駆け出しコンテンツマーケッターが「僕らはSNSでモノを買う」を読んでみた

■本レポートの抜粋

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SNSマーケティングで重要なのはフォロワー数かフォロワーの質か?質の良いフォロワーとはどのようなフォロワーか?ということに悩む人は多いと思います。本レポートでは、SNSでの購買フローはどのようなものか、SNSにおける購買行動の起点となるUGCはどのように発生・拡散させるのかということを書籍「僕らはSNSでモノを買う」の内容を参考に考えていきます。

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----------書籍情報----------------

書籍名:僕らはSNSでモノを買う
著 者:飯高悠太
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■はじめに

私は今、お客様のオウンドメディアの運営やコンテンツ制作を支援する事業部を担当しています。今はオウンドメディア運営を中心にしたサービスを行っていますが、部署の今後の展望として、SNSを中心としたアーンドメディアや、ペイドメディアも含めたコンテンツマーケティングの支援をしていくという目標があります。その目標を実現させるにはSNSの活用方法を学ぶ必要があると考え、飯高悠太さんの著書である「僕らはSNSでモノを買う」を読みました。

株式会社リスティングプラスでは、オウンドメディア「リスマガ」を起点としたコンテンツマーケティングの事例を持っていますが、私個人でも自分でコンテンツを作ってコンテンツマーケティングの事例作りをしたいと考えています。本レポートでは、書籍「僕らはSNSでモノを買う」の内容を参考に、今後どのようにコンテンツマーケティングの事例作りをしていくかを考えていきたいと思います。

■SNSでモノを売る成功事例をあまり聞かない理由

自分が物を買う時のことを考えると、「SNSを見て商品を知り、それがきっかけで買った」ということは多いと思います。しかし、「SNSでモノを売ることに成功している会社は?」と聞かれると、自分が購入した経験に比べてパッとは思いつきません。

本書では、SNSでモノを売る成功事例をあまり聞かない理由として、企業がSNSでのユーザー行動をとらえられていないからということが挙げられています。

SNSでモノを売る事例を作るには、ユーザーはどんな時にSNSでモノを買うのか、どんな情報が購買に繋がるのかを知り、それをふまえた情報発信をすることが重要だと本書では述べられています。

■フォロワーを増やすことや一時のバズは「目的」ではない

SNSを運用するというと、いかに企業アカウントのフォロワーを増やすか、いかにバズる投稿をするかということが重要であるような気がします。

しかし、本書ではフォロワーを増やすことは手段であり、目的ではないと書かれています。

企業でSNSを運用する目的はほとんどの場合「購入してもらうこと」です。ブランディングや認知拡大が目的だとしても、その先の最終目的には購買があるはずです。

そして、購買行動を引き起こすために重要となるのが「UGC(User Generated Contents:ユーザーから自然発生する口コミ)」の存在です。SNSが購買行動につながる一番大きな理由は、ユーザーが自然に発した口コミがその人の知り合い(フォロワー)を伝って拡散していくことです。そのため、どれだけフォロワー数が多いかというよりも、どれだけUGCを発信してくれるフォロワーが多いかということの方が重要であると本書では述べられています。

「質の良いフォロワー」というと、インフルエンサーのような有名人やフォロワー数の多い人が良いように思えますが、上記の「UGCを発信してくれるユーザー」と考えると、インフルエンサーはあまり当てはまりません。

また、フォロー数が多いユーザーは自分のアカウントもフォローしてくれる可能性が高いため、フォロー数が多いユーザーにアプローチをすることが有効だと考えるかもしれません。

しかし、フォロー数の多いユーザーのタイムラインは常に早い速度で更新されるため、自社の投稿になかなか気が付いてもらえません。そうなると、UGCを発信・拡散してくれる可能性は低いといえます。

本書では、UGCを広めるには、リアルと同じような繋がりがSNSでも発生することが有効だと書かれています。リアルの世界では、噂のような情報はAさんからBさんへ、BさんからCさんへと伝わっていき、だんだんと情報を知る人が増えていきます。Aさんから一度にBさん、Cさん、Dさんへ情報を拡散するという伝わり方はあまりしません。

SNSもそれと同じで、UGCは1人から次の1人へ、鎖のように伝わっていくと本書では述べられています。

そしてもう1つ、UGCはリアルでも中の良い友達や家族の間で伝わっていきやすいという特徴があります。そのため、友達や家族をフォロワーに多く持つ、プライベートの用途でSNSを使用しているユーザーで、ツイート数が多いユーザーがUGCを拡散してくれやすい「質の良いユーザー」ということになります。

本書によると、プライベートでSNSを使用しているユーザーのアカウントのフォロー数は150人くらいであるとされています。そのため、フォロワー数が多いインフルエンサーよりも、プライベートの用途として使用していて、アクティブ率(ツイート数)が多いユーザーの方がUCGを拡散してくれる見込みが高いといえます。

■UGCがなぜ重要なのか

UGCが購買行動を引き起こすために重要な鍵とされる理由は本書でいくつか説明されていますが、私が最も重要だと思ったことは「UGCは企業発信の情報よりも信頼性が高く、シェアされやすいし、行動喚起を起こしやすい」ということです。

SNS時代の購買フローとして、本書のキーワードになっているのが「ULSSAS(ウルサス)」というサイクルです。

ULSSASとは、ユーザーの口コミ(UGC)が発生する→それを見た人がいいね!(Like)を押して反応する→SNSで調べる(Search1)→ヤフー・グーグルなどで検索する(Search2)→購買行動を起こす(Action)→拡散する(Spread)という購買サイクルを指しています。

つまり、SNS時代の購買フローは、口コミ(UGC)が起点となって起こるのです。

例えば、使ったことが無い化粧品を企業の広告や芸能人が勧めているのを見るよりも、身近な友人や家族から「これ良いよ!」とおすすめされた方が信じられますし、実際に試してみようかなという気持ちになります。

また、身近な人が発信したUGCを見たユーザーは、今後はその商品名で自分で検索して情報を取りに行くので、指名検索を増やすことができます。

そのため、SNSを購買に繋げるためにはUGCが鍵となるのです。

■UGCを生み出す方法

では、自社の商品に関するUGCはどのように生み出していけば良いのでしょうか。

本書では、SNSでUGCを生み出すために企業アカウントができる3つの方法が紹介されています。

1つ目は、UGCを発生させやすい投稿をすることです。UGCを発生させやすい投稿とは、例えばおしゃれな画像など、リツイートしたくなるような投稿です。

2つ目は、ユーザーが参加できるコンテンツを発信することです。例えば本書で紹介されているシャトレーゼの公式アカウントでは、ユーザーが真似したいと思えるレシピの投稿を行い、ユーザーを参加させることでUGCを広げることに成功しました。

3つ目は、UGCを生み出すアカウント運用をすることです。

本書では、自社の商品に言及したユーザーの投稿をリツイートすることで、「こういう投稿をすれば公式アカウントにリツイートされる」という空気を作り、その投稿をお手本としたUGC投稿が増えるような工夫をしたという事例が紹介されています。

■コンテンツ制作で必要なペルソナとミッション設計

今回「自分でコンテンツを制作して、コンテンツマーケティングの事例をつくる」という目的において、本書で最も参考にしたいと思ったところはこの「ペルソナとミッションの設計」の部分でした。

まだ自社の商品のUGCが無い場合、UGCを生み出すのに効果的なのはオウンドメディアなどのコンテンツを作って、それをSNSなどで拡散していくという方法です。

オウンドメディアの成果をPV数で計測しているケースは多いですが、PV数を伸ばすことを目的にするのではなく、「サイトに人を集めて何をしたいのか?」というその先の目的を明確にすることが必要です。

この「オウンドメディアの運営の目的」は、お客様のサイトを運営する時にはいつも考えなければと思っていたところでしたが、いざ「自分のサイトをつくる」となった途端にそこを考えることが抜け落ちてしまい、自分が作って楽しいコンテンツという視点で制作しようとしてしまっていました。

そして、コンテンツに人を集める目的が決まったら、次は「どのような人のどんな悩みを解決するコンテンツを制作するのか」というペルソナとミッション」を考えることが必要です。

飯高さんは、コンテンツのペルソナは複数設定しているといいます。確かに実際にサイトを訪れるユーザーは複数のタイプがいて、いつも1人に絞ろうとすると悩んでしまってなかなか設定ができないので、私もペルソナは複数設定してよいという考えで柔軟に考えていこうと思います。

ペルソナは、「この商品を使う典型的なユーザー」のことを指します。ペルソナを設定しておけば、その人がどんな悩みを持っているのか、その人はこの記事を読みたいと思うか、この記事はその人の悩みを解決できるかどうかを判断しやすくなります。

■マーケティングは全体最適で考える

また、今私がまだできていないことで、やらなければいけないと思ったのが、本書で書かれている「SNSマーケティングは全体最適で考える」ということです。

本書では、「リスティング広告」「コンテンツマーケティング」「オウンドメディア」など、各施策を単体で最適化するとうまくいかないと述べられています。

例えば、オウンドメディアやSNSを使用したコンテンツマーケティングは、リスティング広告のように「100クリックあたりのコンバージョンは何件」という風に直接的な効果が図りにくい特性があります。

そのため、コンテンツマーケティング単体で成果を判断して最適化しようと思うと、「オウンドメディアから直接的なコンバージョンはあまり発生していない」などという判断をしてしまい、うまく最適化ができません。

そのため、マーケッターは一部の部分的な施策だけではなく、商品を取り巻くすべての環境を見渡して、全体最適の考え方を持つことが重要だと本書では書かれています。

普段の業務では、オウンドメディアの効果を分析する際に、GAやGRCなどのメディア分析ツールだけで簡潔してしまうので、その他の施策にどのような影響が出ているのかも含めて分析と改善を行っていこうと思います。

■まとめ

本レポートでは、飯高悠太さんの著書「僕らはSNSでモノを買う」を参考にして、SNSの活用方法やUGCを発生させる方法、UGCをつくるコンテンツ制作の方法を考えてきました。

本書の内容を参考にして、これから自分自身でオウンドメディア(コンテンツ)を制作し、SNSマーケティングを行ってみたいと思います。

そのために、まずはコンテンツで人を集めて何をしたいのかという目的を決め、その目的を達成するにはどのようなペルソナを集めるかと、その人達のどんな悩みを解決するかということを考え、オウンドメディアのコンセプトを決めます。

また、実際にメディア内のコンテンツを作る時には、本書でも紹介されていたカスタマージャーニーマップを作り、ユーザーはどのように行動するか?ユーザーの悩みが解決できるコンテンツかどうか?ということを考えていきます。

今回本書を読む前に自分のオウンドメディアを作ろうと考えていた時は、「自分はどんなコンテンツを作れるか」「自分が制作して楽しいコンテンツは何か」というように、自分本位でコンセプトを考えようとしてしまっていました。

しかし、本書で学んだ通り、ユーザーにどんな行動をとってほしいか、そのためにユーザーのどんな悩みを解決するかというユーザー視点で、コンテンツを考えていきたいと思います。

■蛇足

最後に気が付いたのですが、本の表紙に、飯高さんを中心としてTwitterで有名な方のアイコンのイラストがちりばめられていることに気が付きました。表紙だけ眺めても楽しいし絵がかわいい……どれが誰か、まだ一部しか分かっていないので頑張って全員特定したいと思います。

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