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カリグラフィーを始めたい人向けメモ。

以前、カリグラフィーを始めたらすごく楽しいっていう記事を書きました。

まだまだ下手だけど、これを書いた時よりもちょっと上達して、友達の誕生日カードや出産のお祝いカードなど、日常でもいろいろ役に立っています。

私のnoteやツイートを見て、カリグラフィーやってみたいなって思ってくださる方もいるみたいなので、もしも友達にカリグラフィー始めたいって相談されたらなんて言うかなっていうのを想定して記事を書きました。

トラディショナルカリグラフィーとモダンカリグラフィーがあるぞ

カリグラフィーにはトラディショナルカリグラフィーとモダンカリグラフィーなるものがあります。最近はモダンカリグラフィーが人気で、「カリグラフィー」とだけしか書いて無くてもモダンカリグラフィーだったりします。

モダンカリグラフィーについては定義はまちまちだけど、自由で個性を重視していて、あととにかくおしゃれ。筆記具も割と自由で、ポインテッドペンや筆ペン、マーカーなんかも使われています。ハンドレタリングとかもおおよそこの部類かと。

「とりあえず筆記体でなんかクルクルしておしゃれな感じのやつ」を描きたい人はこっちでいいんじゃないかな。

で、モダンカリグラフィーが生まれる元になったのが、昔ながらのカリグラフィー(モダンカリグラフィーと区別するためにトラディショナルカリグラフィーという表現を使います。カリグラフィーとしか書いてない場合が多いけど)。中でも、このカッパープレート体をカジュアルに発展させたのがモダンカリグラフィーなんだと思います、たぶん。

トラディショナルなカリグラフィーには、カッパープレート体の他にイタリック体とかゴシック体とかいろいろあって、数百年前、モノよっては千年以上昔から書かれていた伝統的な書体が多く、書き方のルールはきっちりめ。書体によっては先の尖ったポインテッドペンも使うけど、先が平たいパラレルペンを使うことも多いです。こちらはTwitterでいつも素敵な作品をUPされてる方々。

いろんな書体が紹介されてる動画。

私はトラディショナルなほうを勉強しているので、以下は主にトラディショナルカリグラフィーの話です。


道具のこと

トラディショナルカリグラフィーは書体によって「パラレルペン」と「ポインテッドペン」を使います。講座をやってるとこなら初心者向けキットを売ってる場合も。

パラレルペンの道具はこんな感じ。

イタリック体やゴシック体などでは、先が平べったいパラレルペンを使います。ペン先はスピードボールのC2(3ミリ幅)が基本で初心者向け。C2(2ミリ幅)も割と使います。ペン軸とペン先のセット一応あるけど、C0とかC5とかあんまり使わないサイズのペン先も入ってる…。

↑よく使うサイズはこれ。ペン先だけ買って好きなペン軸(Gペンとか用の)使うのも良さそう。

カッパープレート体

ペン先を斜めに挿して使うオブリークペンを主に使います。

こういうやつ。


ペン軸はちょっと特殊だけど、ニッコーやタチカワ、ゼブラなど日本のメーカーのペン先も使えます!メーカーによってかなり書き味は違って、筆圧などで相性があると思います。ニッコーはちょっと硬めでした。

ちなみにストレート・オブリーク兼用のペン軸も。(Amazonにあるけど、2022年3月時点では現在送料入れても他で探したほうが安いみたい。)

インクも沼だけど、ペン先やペン軸もなかなか奥が深いです。いろいろ書いてから気づいたけど、私の記事よりこちらの記事読んだ方がいいかもw


ちなみに紙は最初のうちは何でもいいと思うけど、ポインテッドペンを使う場合は普通の万年筆用インクとかだとかなり滲みやすいです。にじみにくいインクやガッシュを使う手もあるけど、にじみにくい用紙やカリグラフィー用紙を使うのもいいかも。私は使ったことないけど、人気はトモエリバー。

ガイド線を引くのが面倒な人には、あらかじめガイド線入りのものも。ただし書体やバリエーションによってガイド線の角度が違います。これはカッパープレート用。

手に入りやすいやつだと、これ使ってる人をよく見るかも!滲みやすさは未知数…。

紙はあんまりいろいろ試してないので何がベストとかは言えないのですが、個人的なお気に入りは月光荘のスケッチブック。ザラザラしてる面に描くと、とにかく滲まないです。薄地の「ウス」や「イロ」はお透けやすいので、お手本をなぞる時にも便利。ただ、ポインテッドペンの時にはちょっと引っかかりが気になるかも。


書き味の良さは直接練習のモチベに繋がるので、ネットの評判とか読んで良さそうなのを探してみてください。

インク

インクは全然詳しくないのですが、今は万年筆ブームを受けて種類も多く、ネットはもとよりハンズとかいろいろなところで手に入ると思うので、テンション上がる感じの好きなやつを使うといいと思います(練習用にはほんとは黒インクがいいみたいだけど)。むしろインク集めるばっかで全然使ってないって人こそカリグラフィーやってほしい!

カッパープレートなどのポイントテッドペン用に、もともと私はこれを使ってました。

ダウンロードしたワークシートを印刷して使うとなると、一般のコピー用紙を使うことになりますが、上で書いた通り普通のインクだとかなり滲みます。本当はガッシュがいいみたいなんだけど、面倒なので滲みにくさに定評があるインクを。(ただこれイギリスのショップなので、今の情勢的に日本に送ってもらえるか確認が必要かも。)

この辺もカッパープレート向きとのこと。ただ紙によっては普通に滲んじゃった。

あと、染料インクじゃなくて顔料インクの方が滲みにくいみたい。

今は、パイロットの証券用インクにアラビアゴムメディウムを混ぜて使っています。メディウムを混ぜることで、かなり滲みにくくなりました。

ただし、ホルベインのアラビアゴムはAmazonだと何故かちょっと高いので、ヨドバシとかで買うのがおすすめです。500〜600円くらいです。一般の画材屋さんにもあります。プライム入ってない人は特にヨドバシの方がお勧めです。送料かからないので。

マーカーもあるよ

もっと気軽に始めたい人には、カリグラフィー用のマーカーやペンから入るのもアリかもしれません。小さい子供がいてインクの誤飲などが心配という人も、ペンなら比較的管理しやすそう。

ただ、市販の教本や講座、ガイドシートはペン幅3ミリもしくは2ミリを使う場合がほとんどだと思うのでご注意を。カリグラフィーはペン幅がかなり重要です。たぶん初心者は3ミリからやるのが主流だと思います。上で紹介した呉竹のZIGペンは3.5ミリと2ミリのツイン。

こういうのも。日本の筆記具って優秀みたいで、海外のカリグラフィー動画でも使われていたりします。

これが1番潰しが効くかも。3ミリのカリグラフィーペン!


カリグラフィーの道具はAmazonでも一通り手に入るけど、ネットに専門店もあります。まとまった額買うならこっちの方が良さそう。

トラディショナルカリグラフィーの道具も充実してるし楽天ポイントも貯まる


おしゃれなwebショップ。インクも充実してる


デジタルカリグラフィーから入る手もある


アナログに拘らないなら、もっと気軽にipadとかで、デジタルでカリグラフィーやるのもあります。ブラシもアプリもチュートリアルもかなりたくさんあるので、興味のある方は調べてみてください(まとめるの疲れちゃったw)

これはProcreateのやつ。英語。



独学したい人向けの参考資料


本なら「なぞり書き」できるものがおすすめ。

ガイド線を自分で引くとこから始める感じのやつは多分挫折しやすいので、最初はとにかくワークブックがついていたり、なぞれる実物大のお手本がついてるものが良いです。

もし友達におすすめの本を聞かれたら絶対これを推すと思います。学べる書体はイタリック・ゴシック・カッパープレートっていう王道書体3種類。実物大のお手本があるので、コピーしてなぞり書き練習できます。

いろんな書体を浅く広くやりたいならこっちかなぁ。

あと、Amazonには置いてないっぽいけどこういうシリーズもあります。カリグラフィー教室でも使われているテキストで、ストイックに本格的にやりたい人向け。これは2冊かけて一つの書体(イタリック体)を習得するもの。


カッパープレート体を本気でやりたいならとにかくこの一冊!!

いろんなバリエーションが載ってるから初心者には情報過多な部分もあるけど、かなりやりがいがある一冊。ワークシート(大量)もダウンロードできます。

フェリシモは楽しい

ライトな感じの通信教育ならフェリシモ。私が挫折せずに練習を軌道に乗せられたのは紛れもなくこれのおかげです。

難しいこと考えずに気軽に練習を始められるし、箱もテキストも資材も全てが可愛くて楽しい!ただ、要らないものもセットについてくるのもあって割高感あるのと、途中でやめられないので3000円する講座を6ヶ月続ける必要があります(挫折しちゃった人がメルカリに出品してるのをよく見かけるので続かない人も多いんだと思う…)。

あと、書き順や書体が他の講座と違うことも多いので(これはどんな講座にも言えることなんだけど)これやった後に教室行ったり別の講座をやるときにはちょっと戸惑うかもしれません。

モダンカリグラフィーの講座もあります。


動画の講座


フェリシモのシリーズ。一文字一文字説明してくれるタイプの動画ではないですが、本には載ってないようなちょっとしたことも説明してくれてるのでよかった。特にフェリシモの講座やってる人は絶対これもセットで見たほうがいいです。

https://www.youtube.com/watch?v=yRdWWmn00Wo


有料講座なみにしっかり解説してくれてるのがマクルグラフさん。喋り方が癒しで好きなんだけど、ひたすらベーシックストロークやったりしてけっこうストイックです。海外チュートリアルでもここまでしっかりわかりやすく教えてくれる動画ってないかも。

一文字一文字解説してくれてるし、練習用紙もダウンロードできるし、つまづきやすいポイントや解決方法も動画にしてくれてたり、ほんとにきめ細かな講座。今のところ(2022年3月時点)ではイタリック体が中心。ゴシック体のチュートリアルも追加されていってます。

ブログやwebサイトなども。

こちらは初心者向けの情報からマニアックな情報までいろいろ。道具のレビュー、書き方、カリグラフィーを仕事にしたい人向けの話も。

こちらはカリグラフィー教室のサイトですが、書体ごとの解説や姿勢、ペンの持ち方なんかも載っていて、独学者にはありがたいページ。

全然網羅できてないけど、noteにもカリグラフィーの役に立つ記事がいろいろあります。

先生に教わるなら

フェリシモで始めたカリグラフィーですが、本格的に習いたくなり、現在は教室に通っています。今の所に決めるまでにかなりいろいろ調べたので載せておきます。主にトラディショナルなほうのカリグラフィーの教室です。

ここでは主に対面の教室を集めましたが、通信教育もいろいろあるし、最近はオンラインで教われる所も増えてるみたいです。また、1日だけ、あるいは数回の短期のワークショップとかもあります。

あと、無料〜3000円くらいで体験レッスンを受けられるところも多いです。

大体分類するとこんな感じ

・ガチめな教室&大手

・カルチャーセンター

・大学や市区町村の生涯学習講座

・個人の教室

・文具店や書店、額縁店、などで主催されている講座

意外と多くて、内容を見る限りかなり本格的な所もあります。地方の味のあるお店とかも素敵。近くにあったら絶対通ってたのになー。

↓長崎の文具店。ときどきカリグラフィー教室を開催してるみたいです。オリジナル商品も素敵すぎるー。

↓富山の書店。店構えが素敵!ここも主にdayレッスンかな。(コロナのせいか最近は開講してないみたい)

相模原(神奈川)でいろいろワークショップやってるカフェ。


銀座の文具店・月光荘が結構本格的なカリグラフィー教室を開催していたんだけど、コロナのせいか最近やってなくて悲しい。月光荘のスケッチブック(ウスとイロ)薄いのに滲まなくて重宝しています。ただちょっと引っかかりはあるかなぁ。

カルチャーセンター系や個人の先生は平日の昼間のレッスンが多いし、社会人が通うとなると選択肢は結構限られそう。そして人気のあるところは満席になってることもしばしば。その上、コロナのせいで休講になっていたりオンラインに切り替わったり募集がストップしているところもあります。コロナめ。

あと、モダンカリグラフィーの教室と比べるとちょっとマダムで年齢層高めなところが多いイメージ…。

全国の教室リスト

カリグラフィーをお仕事にしてる人が入れるカリグラファーズ・ギルドのサイト上で、所属会員による教室一覧が紹介されています。地域ごとに掲載されているので便利。あと、上記とほぼ被るけど、日本におけるカリグラフィーの草分け的存在・小田原真喜子先生のサイトでも推薦教室一覧が掲載されています。ただ、どちらのリストも、掲載されている教室のサイトを見に行ったら現在は講座が開講されてないところ(特にカルチャーセンター系)もあるようなのでご注意をー。

もちろんこれらの一覧に載っていない教室もたくさんあるので、検索と併用すると良いかも。

検索のコツ

検索の上位に出てくるのは大体同じところなので、google 検索で

カリグラフィー 教室 地域名 とか

カリグラフィー レッスン 地域名 とか

カリグラフィー ワークショップ 地域名 とか

カリグラフィー 先生 地域名 とか

地域名を入れていろいろ検索。あと、古い情報も多いので、期間を直近1年とかにして検索してみてもいいかも。

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(あとモダンカリグラフィーの教室もいっぱい出てきて紛らわしい時は「-」を使って、「カリグラフィー」「教室」「-モダン」みたいに特定のキーワードを除外する方法もあります。)


SNSで探すのもおすすめ

個人の先生だと、SEO対策をあまりしていなかったり、そもそもウェブページがなかったりしてサイト検索では出てこない場合もあります。

その場合もSNSで告知や集客をしていたりするので、Twitterで上記で挙げたキーワードで検索したり、インスタでカリグラフィー系アカウントをチェックしたり、Facebookで「カリグラフィー」でイベント検索してみると良いと思います。海外のオンラインイベントなんかも出てきます(チャイニーズカリグラフィーとかアラビア語のカリグラフィーとかいろいろごちゃ混ぜでカオスだけど)

この方法だと、季節や単発のワークショップも見つけやすいです。世界的に有名なカリグラファーが来日してワークショップを開いてたりすることも!そして往々にして人気の先生のワークショップは瞬時に埋まってしまうことが多いみたいなので、気になる先生やお店はフォローしておくといいかも。

1日だけのクラスでも、自己流ではわからなかった発見があった…!みたいな話もよく見かけるので、長期で教室に通うのが難しい人も、機会があれば単発のワークショップに行ってみるのもいいかもしれません。

こういうのも。

単発のワークショップだけど、バレンタインやクリスマス前にカード作りの教室の開催が増えるっぽいです。

これはモダンカリグラフィー。


ホテルの宿泊者向けのワークショップ…!


あとめちゃくちゃ気になるのがここ。ブリティッシュヒルズ。

福島の英語を学ぶための施設なんだけど、英語で習い事ができるアクティビティがあって、曜日によってカリグラフィーも習えるみたいです。見た感じイタリック体かな?


以下は長期で教室に通うにあたっての話。

選ぶ時に気になること

先生との相性とか立地や時間帯とかいろいろあると思うけど、それ以外でこんな点も気になりました。

・ターゲット層

そもそもモダンカリグラフィーと比べると年齢層高めなことが多いんだけど、自分のお母さんくらいの年代の人しかいない教室で、しかもお茶の時間とかグループ展とかあったりするとさすがに気まずい(それはそれで面白そうだけどw)。
これはほんとにその教室ごとのカラーだと思います。私はカルチャースクール系の教室に通っていますが、マダムが多いながら20代くらいの人もちらほらいる感じ。

・習える書体の種類、順番

ガチめな教室はとにかくいろいろな書体を教われるし、お店が主催の教室などは書体は厳選されてる感じ。習う書体の順番が決まっている教室もあって、大体最初はイタリック体から、という所が多いみたい。好きな書体を選べる教室もあるけど、その場合でも最初は必ずイタリック体を習得して、そのあと好きな書体に進む、というケースも。

いきなりカッパープレート体やらせてくれる講座もありますが、手っ取り早くカッパープレート系(筆記体のクルクルしたやつ)をやりたいなら、潔くモダンカリグラフィーの教室を探すのも手かも。

・進度は一定か、どんなペースで学ぶのか

一つ一つの書体をマスターするのに個人のペースに合わせて進められる教室もあるけど、一つの書体につき6回完結、みたいに回数が決まっている教室もあります。これは独学で結構やってきた人は注意。そして1クール半年だけの価格を見て安いなーと思っても、実際には一つの書体をマスターするために何か月もかかったりして(特に最初のイタリック体は時間をかける教室が多いみたいです)。いろんな書体をマスターするには何年も通い続ける必要があったりも。この辺、どのくらいの期間で一書体を修了する人が多いのか、見学や体験の時に聞いてみるといいかもしれません。

もちろん、作品が好きでこの先生に教わりたい!っていう場合はこの限りではありません。

というわけで、かなり主観が入ったまとめですが、何かお役に立てば。


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