「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」を読んでみた【前半】


■本レポートの抜粋

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コンテンツマーケティングのポイントは、「ユーザーにとって価値のあるコンテンツコンテンツを作って興味を持ってもらう」こと、「顧客を育てる」こと、「ファン化する」ことの3つです。そして、コンテンツマーケティングを実践するには、適切な戦略立案やKPIの設定が必要です。本レポートでは、書籍「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」を参考にし、コンテンツマーケティングの全体像やポイントを押さえていきます。

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----------書籍情報----------------

書籍名:いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本
著 者:宗像淳、亀山蔣

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■はじめに

私の部署では、来期から、オウンドメディアだけではなくコンテンツマーケティング全般が支援できるような事業モデルを目指しています。そのため、現在はオウンドメディア運営を中心に行っていますが、コンテンツマーケティングの全体像を掴みたいと思い、今回「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」を読みました。

本書を参考に、コンテンツマーケティングを行う上で押さえるべきポイントと、今後の業務で活かすことを考えていきます。

■コンテンツマーケティングは恋愛と似ている

まず、本書で書かれていた、「コンテンツマーケティングは恋愛と似ている」という表現がとてもイメージしやすく、重要な考え方だと思いました。

本書によると、コンテンツマーケティングのポイントは、「ユーザーにとって価値のあるコンテンツコンテンツを作って興味を持ってもらう」こと、「顧客を育てる」こと、「ファン化する」ことの3つだといいます。

情報過多の現代では、不要な情報にもなり得る広告は嫌悪感を抱かれる傾向があります。そのため、興味もないのにいきなり商品の話をされたり、セールスをされたりするとユーザーは拒否反応を示してしまいます。

そこで、コンテンツマーケティングでは、恋愛と同じように、まずは興味を持ってもらい、段階的にユーザーとの関わりを深めた上で購入してもらうという視点が重要です。

本書では、コンテンツマーケティングの原点と言える言葉として、コンテンツマーケティングの権威ジョー・ピュリッジ氏の言葉が引用されています。

顧客はあなたのことも、あなたの製品やサービスのことも気にかけていない。彼らが気にするのは自分自身のこと、彼ら自身の欲求やニーズだけだ。コンテンツマーケティングとは、顧客が本当に関心を払うようになる、彼らを夢中にする興味深い情報を作り出すことだ。

製品やサービスについて伝えたい想いが強くなるほど、つい顧客視点が抜けて自分の言いたいことを言ってしまいがちになります。この言葉を頭に叩き込んで、本当に顧客が夢中になってくれるコンテンツは何かということを考えることが重要です。

■これからの購買モデルは「ZMOT」

本書では、これからの時代の購買モデルとして、「ZMOT(ジーモット)」という考え方が紹介されています。

ZMOTとは、"Zero Moment of Truth"の略で、「ゼロ個めの真実の瞬間」という意味です。

従来は、顧客は①何らかの刺激を受ける ②店頭に足を運ぶ ③自宅で商品を体験する という3ステップで購買行動を行っていました。しかし、これからの購買行動は、①何らかの刺激を受ける ②情報収集 ③店頭に足を運ぶ ④自宅で商品を体験する という4ステップになっているといいます。

現在の顧客は、商品を購入する前に相当な量の情報を自発的に収集しています。Googleの調査によると、購入前の情報収集の量は平均して10.6件とのことです。

また、特に住宅、自動車、金融商品といった高額で購入者への影響が大きい商品ほど、情報収集が活発に行われ、しかも購入前の情報収集を始める時期も早いという調査結果が出ています。

つまり、高額で購入者の生活や利益に大きな影響を及ぼす商品ほど、購入前の消費者が十分な情報を収集できる環境を作っておく必要があると言えるでしょう。

そこで、継続的に買い手との接点を維持できるコンテンツが必要となるため、普段からユーザーがどのようなことに興味をもっていて、どのような情報を集めているのかを知っておくことが重要です。

■コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングをやるメリットとして、潜在層を教育して顕在層に引き上げるため、顧客母数を増やすことができることと、広告費をかけずに、広告だけに頼らなくて良くなることは理解していました。

しかし、本書を読んで、下記のメリットもあるということが分かりました。

・信用性の向上

定量的に情報を発信することで、専門性の高い、信頼できる企業だと認識してもらえ、他者との価格競争に巻き込まれにくくなります。

・拡散力

コンテンツを作っておけば情報を自然な形で拡散することができます。本当に価値のある情報は、周囲の人にシェアしたいと思うものです。有益なコンテンツを作ることができれば、SNSで自然と口コミを広げてもらうことができます。

・幅広い地域を対象にできる

上記のように自然な形で拡散できれば、サービスを提供する対象地域も広がります。今までは日本の観光客にしか知られていなかった観光地が、口コミの拡散によって海外からも足を運ばれるようになることもあります。

■顧客視点のコンテンツを作る

顧客視点のコンテンツを作るためには、「誰を顧客とするのか」「顧客にとって有益な情報・顧客の課題を解決できる情報は何か」を明確にする必要があります。

本書では、アメリカの資産管理サービスのMint.comという会社の事例が紹介されています。

Mint.comは、無名のベンチャー企業のアtらしいサービスを知ってもらい、ユーザーの信頼を得て、サービスを使ってもらうために、コンテンツマーケティングを始めました。

まず、Mint.comがターゲットとした顧客は20代の男女でした。アメリカでは、多くの学生が自分でローンを組んで大学の学費を払うため、「働き始めたらどうやってローンを返済するか」「いかに節約をするか」といったことに大きな関心を持っています。

そこで、Mint.comでは、こうした20代の若者に向けて、お金と節約に関するコンテンツを制作し、オウンドメディアに掲載しました。

このように、自分たちの顧客はだれで、どのような悩みや関心を持っているのかを明確にすることで、顧客にとって有益な情報を作ることができます。

また、コンテンツ制作は、顧客のステージに合わせて3段階で作っていくことがポイントです。

最初は、自社の製品やサービスの必要性をまだ感じていない潜在層に興味を持ってもらうコンテンツを作り、「存在を知ってもらうこと」が必要です。

存在を知ってもらえたら、次は自社の製品やサービスへの「興味を育てる」コンテンツを作ります。ここでは、潜在的な課題に気づかせ、それを自分ゴト化できるような事例コンテンツなどが有効です。

ここまで来たら、ようやく、商品を「買ってもらう」ための製品やサービスの情報を提供します。

このように、顧客のステージに合わせてコンテンツの内容を作り分けることが重要です。

■コンテンツの種類は目的に応じて使い分ける

コンテンツマーケティングというと、オウンドメディアなどにブログ記事をストックし、それをSNSなどで拡散するというイメージがありますが、実際には以下のように、様々なコンテンツの種類があります。

①ビジネスブログ

②eBOOK/ホワイトペーパー

③メルマガ配信

④動画コンテンツ

⑤事例コンテンツ

⑥リアルイベント

⑦プレスリリース

⑧書籍の刊行

⑨オンラインセミナー

⑩インフォグラフィック

サービスの性質(B to Bなのか、B to Cなのかなど)や、達成したい目的によって適切なコンテンツの種類が異なるので、それぞれに適したコンテンツを制作することが重要です。

■コンテンツマーケティングの戦略設定

コンテンツマーケティングの戦略を立てるうえで、最初に考えるべきことは「ビジネス上のどのような課題を解決したいか」ということだと本書では述べられています。

既存のアウトバウンド型の手法やリスティング広告に限界を感じている、自社サービスが認知されていない、リードが足りない、など、企業がコンテンツマーケティングに取り組むきっかけには様々なものがあります。

ここで、コンテンツマーケティングで最も解決したい課題は何かを明確にしておくことで、何をKPIとして効果測定をしていくかを決め、適切な改善を行うことができます。

また、オウンドメディアを構築する上では、「顧客に対して伝えたい自社ならではの強みや特徴を表すメッセージ」である「キークレーム」を定める必要があります。

キークレームは、一度決めたら簡単に変更するものではないため、自社の強みや特徴を十分に分析する必要があります。

そこで、自社の強みや特徴を明確にするために有効なのが「SWOT分析」です。SWOT分析では、自社の強味と弱みという内部環境に加え、自社にとって追い風となる市場の機会と、脅威となる外部環境を書き出します。

この4点を洗い出すことで、他者との差別化ポイントや、市場でのポジショニングを適切に定めることができます。

■ペルソナ設定のやり方

顧客視点のコンテンツを作るには、まず顧客はどのような人かというペルソナ設定をすることが必要です。

私は今までペルソナ設定をクライアントにターゲットについてヒアリングしたり、身近なターゲットに当てはまる人を思い浮かべたりして設定していましたが、本書では別のペルソナ設定の仕方が記載されていたので、参考にしてみたいと思います。

ペルソナ設定は、想像で行うことは適切ではありません。現在の顧客情報や顧客データから定量的なデータを収集し、年齢や居住地、家族構成、年収などのセグメントに分けます。

そして、重要なセグメントと代表的なユーザーを決め、顧客インタビューを行い、潜在ニーズや深層心理を引き出します。

このように実際の顧客に基づいたデータからペルソナを設定し、具体的なストーリーや背景を作っていきます。

■カスタマージャーニーから、不足しているコンテンツを洗い出す

現在既に持っているコンテンツがある場合は、カスタマージャーニーの作成と現在のコンテンツの棚卸をして、不足しているコンテンツを見つけます。

カスタマージャーニーには、認知段階、調査・理解段階、比較・選択段階、リピート・口コミ段階の4段階があります。

それぞれの段階の顧客にコンテンツを提供する目的を考えることで、どんなコンテンツが必要かが分かります。そして、現在持っているコンテンツと照らし合わせることで、どの段階のコンテンツが不足しているのかが見えてきます。

また、カスタマージャーニーマップについて、本書では、「最初から完璧なカスタマージャーニーを作ろうと思わない方が良い」と書かれていて、これは重要な考え方だと思いました。

最初から完璧なものをつくろうとするとかなり工数がかかり挫折してしまうのと、カスタマージャーニーは実際に走り出すと想定通りにはいかないことが多いので、軌道修正がしにくくなってしまうからです。

まずは時間を決めてざっくりとカスタマージャーニーを作り、都度検証とブラッシュアップを行っていくことが効率の良いやり方と言えるでしょう。

■KPIはKGIから逆算する

コンテンツマーケティングのKPI指標には様々なものがあり、どれを追っていくかに迷いがちです。そのような場合は、KGIから逆算をするべきであると本書では書かれています。

例えば、目的が「サービスを広く認知してもらうこと」であればセッション数やPV数がKPIになってきますし、「見込み客を獲得すること」であれば、KPIは「ホワイトペーパーやeBookのダウンロード数」になります。

しかし、コンテンツマーケティングで効果が出るのには期間が必要なため、最初はダウンロード数ではなく、セッション数などをKPIとした方がうまくいくとも言えます。

■まとめ

今はクライアントのオウンドメディアの運用とコンテンツ制作を行っていますが、本書を読んで、しっかりとペルソナの設定やカスタマージャーニーを想定したコンテンツの棚卸ができていないと感じました。

そのため、今後はしっかりと顧客リサーチをし、顧客に本当に興味を持ってもらえる情報は何かということを明確にしていきたいと思います。

以前社長にフィードバックをいただいた通り、まずは自社のサービスの顧客理解ができなければ、クライアントのサービスの顧客のことはもっと理解ができないと思います。

そのため、まずはリスプラのオウンドメディア局の顧客はどのような人で、どんな課題を持っているのか、どんな情報を求めているのかをリサーチします。

そしてそれをふまえてホワイトペーパーやメルマガ、SNSの投稿などのコンテンツを作っていき、自社でできた事例をクライアントにも活用できるようにしていきます。

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