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42年生きてきて未だに心に強く残っている生き物の話をしてみる⑦

〜大分県佐賀関沖の無人島にはびこる悪魔、肉食ダンゴムシのオマル編〜


野営地が決まれば、野営準備の開始である。

やることは、あるようでない。

家づくり、火起こし、食料調達、このくらいである。それをチームに分かれて行う。

スキルがあれば、1〜2時間もあれば終わる。なんならもっと短く終わる。

スキルがなければなかなか終わらない、もしくはずっと終わらない。ただそれだけの事だ。

仕事もそんなもんな気がする。


家づくり

素敵な住まいづくり、これは生活するうえで大事だ。

しかし、数泊、長くても1週間の無人島生活においては、これはあまり重要ではない。

まず、季節が夏ということがある。夜は潮風で確かに少し寒いが、耐えられぬ程では無い。

家に求めたいものは、

昼間に灼熱の太陽光線を遮ること、

風をずっと浴びると疲れるので風を遮ること、

欲を言えば夜の肌寒さを防ぐこと、

最大のニーズは虫から身を守ることだ。

しかし、この最大のニーズである虫から身を守る家をつくることが基本無理ゲーだ。木で骨組みを作り、そこに葉っぱや泥等で壁と屋根を作ろうと、虫は必ず侵入してくる。

寝床をふかふかにしようと落ち葉をひいたりすれば、そもそもその落ち葉の中に虫がいるし、虫ではなくとも何かで身体が痒い痒い(かいかい)になったりもする。痒い痒いについては、虫よりも植物の方が危なかったりもする。

高床式にしたいが、身体が成人に近い男が4人もいれば、その重量に耐えれる程の高床をつくる資材も海岸には漂着していないし、あっても湿っている。山から切り出すのも相当な労力がいる。

仮に出来たとしても、湿った材料で作った家など、湿気が凄くて快適なはずもない。

クワズイモに気をつけろ!

植物の痒い痒いで思い出したが、数年前、もうかなりいい歳なんだが、沖縄で海辺を歩いている時に、ジブリのトトロが傘替わりにしそうな植物が生えていた。

軽く雨もパラついていたので、こいつを傘替わりにしてやろうと茎を折って切ろうとした。

しかし、この茎が強化型セロリみたいな感じで簡単には折り切れない。

側にあった石をナイフ代わりにし、捻りながら繊維を切断して、なんとかゲットする。

その瞬間は楽しく過ごしたが(何がおもろいねん)、宿に戻りしばらくしてシャワーを浴びようと服を脱ぐと、腕周りや腰周りが赤くカブれている。

まあええかと思い、シャワーを浴びて更に数時間すると、その面積が増え、ブツブツもでき出し、腫れと痒みが出てくる。

まあ何とかなるかと思い、寝て朝起きると、更にその面積が増え、2日くらいでそれが身体を1周した。帯状疱疹なら死ぬと言われてるやつである。

それでもしつこく病院に行かず、ドラッグストアで買ったライトな抗炎症剤みたいなのを塗って誤魔化した結果、

皮膚の表面の皮は剥け、それでも皮膚の斑(まだら)な赤みは引かず、ブツブツも中々消えず、といった状態が続き、見た目が元に戻るまでに半年以上の月日がかかった。

どうもあの植物の茎を断ち切るときに、茎の中の汁を身体に浴びたことが原因のようだ。

形状を記憶に調べると、その植物の名は「クワズイモ」。

芋系で根に芋みたいなのが出来るのか知らないが、毒があるから食べれないイモ、だからクワズイモか?

でも頑張って調理すれば食えなくもないとも書いてある。なんやそれ。

言いたいことは、植物も舐めたらあかんということである。

みんな、気をつけなはれや!

出来たことがない

結果、毎回家は作ろうとトライするものの、あまりの費用対効果の低さに途中でギブアップする。

日光は時間で変化するが、波の侵食で出来た窪みや、木の枝葉の影などで凌げばいい。

最悪、日焼けのダメージは避けられないが、海に入って誤魔化せばいい。

ふかふかの床は、夜は砂浜の波打ち際から1番遠いところや、可能な限り平たい岩を見つけて、そこを寝床にすればいい。

また、ここを寝床とすることで、ある程度の虫は防げる。

風はもう喰らうのは仕方がないと諦める。

最悪、ギリセーフとした青色のビニールシートに包まればいい。空気の逃げ場が無くて逆に暑いから、2つ折りにしてその隙間に入り適度に空気が抜けるようにすることが肝要だ。

それでも、防ぎきれない、寒さ、熱さ、風、硬さ、虫、これらを喰らいながら寝る生活を続けると、気づくことがある。

屋根、壁、床って、超大事やん。
ってことである。

現代人はもっとリスペクトを持った方がいい。

屋根に感謝、壁に感謝、床に感謝。
ソファやベッドやエアコンなどはもはや神である。

住居系タフガイ

同時に、このような環境で寝ることを繰り返し経験すると、どんな所でも転がって寝れる、住居系タフガイに進化できる。

空港や駅の床はもちろん、陸地や市街の屋外で寝ることは、無人島で寝ることと比べれば、比較にならない程楽になる。

この能力は、バックパッカー時代に大いにプラスとなった。

ただ、家のフローリングの上などでも寝れるようになるので、夏場など、風呂上がりに全裸半裸でフローリングの上で寝てしまい、夜中クーラーの冷風を浴びて、フローリングからも体温を吸われ、カチコチの状態で朝を迎え、夏風邪をひくというデメリットも発生する。

こちらも気をつけなはれや!

おっと家の話をしているだけで、1話分の文字数を使ってしまった。

次は火起こしの話じゃい。

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