『わけあって絶滅しました。』を読んでみました。

----------書籍情報----------------

書籍名:わけあって絶滅しました ――世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑

監修者:今泉忠明
著 者:丸山貴史

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はじめに

先日NNGの朝会で、ライバルをすごいと思ってほめたたえたり負けを認めるのではなく、ボコボコに倒さなければいけないという話をしていただきましたが、私は今までそのように他人と戦って勝ってやるという強い気持ちをあまり持てていなく、正直「弱肉強食」というような言葉にあまりピンと来ないタイプでした。

また、「自分はこんなに頑張っているのに、なんであの人の方がいつも評価されて注目されるんだろう」と思っていましたが、ちょうどその時に「そもそも世の中は不条理なものなので、その不条理な中でやっていけるようにならなければいけない」という話がとても腑に落ちました。

自然界では、生き物の力ではどうしようもない環境の変化や、自分より強い種の誕生により、たくさんの生き物が子孫を残せずに絶滅してきました。それと同じように、個人だけでなく企業もビジネスも、完全に平等とはいえない環境の中で弱肉強食の関係があり、繁栄しては衰退していきます。

本レポートでは、自然界の絶滅の歴史を見ながら、私たちが社会において進化し続け絶滅しないためには、何が重要なポイントとなるのかを考えていきたいと思います。

生き物は常に地球でイス取りゲームをしている

地球の資源には限りがあるため、生き物が無限に増え続けることはできません。常に席数に限りのあるイスを取り合って生存競争をしているのです。そのため、ある生き物の絶滅は、他の生き物にとっては地球に大きな空席ができ、自分達が繁栄できるチャンスにもなります。

実際に、巨大な隕石が落ちて恐竜が絶滅したから、それまでひっそりと生きてきた私たち哺乳類を含む色々な種類の生き物が環境の変化に合わせて進化し、繁栄することができました。

そのため、絶滅と進化は常に背中合わせの関係にあります。

命に順番ができた

約40億年前、地球がうまれたばかりの頃の海に初めて動物が生まれた時代は「先カンブリア時代」と呼ばれ、肉食動物は存在していませんでした。動物も植物のように海水や日光から栄養分を摂取している平和な時代でした。

しかし、約4億年前頃の「古生代時代」に突入すると、「目」「口」「ヒレ」を持ったハンター(肉食動物)が生まれます。

本書では、この時代を「命に順番ができた」と表現しています。この頃から、誰かを傷つけてでもたくましく生きていかなければいけない弱肉強食の時代が始まりました。

ライバルがいない環境では退化が生まれる

鳥類の絶滅した理由として多いものが、「敵がいない環境で暮らしていたら、いつの間にか飛べなくなっていた」というものです。

敵の哺乳類がいないニュージーランドで育ってきた「スティーブンイワサザイ」というスズメのような鳥は、人間によって持ち込まれたネコに食べつくされ、絶滅してしまいました。いつの間にか飛べなくなって、ネコから逃げることができなかったためです。

また、同じようにニュージーランドで育った「ジャイアントモア」という鳥もいます。ジャイアントモアはかつてニュージーランドで一番大きい鳥で、他の鳥よりも強くて無敵な存在だったため、敵から逃げる必要が無く、翼が退化して飛べなくなりました。

ところがその後、ジャイアントモアは人間に食用として捕まえられて、絶滅をしてしまいます。

このように、生き物は必要のない能力は衰えていくのが自然の摂理です。これを読んで、私たち人間も、ライバルや困難が無いところに身を置いて平和に生きていると、何かしらの能力が失われてしまうのではないかと考えました。

その時はなんの支障も無く生きられるかもしれませんが、ライバルが現れた時には戦えなくなってしまいます。

ヒトとネアンデルタール人の違い

ヒトに非常に近い生き物だったネアンデルタール人は、約5万年前にヒトに襲われて絶滅してしまいました。

ここで驚いたのは、ネアンデルタール人はヒトよりも筋肉質で力が強く、脳のサイズも大きかったということです。

それなのに、どうしてネアンデルタール人はヒトに負けてしまったのでしょうか。

それは、ネアンデルタール人は「想像力がたりなかったため」だと本書では書かれています。

ヒトは1つの神を想像で創り上げ、それを信じることによって大きな集団を作って団結していきました。しかし、ネアンデルタール人にはそのような想像力はなく、彼らが信じたものは神ではなく肉(食べ物)だけでした。

狩りをして生活するだけなら家族単位で協力をすれば良く、小さな集団でしか行動をしていませんでした。

その結果、ヒトは大人数で団結してネアンデルタール人を襲い、数で負けたネアンデルタール人は倒されて絶滅してしまいました。

絶滅しそうでしなかった生き物

絶滅した生き物もいれば、ピンチの状況を切り抜けて絶滅せずに生存した生き物もいます。

その1つが、日本に住む「二ホンライチョウ」です。二ホンライチョウはもともとロシアに住んでいましたが、地球がとても寒くなった「氷期」に日本に移動してきました。

しかし、氷期が終わった日本の気候はどんどん温暖になっていき、ライチョウが生きられる気候ではなくなってきました。その時に二ホンライチョウが取った行動は、気温が低い標高の高い山にのぼるということです。

ほとんどの二ホンライチョウは死んでしまいましたが、一部は標高2000m以上の高い山に逃げ込んで生き残っています。

同じように人間や自然環境の影響を受けにくい深海に潜ってひっそりと暮らしたり、地面で干からびた獲物の死体や人間が出す生ごみを漁ることで、原始的な形でほぼ進化をせずに生き残った生き物もいます。

まとめ

本書を読んで、改めて弱肉強食の自然の摂理と、限られた数の椅子を取り合う生存競争が繰り広げられている環境を思い知らされました。

そして、生き物の絶滅の話は、会社の中や、ビジネスでの戦いにも共通しているのではないかと思いました。

私は今まで戦いを避けて、苦手なことからも逃げることもありましたが、それだとどんどん能力が退化し、戦えない人間になってしまいます。今後は、ライバルと積極的に戦うことによって、自分の能力を伸ばしていけるという視点で動こうと思います。

また、本書では人間が他の生物を絶滅させてしまうという例が多いのですが、まず絶滅させることは悪いことであるということは置いておいて、単純な生物としての人間の強みについて考えました。

人間の強みは、どうすれば相手に勝てるかという方法を色々と考え、自分の身体を延長させた武器や道具を生み出して戦える発想力と、ネアンデルタール人との闘いでも発揮された、想像力と団結力であるということが分かりました。

想像力を持たず、肉を食べることだけしか考えていないのではネアンデルタール人と同じで、人間の本当の強みを発揮することができません。集団でどう戦うか、豊かな想像力を持って、あらゆる手段を考え抜くことが、人間が生き残るためには重要だと思いました。

特に今、コロナの時代で、少し大げさに言えば、隕石が落ちてきたり、火山が大噴火したりした過去の絶滅危機の場面で起こったような環境変化の時代に私たちは立たされていると思います。

環境の変化に適応した能力を進化させるために、ライバルと切磋琢磨できる状況に自分を置き、すぐに答えを求めず、自分自身で思考をしていく想像力を鍛えていきたいと思います。


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