「問題解決のためのデータ分析」を読んでみた

----------書籍情報----------------

書籍名:新装版 問題解決のためのデータ分析
著 者:斎藤健太
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はじめに

お客様の売上を上げるためには、コンテンツマーケティングでどのような施策を行うべきかを提案し、実際に施策を実行してPDCAを回していく必要があります。しかし、思い付きではなく明確なデータと分析に基づいたPDCAを実行しなければ、効果的にパフォーマンスを向上させることができません。

私はこうしたデータの分析結果に基づいて論理的な提案をすることが苦手であるため、ここを強化すればお客様に動いていただける提案ができると思い、今回本書を読んでみました。

問題解決のフロー

まずは、どのようなフローで問題解決を進めるべきなのか、全体像を押さえます。

正しく問題解決を行うためには、下記のようなステップを踏んでいきます。

1.現状の理解

問題が発生している状況を正確に理解します。

2.原因の見極め

問題の発生している根本的な原因を見極めます。

3.打ち手の決定

突き止めた原因から、効果的な打ち手を導きます。

4.実行

打ち手を実行に移し、必要に応じて修正していきます。

現状を正確に把握する

本書では、現状を正確に、そして具体的に把握することが重要だと述べられています。

例えば「売上減少」という現象が起こった場合には、下記のように細かく今起こっている現象を浮き彫りにする必要があります。

・昨年度と比べていくら減少しているのか、何%減少しているのか
・客数が減少しているのか、客単価が減少しているのか
・どの商品の売上が減少しているのか、どの営業担当の売上が減少しているのか

原因を見極める前に仮説を洗い出す

本書では、問題解決をする上で最も重要なのは問題の原因を見極める部分であると述べられています。

原因を見極めるためには、まず問題の原因を思いつく限り洗い出すことが必要です。

売上減少の原因であれば、「来客数が少ない」「リピーターが少ない」「商品の品質が低い」など、原因となり得るものをいくつか挙げることが出来ます。

原因を洗い出したら、真の原因である可能性が高いものから仮説を立てます。

例えば、「顧客のニーズに合った商品を提供できていないことがそもそもの原因で、客数が減って売上減少が起こっている」という仮説を立てることができます。

仮説を立てたら、その仮説が合っているかどうかを証明するために必要な分析方法を決定します。

例えば上記の仮説の例であれば、来客頻度や購入金額別に顧客をセグメント化し、客数の減少している商品販売実績を時系列で分析する方法が有効です。

それによって、減少している顧客層や、どんな商品が顧客ニーズと乖離しているかが導き出せます。

目的・仮説に合ったデータを集める

本書でよくあるデータ分析の失敗例として挙げられているのが、「目的を決めないままに闇雲に情報収集や分析を始めてしまう」ということです。

これをやってしまうと、役に立たない無駄な情報も集めてしまい、頭が混乱したり、時間を無駄にしてしまったりします。

私は、今までまさにこの失敗をしていたことがたくさんありました。

「仮説を立てて、その仮説を証明するためにどんなデータが必要なのか」ということを事前にしっかり決めていなかったため、情報収集をしているうちに目的が分からなくなり、結果的に仮説の証明に必要なデータが逆に抜けていたりすることがあると思います。

正確で効率的な分析をするには、ロジカルシンキングが必要です。

ロジカルシンキングとは、「原因と結果を明らかにするための「筋」が通った考え方」のことです。「現状」と「あるべき姿」を分けて考え、あるべき姿に近づくためには、現状において何が真の問題なのかを突き止め、必要な打ち手を構築して問題をひとつずつ潰していくことが重要です。

ロジカルシンキングを行いやすくするのが、原因を枝分けにして洗い出す「ロジックツリー」というフレームワークです。

ロジックツリーを使えば、考えられる原因の洗い出しが漏れるリスクが減り、また、今何のためにデータを分析しているのかということも可視化して分かりやすくなります。

データ分析をした上で真偽を確認する

データを分析すれば、「恐らく正しいだろう」という結果を得ることができますが、本書では、データ分析で出た答えが合っているかどうかを一度疑い、真偽を確認することが重要だと書かれています。

真偽を確認する方法は、店舗の売上の減少についてであれば、現場の担当者にヒアリングをするなどといったことになります。

また、データ分析をしてからヒアリングをするという方法は、ヒアリングを効率的に進める上でも効果的です。

例えば、何のデータも見ずに仮説も立てずに現場担当者にヒアリングをすると、「売上が下がっている原因を知りたいので、とりあえず各店舗ごとのスタッフの取り組み方に問題がないかと、各店舗の周辺の競合の出店状況に変化がないか教えてください」ということになります。

現場担当者はそれ以外の業務で日頃から忙しくしているため、何の根拠もない仮説のために多くの時間を割くのは非効率だと面倒に思いますし、調査に時間もかかるでしょう。

しかし、各店舗ごとの売上データを実際に見た後であれば、「ここ最近の各店舗ごとの売上の減少率に関してはあまり大差が無かったので、現場スタッフの取り組み方や競合の出店状況は影響していないと思いますが、どうでしょうか。」という聞き方ができます。

このような聞き方であれば事前に根拠がはっきりしていますし、担当者にとってもYes/Noで答えられるため、ヒアリングの労力を減らすことができます。

また、本書では、ある化粧品メーカーの売上減少の分析をした例が紹介されていました。

まず、売上減少の現状を細かく把握するため、新規顧客、リピーターなど、顧客層を分けて顧客数の比較をしました。

その結果、新規顧客の数が明らかに減少していることが分かりました。

ここで、著者はある仮説を立てます。新規顧客の数に影響を与えているのは、広告の出稿状況に変化があったことが考えられます。

そこで、販管費や人件費などの経費データを見たところ、実際に広告費が減らされていることが分かったのです。

その上で担当者にヒアリングをすると、予算縮小のためテレビCMをやめ、広告費を削減していたことが分かりました。

この原因が分かれば、同じようにテレビCMを復活させるという他に、今後は予算に合った広告手法に変えてみるなど、筋の通った施策案を出すことができます。

まとめ

私は今までサイト分析をする時に、Googleアナリティクスなどを見ていると、どの数値が必要で、何のために分析しているのかがだんだんと分からなくなることがありました。

それは、最初に問題に対する仮説を立てて、「その仮説が合っているかどうかを確かめるためのデータを収集する」という思考ができていなかったからだと思います。

また、私は頭の中だけで仮説を立てると、色々なデータを見ているうちに、何が必要なのか、目的は何なのかという思考が混乱していくということが分かりました。

そのため、今後施策立案のためにデータを分析する時は、本書で紹介されていたようなロジックツリーをきちんと見えるように書き出して、「今どの仮説を立証しようとしているのか」がはっきり分かる状態にした上で、分析を行っていきたいと思います。

また、本章を読んで、お客様にヒアリングをする上でも、仮説を立てておき、事前に分かるデータは分析しておくということが重要だと分かりました。

忙しい中でもお客様に協力してもらいやすくするためにも、今ある仮説に基づいたデータ分析結果を伝えた上で、お客様にヒアリングをするようにしていきます。

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