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令和の囲碁講座番外編② 小目に上ツケが流行ってるけども(僕も昔は打ってたけど)、それ以前の問題として…
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囲碁クエストで観戦していたところ、割とよくある局面で次の一手問題にちょうどいい図があったので拝借しました。
これから先に話す本編の星編と内容が被りそうですが、まあ、うまいこと、外します。
さて、この場面、黒の次の一手はどこが良いと思いますか?
とりあえず、候補となるのは右上か左上一帯のどこかでしょうが、上辺の白もまだまだ不安が残る形のため、『攻めは最大の防御』とばかりに逆に白を圧迫したくもなりますし、守るにしても、どこに打つのか悩ましい場面かと思われます。
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ちなみに、実戦では、こんな進行を黒は選んでいた気がします。
なんとなく、雰囲気が出ててかっこいい手段ではあるんですが、これ、結構、難しい変化を含んでるんですよね。
2で出られた図だけでも厄介。
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かといって、先に左辺につけて左上の連絡を強化してから上辺に迫ろうとするなら、即座に急所である曲がりを打たれそうです。
最初の図の時点では、はっきりと黒が良かったものの、これはすでに紛れてる。
実戦の進行にしても、それまでの貯金で黒ペースではあるものの、この後に色々とあって一時は逆転しかけていました。
もっと、分かりやすい手段がないものか。
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あんまり引っ張るようなものでもないので、さっさと僕の答えを言っちゃいますが、何の変哲もないコスミによる根拠の確保です。
単純に地としてもかなり大きい手で、ヨセの段階であれば、いわゆる、『両先手8目?』みたいな形ですね。
13路では価値が大きい。
黒がほぼ治まると共に、左辺の白もじっくりとスペースを奪ってるため、地味ながら立派な手です。
この後の進行としては・・・
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上辺の白は薄い為、白もきちんと補強するところかな。
5の地点も攻めの急所で大きい。
黒はしっかりと地を作りながら攻め立てて、薄いところも無く好調です。
(右上は価値が小さくなってるので、取りに来たらくれてやればいい。)
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欲張って、三々まで足を進めても、上辺を割られては得してるかどうか。
あっちこっちが薄く地を作る暇が無いため、最初の左上コスミによる地の確保が効いてきます。
というか、この左上のコスミって、左上の形の定石形みたいになっている手なので初心者でも見たことあるはず、次の一手問題も糞もないんですが、前回の記事でも話したように、実戦では意外と定石通りに打つのって難しいんですね。
この黒の人も、たぶん、これを読んでる殆どの人よりは強いので知らないはずがないんですが、知ってるのと理解してるのは違うので、答えを知っていたとしても迷いがあると普通に間違える。
それを分かっているからこそ、定石以外の手段を検討してるわけでもあるし、時にはその寄り道が成長に繋がる事もあるために、余計に事態はややこしくなる。
だったら、どうすればいいのって話ですが、まずは初心に返るというのが一つの方針ですね。
ごちゃごちゃと頭で考えるよりも、ここまでの流れを見る。
理屈でしか考えられない人類が感覚で判断するとなると、時系列に沿って並べるしかない。
塔矢アキラでも、流れを完全に無視した初心者との目隠し碁で苦戦してるように、流れってガチで大事。
ということで、最初の図に至った経緯と定石形を確認します。
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まず、黒は二連星から左下白の星へ左辺側から内ツケしました。
なんで、下辺側からツケたりかかったりしないかというと、勢力重視の二連星を活かすには、白を孤立させて攻めの対象にする必要があるからです。
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左側からツケたからこそ、仮に白が下がって黒に這わせたとしても、白の厚みっぽい石を右にある黒の星に追いやれます。
白は三々入り定石の形通りに進んでも、不安が残る。
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そんなこんなで、左下の対応に関しては、実戦図のような形になるのが普通です。
下辺は黒に囲わせて、後々、三々入りする調子を得る。
6のカカリの是非は何とも言えませんが、7に関しては、僕も同じとこに打ちます。
というと、今までに散々、小目には角から迫るのが分かりやすいし良いと言ってきたのに話が違うじゃないかと混乱させてしまうかもしれませんが、今回は事情が違うんです。
ついさっきも指摘したように、今回は黒が勢力重視の二連星であるため、出来る事なら白を分断してしまいたい。
ところが、角からいくと逆に白に封鎖されてしまうのが気分が悪いんですよね。
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一例としては、こんな感じ。
前も話したように、僕は4で抑え込まずにふわっと桂馬に封鎖するのを好みます。
これなら味良く先手を他に回せる。
貴重な先手を得て両ガカリに向かえば、白が打ちやすいかなと。
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ぶつかりで無理やり分断を図っても、今度はトビで躱されます。
飛ばれてしまえば、これ以上、中央に頭だして競り合っても白には響かず、それどころか、白を強くするお手伝いにしかならないため、隅に潜って治まりに向かいますが、常用の筋であるコスミで上辺を整形されてしまい、前図以上に分かりやすく白が打ちやすい。
そんな背景から、僕でも、二連星からは角では無く上ツケで手を付ける事を選びます。
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それで、上ツケに対して、白が素直に受けてくれるのであれば、これはこれで話は簡単で、角に打って受けてもらえた変化に還元されます。
こうなれば、白が最初にうったばかりの左下の白を自然と分断することが可能で黒が好調でないかなと。
ここの白が治まらないと、他の大場に浮気出来ない。
大ゲイマにふんわりと煽ったのは、ご覧のように、ここまで足を伸ばせば、競り合いで遅れずに白をじっくりと継続的に攻めれるから。
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逆に、この碁で左上を利かしと見て放置するのは感心しません。
幾ら、下辺のケイマが左下の白に対する急所といっても、先に大きく封鎖されては、左上に手を戻す他無くなり、今度は右上を攻められ、後手後手に回る羽目になるのが予想される。
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それで、たぶん、こういう展開で何度か敗北した経験があるからこそ、白番の人は反発して、途中から挟みにいったと考えられるんですが、最初に上ツケとノビの交換をしているため、角に挟んだ図とは景色が異なり、黒にあっさりと治まられてしまっては、白に後続手段が特に見当たらないんですね。
やっぱり、左上のコスミが地としても大きい。
受けてもダメ、挟んでもダメなら、どうしたらいいのよってムードになりそうですが、そもそも、最初の段階で左辺の幅が広すぎたのがまずいっぽいんですよね。
だから、黒に手を付けられるとバラバラになって困ってる。
そこで、二通りの対処方法が考えられます。
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一つは、左下につけられた瞬間、こちらも右下につけ返すというもの。
仮に、お互いに隅を連打しあうのであれば、右辺を破壊した白に分があります。
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一度は受けてから左下を連打するのも、働いてるようでいて右上入られてしまうと微妙。
二連霊は、少し、ゆるい手を打つと一気に甘くなります。
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右下をしっかりと打ち切った場合にしても、6のすべりがくれば下辺はすそあきになるため、黒に連打されても気になりません。
むしろ、調子で味良くちょうどいい幅で左辺を囲えて有難い位。
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なので、僕なら逆に開き直って、四隅はあげちゃえばいいやと左辺を占めに向かいます。
おかげさまで右辺は強化されたし、下辺は価値が低くなったため囲われても何でもない。
右辺と左辺を連動させて中央まで地がつく展開になれば黒も打てるかなと。
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もう一つの対策は、左下をかたついで左辺を目いっぱい拡大するのではなく、下がって隅の地に辛く打つもの。
実際、手抜きで右下に向かう人は見た事ないですけど、この下がりは、強い人の碁だと割とよく見かける気がします。
5ですべってくれるなら利かしと言えますし、曲がりからグイグイ下辺を囲ってきても、右下が★で三々残りのために非効率な囲い方で、白は不満ありません。
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この後ですが、左下は放置してると切りが飛んできて、右下の★と連動すると厄介なため、何かしらの備えが必要です。
そこで、6と飛びを利かしにいきます。
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それでもなお、7とぶった切る手はありますが、絞られると左下の黒が部分的に死に残りになり、攻め合いは現時点では白の一手勝ちが濃厚であるため、ひとまずは安心。
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黒が下辺を受けたとして、これでも、まだ切りが残るため、白は右下に手をつけに向かいます。
黒が相手をせずに切ってきたなら、その時にこそ、普通に捨ててしまっていい。
今となっては、下辺はたいしたことありません。右下連打の方が大きい。
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なので問題は、黒が外ハネから右下の白を取りに来た時。
が、これならこれで、右下はあっさりと捨ててしまいます。
黒が右下を取るなら、下辺に鉄壁を築いてしまい、切りの手段は完全に消失します。
普通は、序盤から、こんな壁を無理やり作っても得意しないんですが、この場合は自身の傷の補強を兼ねているため、無駄がない。
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11で引きでは無く、上に伸びて大きく飲み込みに来た場合は、さすがにこのまま取られては大きい為、治まっておきます。
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と、まあ、下がりが有力だというのは分かってもらえたと思いますが、僕自身、自分で打たれて困った事もあり、2年くらい前に、自分が下がられた時は受けずに反発するようになりました。
ただ、これ、たぶん、嵌め手の類です。
白が出てくれば嵌ってそう。
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前回に紹介した石塔絞りの筋を狙われた時は、素直に引いて捨ててしまえば分かりやすい。
左下隅の地は大きいですが、先んじて辺に展開できたのも大きく、二連星と相まって黒も打てるかなと。
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普通についで隅を取りに来たなら、ぶった切って捨て石作戦の始まり。
途中、12,18,20と二線を這わせているため、ここの白地はさほどでもないです。
序盤から、一気に外が厚くなるため、この変化は黒が有利だと思う。
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ここまでの変化は黒が互角以上にやれそうでしたが、実は、白は黒に渡らせてしまうのが簡単で良くなりそうなんですね。
ぶつかりからはねて伸びきるのが気持ちよく、黒は低位の上、まだ不安な形。
これでも黒がダメというのであれば、どうしたもんかと思案し、結局、『即切り』なら悪くなりようがないから確実という結論に至りました。
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これがそれ。
外ハネおさえには速攻で切り違えて戦闘に突入です。
この変化は、お馴染みの三々入りの形、とにかく、いざとなればこの形になるように打てば間違いが無い。
勿論、白が小さく取りに来る分には捨てて下辺に展開すればいいというのは、ここまでの話の中でしてきた通り。
よく言われるように、コミの負担を抱える先番の黒は、一秒でも早く闘いに持ち込むのが理想だとされてますが、本当にそうで、あれこれと本気で研究すればするほど、結論自体は超シンプルな形に帰結するのだなということを、僕自身、この数年で学びました。
人生って、そんなもんかとがっかりした人もいるかもしれないし、努力ってつまらないと思うかもしれませんが、それでも、「人工知能が三々入りが正解だと言ってるから、ただ、それに追従します。」と自分でよく分かっていないまま、なんとなくで、真理の扉を開いてしまうのは、大きな代償を支払う事になるはずなので、僕としては、これを読んでる人には、地味でワンパターンかもしれないけど、棋理に沿って考える、中盤以降に無駄に複雑に悩む癖は矯正して貰いたいなと思います。
結局、それが上達の一番の近道であり、自分の内面を豊かにする手段だと思うので。
とはいえ、なんで、殆どの人類が間違ったやり方で真理の扉を開いてしまうのか、つまりは、結果ばかりを追い求めて焦るばかりで足元を疎かにしがちなのか、その背景についても理解してないと、知らず知らずの内に、囲碁以外で同じ過ちを繰り返していまいます。
そんな有り様では、囲碁みたいに知識で解決できる事でしか真理が掴めない、勉強出来るやつが偉いみたいになりそうなんで、その背景についてを、次回、通常の記事で話しておきます。
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