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【俳句連作】金属的近詠


金属的近詠

曲を書くとき鉛筆は春になる
大宮へ鉄路の続く余寒かな
リラ冷の客車に拾ひたる銅貨
ロボットに感情ぼくに鬱金香
銀杏の雌花 岸部一徳の微笑
幽霊の鉛の局部舐めにけり
地球から水鉄砲を撃つてみた
腐草蛍と為る急須から硫酸銅
一階の金魚になれず太りけり
銀行員のゾンビ西日へ起き上がる
残業か鉛を飲むか残業す
教職を去りて鉄道草の家
二学期の空だ銅イオンの青だ
肌寒や金の折り紙もてあまし
図書館へ銀木犀を歩きけり
鉛直に時雨れてをりぬ歩道橋
超弩級鋼鉄ゴリラロボ凍る
銅くさき研究室よ蒲団敷く
金屏の虎の足指開きたり
明日ぼくは暴漢になる冬銀河

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