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DamesとHerenとRestaurantと私~バルブワールド編~①

シナイ山で死にかけた話も終わったので、今回からは少し本業に関わる話を。

2年に1度ドイツのデュッセルドルフで開催される胸熱のイベントがある。

そう、皆さんご存じのバルブワールドである。

バルブワールドは世界中からバルブメーカーが集まり、3日間に渡って開催されるバルブの展示会。なんとあのポンプワールドと並んでの同時開催である。これは工業プラント配管系の民からすると、ブルーノマーズとジャスティンビーバーが同じ場所で同時にライブをするようなもの、まさに神イベントなのである。

当社はかなり前からビジター(Visitor:訪問者)としてバルブワールドには参加しており、コロナからは参加を見送ってはいるものの、その前の近3回はエグジビター(Exhibitor:展示者)として参加しています。

今回はこれにまつわる話をしたいと思います。

バルブワールド変遷

まずはバルブワールドとはなんぞやの詳しい説明を、ググって文字数を稼ぐ手抜き行為でやろうとしたがたいして情報がない。ちゃんと調べる気力もない。よってお得意の「知らんけど」調で適当に記す。

バルブワールドのホームページを見ると、「13th」と書いてある。ということは26年前くらいから始まっているイベントなのだろう。

昔は、2年に1回、ドイツのデュッセルドルフと、オランダのマーストリヒトで交互に開催していたが、近年はデュッセルドルフのみでの開催になっている。何故か聞いた記憶もあるが、全く覚えていない。

エグジビターは百社をゆうに超え欧米系バルブメーカー、バルブ部品メーカーが圧倒的に多く、それにインド、中国、といった非欧米系のメーカーが続く。日本のメーカーで展示しているのは数える程である。

ビジターは様々なバルブメーカー、バルブ部品メーカー、工業製品商社、プラントメーカー、バルブユーザー(電力、石油化学系)などで万単位の人が訪れる。

もうこれくらいでいいか。

引用元 : https://tradefest.io/fr/event/valve-world-expo

俺の事はいいけど、バルブのことは馬鹿にするなよ!

ドキッ!バルブだらけの展示会!そんなものが成立するの?皆さんの心の声が聞こえます。

貴様、バルブを愚弄するのか?

日本のバルブメーカーの寄り合い、当社も会員である「一般社団法人日本バルブ工業会」様調べによると、バルブ製造を生業としている事業所(会社)の数は、日本だけで2019年現在なんと407事業所、そのうち自社ブランドで製造販売をおこなう会社は150社も存在します。そして、その生産額は2021年度で総計約5500億円に達する。

世界でいうと、、、ぱっとググってもこっちもすぐにはでらん!!日本だけでこうなんだから、世界ともなれば、うん千社、うん兆円はくだらない産業規模なのである。

そもそもが、気体であろうと液体であろうと流体を制御するものがバルブである。バルブなしには電気もねえ、水道もねえ、空調もねえ、人間の心臓や血管にもバルブがついているから人間も成立しねえ、下向いて歩けば「弁・バルブ」と書いたマンホールがある、サウナにいけば調節弁がどこかで存在を主張している、毎日ひねってる洗面所、風呂、トイレの水道もそれはバルブのおかげなのである。

そう、「NO VALVE,NO LIFE.」なのである。

はぁ、はぁ。すみません、取り乱しました。

WHY?デュッセルドルフ

なぜドイツのデュッセルドルフで開催されるのか?当然ヨーロッパが工業系バルブの元祖であると共に、バルブワールド自体をヨーロッパ系のバルブ業界が始めたこともあるだろうが、一番はこのデュッセルドルフという街の特色にある

デュッセルドルフはドイツ西部、オランダやベルギーに近い位置、ライン川河畔に位置する。ライン・ルール大都市圏地域の中心でルール工業地帯のすぐ南西部にあり、人口60万人強の経済的にも人口的にも発展した都市である。主な産業は、金融、ファッション、そして世界的な見本市、そう、この街自体が見本市、展示会を推していてインフラが整っていることが、バルブワールドも開催される所以(ゆえん)である。

マーストリヒトとは?

一方のマーストリヒトはオランダの都市である。マーストリヒト条約という名前は知っている人も多いのではないだろうか。

マーストリヒトはオランダ最南部、ドイツとベルギーにねじ込むように、地政学的には少し違和感のある形で存在するオランダ領の西部、マース川沿いの河港都市である。ヨーロッパの領土は歴史が複雑に絡むから、なぜこの地域がオランダ領で今に至るかは興味ある人は調べてね。

人口は10万人程度の小都市だが、紀元前くらいからもう街になっていたようで、歴史のイキフンたっぷりの素敵な街、是非行ってみて欲しいのこころ。

おもんない

あまり真面目な事ばかり書いていても、書いているこっちがそもそもつまらない。

お得意の脱線サイドストーリーを走らせつつ、説明を続けていきたい。

私は創業家一族の嫡男だったので(といっても私の代は私しか岡野バルブに入っていないが)、バルブワールドのような見聞を拡げる系には若手の頃から選抜される傾向にあった。

バルブワールドも通算5回は行ったかな。とある年のマーストリヒト開催の時の思い出を遡る。

選抜メンバー

10年以上前のその時は、今取締役で当時生産技術の係長だった石田取締役と、当時設計部門の課長だったI課長補佐と私の3人が選ばれた。2人とも私の元上司である。色々教えていただいた。

私が選ばれるもう1つの理由は、ツアーコンダクターである。今でこそちらほらいるが、原則的にものづくり強化型属性をもつ当社社員のほとんどは海外経験乏しく英語もからきしである。海外とのやりとりは担当の営業部署や商社を介しておこなうのが過去のやり方であった。

一方私は世界中どんな劣悪な環境でも生きていけるゴキブリ属性と、2年程度いたイギリスから帰国後あまり時間もたっておらず、それなりに英語ができた。20年間ほとんど使わなかった今となってはビジネスレベルは全くできる気がしないが。そもそも喋りは日本語すら怪しい、思考に口がついていかない。

今回、石田係長もI課長補佐も英語に関しては苦手というかアレルギーレベルである。よって水先案内人としての使命も私は担っている。余談だが、石田取締役の妹の旦那さんは米軍人である。退役したんだっけか?そこでビールを飲んでの中身のない会話は成立しているらしい。

JITの実現は生産だけにせんかい!

製造業には「JIT」という言葉がある。Just In Timeの略であり、必要なものを、必要な時に、必要な量を生産することで、在庫(経緯)を徹底的に減らして効率化する生産方式を意味する。トヨタのとった生産方式をルーツにもつ。

確かにJITはモノの扱いにおいては有効といえるが、見ているとこれを知的労働にも持ち込む輩が多すぎる。すべてが納期ギリギリでしか動かないから、納期で出してきたものは品質を満たさない、何かあればすぐ納期遅延をおこす。知的労働はJITではなく、なるべく前倒しで処置しておくのがあるべき姿である!

と、偉そうに言っていたら、このnoteを完全にJITで書いている自分がいました。俺、ちゃんとせんかい!そもそもこんなもの知的労働でもないか。

タケハル in Wonderland

何が言いたかったというと、この時もバルブワールド行ってこいの下命は結構ギリギリにでる。

いや行けるのは嬉しいんだけど、ギリギリ過ぎやしませんかと思いながら、一番下っ端の私はバルブワールドのビジター参加登録、航空券と宿の手配を始める。

しかし、ギリギリすぎてマーストリヒトの宿はどこも空いていない。多分、世界中のバルブとポンプの民たちが押さえてしまっているのだ。人口10万人規模のマーストリヒトでは大規模展示会を受け入れれるほど宿のインフラが整っていない、これもデュッセルドルフ開催に限定された理由かもしれない。

範囲を拡大して宿を探索すると、マーストリヒトからローカル電車で数駅程度の所に一軒のホテルを発見する。さらに足を延ばすと、ドイツのアーヘンやベルギーのリエージュというそれなりの規模の街もあるが、近い方がいいよね。ちょっと高いけど。

名前とおおよその場所しか情報がないまま、急いでいた事もありこのホテルをおさえる。この決定がワンダーランドに迷い込む第一歩になるとは、この時我々の誰も想像していなかった。

ってな感じで新編スタートです。

シナイ程ひっぱらず、3話から5話くらいで終わるつもりです。いや、まじで。

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