時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」を読んでみた

■本レポートの抜粋

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成果を出すために必要なことだと分かっているのに、緊急ではないからとついつい着手するタイミングを伸ばしてしまう、大切なことに使う時間がない、というフラストレーションは多くの人が感じているでしょう。

書籍『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』には、時間をデザインし、大切なことに使う時間をつくる方法が書かれています。

本レポートでは、本書を参考にしながら、どのように大切なことに時間を使っていくかを考えていきます。

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----------書籍情報----------------

書籍名:時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」
著 者:ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー
翻訳:櫻井祐子

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■はじめに

私はいつも時間に余裕がなく、時間に追われて仕事をしているように感じています。その結果、タスクの完了がいつも期限ギリギリになってしまったり、思考力が低下して生産性を下げてしまったりしています。

また、ディレクターとして案件の進捗管理をする上では、余裕のある適切なスケジューリングと、タイムマネジメント力が求められます。そこで、時間の使い方を変え、仕事が早い人間になりたいと思い、本書を読んでみました。

■大切なことのために時間をつくる

本書で書かれているのは、スケジュールをコントロールする方法ではなく、大切なことのために時間を「つくる」方法です。

スケジュールを完全にコントロールできる人はいません。しかし、注意を向ける先は自分でコントロールできると本書では述べられています。

例えば、「いつか」やりたいと思っている目標のための時間を全く取れないということがあります。こうした大切なことに集中するための時間は、下記の4ステップのサイクルを繰り返してつくることができます。

1.【ハイライト】その日に優先して取り組む「ハイライト」を決める

2.【レーザー】ハイライトに「レーザー光線のように集中し続ける

3.【チャージ】時間と注意力を1日中コントロールするためにエネルギーを蓄える

4.【チューニング】1日を振り返ってメモを取り、翌日以降に活かす

■その日に優先して取り組む「ハイライト」を決める

1日に完了させなければいけないタスクはもちろん1つだけではありませんが、その日の最優先事項を決めることで、そのことに取り組む時間だけは必ずつくれるようになります。

また、本書によると、ハイライトを選ぶことで、前向きで積極的な気持ちになれるといいます。

何をハイライトにするかは、3つの基準から選びます。

1つ目の基準は「緊急性」です。その日にどうしても終わらせなければならない緊急性の高いタスクをハイライトとして選びます。

2つ目の基準は「満足感」です。「緊急性」は、やらなければいけないことを基準に考えていましたが、今度はやりたいことを基準に考えます。これは、いつかやりたいと思っているけれどどうしても先延ばしにしてしまっている目標などが当てはまります。

3つ目の基準は「喜び」です。今日、何をやり遂げられたら一番喜びを感じることができるかという基準で考えます。

現状、私のハイライトは緊急性を基準にして選んでしまうことが多いですが、本書で紹介されている時間を作るための「戦術」を使い、「満足感」や「喜び」を感じられるタスクにハイライトを向けられることが多くなれば、より充実感が得られると思いました。

満足感や喜びを感じられるタスクには、「成果を出すために必要なタスク」が入ってくるため、ここに時間を割けるようになれば成果も出せるようになると思います。

また、本書では、複数の雑多なタスクを1つのハイライトとしても良いといいます。例えば資料作成には、フレーム構想・文章作成・レイアウト・仕上げといった複数の工程がありますが、それを「資料作成」という1つのハイライトにしたり、メール返信・書類整理などの細々とした複数タスクを1つのハイライトにしたりしてもよいのです。

さらに、ハイライトは1日の途中でも変更してよいと本書では述べられていて、私はこの考え方が意外と重要なのではないかと考えています。実際に作業を進めてみたら、優先度が最初に想定していたものと異なることもありますし、緊急で対応しなければいけないタスクが急に発生することもあります。

そんな時に、ハイライトは変更してもよいという前提があれば、当初の予定とはずれていても、ストレスを感じることなく、その時に一番重要なことに柔軟に集中することができます。

■気を散らすものを撃退して、レーザーのように集中する

私はこのような時間管理の本を読むたびに、いつもこの「気を散らすものを撃退する」という方法をそのまま真似することが難しいなと感じます。

実際、本書でも「iPhoneのアプリ(SNS含め)を消す」「メールの受信箱を空にするのは1週間に1回」「即レスしない」など、私の今の業務には支障がある戦術が紹介されていました。

しかし、本書でも書かれていますが、このような戦術を全てやらなければ集中できないというわけではなく、自分にできることのみを選んで実践してみれば良いのだと考えました。

私がまず実践できそうだと思ったことは、

「ブラウザ(アプリ)の通知を消すこと」「メールの返信の時間を決めること」「iPhoneのホーム画面(最初の画面だけ)にアプリを表示させないこと」「時間クレーターをなくすこと」「SNSやアプリを使う目的を考えて使うこと」

このあたりです。

ブラウザ(アプリ)の通知を完全にオフにすることはできなくても、特にすぐに気が付かなくても問題ない不要な通知もあります。

また、メールの返信もあまり放っておくということが業務上できないため、集中したい作業に入る前に一度全て返信しておいて、作業が長時間かかるようであれば、一旦何時に切り上げて返信する時間を挟むというのを先に決めてしまえば、注意を無理やり散漫させる必要はありません。

また、本書には載っていませんでしたが、情報は極力スプレッドシートで一元管理する、メールでレスが増えるような内容は一回の電話で終わりにするなど、そもそもレスを減らす工夫をしていれば、このように注意を遮断される時間を減らすことができるのではないでしょうか。

「時間クレーター」とは、ちょっとした注意散漫により、巨大な時間ロスを生んでしまうことです。例えば「なんとなくTwitterを眺めてしまった」「だらだらと夜更かしをして翌日の生産性が下がってしまった」というようなことが時間クレーターになり得るよくある例です。

これは意識していないといくつも積み重なり、大幅に遅れを取っているということがあります。私自身よくある「気が付いたら時間が経っていた」という現象は、このような時間クレーターによるところが多いと思います。

■時間と注意力をコントロールするためのエネルギーをチャージする

私たちの体内にはバッテリーがあり、バッテリーが空になってしまうと、時間クレーターのように注意散漫となり、時間ロスを起こしてしまいます。

そのため、質の高い休息やエネルギーが湧き上がることをしてエネルギーをチャージすることが必要です。

私が本書のこのセクションを読んで気が付いたことは、同じ休息でも、効率の良い休息と悪い休息があるのだということです。そして、今まで効率の悪い休息を取っていたために大事な時に注意散漫になってしまうことが多かったのではないかと思いました。

まずは、睡眠のとり方です。私も本書の著者と同じように、夜型を朝型に変えようと頑張っています。本書では、まず、自分のエネルギーを最大限にチャージするには1日何時間の睡眠が必要かということを知っておくことが大切だといいます。私はここをあまり考えたことがなかったので、これからは夜寝た時間と朝起きた時間と、その日1日の集中力がどうだったかということをメモしておこうと思います。

さらに、休日に寝だめをすることは、自分で時差ボケを起こしてしまうのと同じことだと本書では書かれています。休日も、平日と同じ時間に寝て同じ時間に起きられるように気を付けていきたいと思います。

また、これは最も気を付けなければいけないということは、「SNSやディスプレイを見ることは休息にならない」ということです。

私は今まで休息を取れる時間にはほとんどスマートフォンでSNSなどを見て過ごしていましたが、本書によると、ディスプレイを見続けていると脳は休息できないといいます。

本書では、その代わりに、料理をしたり、歩いて移動したりとめんどくさいことをあえてやる、瞑想をする、森林浴をするということが、短時間でもエネルギーチャージができる休息方法だと書かれています。

長時間の休息を取ってディスプレイを見ているよりも、短時間でもこのようにディスプレイから離れた休息をとって、効率よくエネルギーチャージをしていきたいと思います。

■1日を振り返るチューニング

大切なことに集中して時間を作れるような戦術を試したら、その結果どうだったかということを振り返る必要があります。本書では、このように1日をメモを取って振り返ることを「チューニング」と呼んでいます。

このチューニングをやることで、自分にとって集中できる方法は何か、どのような戦術を使うと時間をうまく使えるのかということが分かります。

私も、1日の最初にまずハイライトとそのハイライトに集中するために行う戦術やエネルギーチャージ方法を決めて、1日の終わりにメモを取って結果を振り返るということをやってみようと思います。

毎日変えるのではなく、1つの方法をしばらく継続してためしてみて、結果を分析してみようと思います。

■まとめ

本書では、大切なことに時間を使うために、「最優先事項を決める」→「最優先事項にレーザーのように集中する」→「集中に必要なエネルギーをチャージする」→「振り返ってチューニングする」というサイクルが紹介されていました。

また、最優先事項(ハイライト)に集中する方法や、エネルギーを蓄えるための休息方法がいくつも紹介されていましたが、全てが自分に適切な方法とは限りません。

まずは自分にできそうなことから1つ1つ試していき、その結果がどうだったかを必ず振り返りをして、自分に合う生産性を高める方法を探すことが重要だと思います。

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