
1 真髄の針
in:
1 弁論の幻霊
1 ファイレクシアの破棄者

針と破棄者は投入する仮想マッチは同じで、入れ替えによって以下のようなトレードオフが発生します。
カード単体での役割遂行という面では針の方がプレイしやすく安定していますが、サイド後のクリーチャー枚数担保という面では破棄者にも大きな価値があり、この枠にどちらを採用するかの判断は難しいところだと思います。
針:
・ロータスの演劇の舞台や母聖樹を指定できる
・全体除去やスカイソブリンで破壊されない
・1マナで出せる
破棄者:
・緑単のマナクリーチャーを指定できる
・カンパニーで出せる
・場が空いていればダメージソースになる

レーデインと弁論は仮想的の意識の違いで採択が分かれています。
3点火力で死なない弁論の幻霊はイゼフェニに対して特に有効で、似た効果を持つエメリアのアルコンには無い利点です。


結果

Kobayashi Ryohei 7-5 
~Day1~
白単 ○
イゼフェニ ○
白単 ○
青白コン ×
エスパーコン ○
ラクドス(フィーチャー) ×
奇怪な具現 ○
~Day2~
不屈の独創力 ×
青白コン ×
ラクドス ×
創案の火 ○
緑単 ○
41位/198人

Tomita Ryutaro 6-6
~Day1~
青白ロータスコン ×
セレズニア人間 ○
パルへリオン ○
イゼフェニ ×
白単 ○
緑単 ○
ラクドス ○
~Day2~
ラクドス ○
ラクドスサクリファイス ×
青白ロータスコン ×
セレズニア天使 × (Oka Yosuke)
緑単 ×
50位/198人

Oka Yosuke 8-4
~Day1~
ラクドス ×
不屈の独創力 ○
ラクドス ○
緑単 ×
白単 ○
イゼフェニ ○
創案の火 ○
~Day2~
ラクドス ×
ラクドス ○
エスパーコン ×
セレズニア天使 ○ (Tomita Ryutaro)
青白兵士 ○
26位/198人

https://mtgmelee.com/Tournament/View/12374

全員が5-2で初日突破を果たすも、2日目で失速し入賞ならず。
自分はあと1勝でプロツアー出場権利獲得のラインでした。悔しい!

参加者のレベルが高い上にリスト公開制も相まって新勢力アーキタイプ特有の初見殺しはほぼ通用せず、特にラクドスに対しては有利不利の認識が早々に改まってリスト構成を悔いることとなりました。(もう少し有利だと思っていました・・・)また想定よりも青白コンが多かったことも向かい風でした。
細かいところでは、会場に2人しかいない《厳しい試験官》入り青白コンをメンバーの一人が2回踏む不幸あり、また分布は多くないが不戦勝に近い相性の人間系アグロに全員が複数回当たる幸運あり。

総じて1日目はデッキ分布が分散していて不利な相手とのマッチングが少なかったものの、2日目の分布は勝ちあがったラクドスと青白コンの巣窟と化していて立ち位置が厳しく、9勝以上の達成は少し難しかった感触です。

メンバー3人の直前の候補がそれぞれ緑単とイゼフェニであり、両デッキの2日目進出率を鑑みると、アーキタイプを乗り換えたこと自体は悪い選択ではなかったように思えます。
そうすると次は「なぜ最有力だったラクドスを選ばなかったか」「なぜ同チーム内で調整が進んでいたグルール機体を選ばなかったか」と話が繋がっていきますが、これ以上はアーキタイプの調整記録というテーマから逸脱するので別の機会に改めてまとめるつもりです。

終わりに

長くなりましたが記事は以上になります。

骨太なコンセプトを持ちながらメイン・サイドともにまだまだ調整の余地がありそうで、贔屓目もありますが中々良いアーキタイプなのではないかと思います。
2022年12月時点では比較的マイナーな部類ですが、チャンピオンズカップサイクル3のメインフォーマットがパイオニアに制定されたことで、今後改めて注目される機会があるかもしれません。
目下の課題としてはやはり対ラクドスの勝率改善だと思われますが、今後リストがどう洗練されていくのか楽しみです。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
調整グループのメンバー(特に、買ったばかりの天使関連カード20枚を惜しげもなく貸してくれた未熟者さん)にもここで改めてお礼を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?