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#3 工具バナ①

今日は工業系の会社として、「工具」の話をしようと思います。
 
私は工業系オーナー企業の跡取り候補として、営業や経営は解るけれど製品やサービスを詳しく知らないのはイヤだなと思い、学校卒業後は他社での修行はせず自社に入社し、技術設計、発電所現場でのメンテナンス、工場での製造、生産技術、生産管理を経験し、営業、総務、経営企画といった部署に移っていきました。お蔭さまで本業には精通でき、良し悪しありますが、「嘘が通じない(通じにくい)」経営者になってしまいました。
 
メンテナンスでは震災以前の福島事業所に赴任し、福島第一原発内を中心に、東北地区の火力発電所でのバルブメンテナンスに従事していました。2年程度の経験なので、当然バルブのメンテナンスを極めるなど無理な話ですが、「そこそこ使える奴」くらいにはなれたのではないかと自負しています。
 

 

工具の名前を知らないとどうなるの?

 
皆さん、ガテン系の現場で親方や先輩に、「〇〇!」と工具の名前を言われて何度も間違えたり、まごまごしたりしているとどうなるか知っていますか?答えは「秒でシバかれる」です。反射神経的にシバかれます。私も現場初期のころは何度もスパナでヘルメットを被った頭を叩かれた思い出があります(そんなことをしてはいけません。昔の話で時効として記載しています。)。
 
移ろいが早く、一寸先には何が起こるかわからない世の中。皆さんもいつ何時ガテン系現場(工業)にぶち込まれるかわかりません。そんな時にシバかれないよう、工具の名前は憶えておいて損は全くありません。とは言え、工具の種類は膨大になるので、今日は極めて基本的な工具と、知ってる風を装ったり知ってるマウンティングを取るためのエモい工具について、数点紹介したいと思います。
 

基本的な工具

 工具と聞いてまず一般の人が思い浮かぶのは、ドライバー関連の工具かと思います。ドライバーはプラスドライバーやマイナスドライバーがありますが、ネジを絞めたり緩めたりする工具です。小さな機器やそこまで強く締結する必要が無い部品はネジで締結することが多いです。ですから、家庭用の工具セットでメインの座に座るのは、このドライバー関連の工具となるわけです。

 


基本的な工具(スパナ系)

 レンチ、スパナ、モンキー、名前くらいは聞いたことがあるかと思いますが、これらが何でその差は何かをきちんと理解している人は案外少ないかと思います。これらはボルトとナットを絞めたり緩めたりする工具です。サイズが大きい機器や強く締結する必要がある部品の場合、ネジでは難しくなってきて、ボルトとナットを使うようになります。ガレージ用の工具箱や自動車整備士の工具箱などはレンチ系がメインの座に座るようになります。
 
①レンチ
 リング状になっていてボルトやナットを包み込むように回すことができるのがレンチです。ボルトやナットとの接地面が多いので力が均一にかかりボルトを傷めるリスクが減ります。一方、ボルトやナットの上部からしか差し込むことができないので、狭い箇所では使いにくい(使えない)デメリットがあります。
 
②スパナ
 スパナは先端が開いていて、ボルトやナットに横から差し込むことができるので、狭い箇所でも作業ができます。一方、ボルトやナットに接する面は2面になってしまうので、ボルトやナットをレンチに比べて傷つけるリスクが高いというデメリットがあります。
 
③モンキー
 レンチ、スパナよりも一般にはモンキーの方が知名度は高いかもしれません。正式には「モンキーレンチ」です。ボルトやナットには色々なサイズがあり、そのサイズの数だけ、レンチやスパナも必要になります。それに対しモンキーレンチは、形状はスパナに似ていますが、口開きの幅が調節可能になっています。ひとつのモンキーで様々なサイズのボルトやナットに回すことができるのです。一方、基本的にはスパナと同じ形状なのでボルトやナットに接する面は2面しかなく傷つけやすい、またサイズを変えれる分隙間が生じ、あまり強い力でボルトやナットを回せないというデメリットがあります。
 
④ラチェットレンチ
 レンチもスパナもモンキーも、ある程度ボルトやナットを回すと外して差し込みなおす必要があります。この手間を省いて連続して回せるのがラチェットレンチです。ギア構造になっていて、一方に回すときには力が加わるも、逆に回すときは空転する構造になっています。
 
⑤トルクレンチ
 ボルトやナットはバカみたいに絞めれば良いというものではありません。力を加えすぎると締結する部品が変形したり、ボルトやナットのネジ山が破断したりします。シビアな部位以外は感覚的に締めることが多いですが、しっかりと締め付けの力を管理すべきボルトやナットを締めるときは、このトルクレンチを使います。締め付ける力をセットして締めると、設定力量に達すると「カチッ」と音がしてその力量に達したことが解ります。締める部位毎にしっかりとトルクをセットして親方に渡すと褒められます。ちなみに、回転の力を「トルク」といい、真っすぐの力を「スラスト」と言います。


 
おっと、ここまでで2000文字を超えてしまいました。このように、レンチ系だけでも様々な種類があり、対象となるボルトやナットに適したサイズ、種類の工具を選定する必要があります。サイズ間違いなどをすると回すことができず親方にシバかれ、作業性が悪い種類を選ぶと使えない奴と思われますが、最適な工具を選定できると、親方はコーヒーやリポビタンDをくれたり、昼飯をおごってくれたりします。皆さん、工具を覚えて損はないので是非覚えていきましょう。
 
次回は書きそびれた私的エモい工具について触れて、工具バナは終わりたいと思います。


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