「SINGLE TASK 一点集中術」を読んでみた

■本レポートの抜粋

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

毎日忙しくしていると「忙しいからマルチタスクで複数に色々な仕事をこなさなければいけない」という考えになりがちですが、実は人間の脳はマルチタスクができるつくりにはなっていなく、本当に生産性を上げるには、1つ1つのタスクに集中して取り組む「シングルタスク」に取り組むことが重要です。

本レポートでは、「SINGLE TASK 一点集中術」に書かれていることを参考にして、「いまここ」で何をするべきなのかを選択し、そのことに全力で集中する必要性と、その方法を考えていきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

----------書籍情報----------------

書籍名:SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
著 者:デボラ・ザック
訳:栗木さつき
ーーーーーーーーーーーーーーー

■はじめに

私は同時に複数のことに気が取られて何も進んでいないといったことや、複数の目標を同時に追ってどれも達成できないといったことがあります。また、いつも「時間が無い」「タスクに追われている」「確認漏れ、ミスがなくならない」という状態になっている原因の1つが、1つ1つのタスクに集中できていないからではないかと思い、本書を読みました。

■脳は一度に1つのことにしか集中できない

本書では、「マルチタスクは神経学的に不可能だ」と述べられています。人間の脳は、集中力を必要とする作業を1度に1つずつしかできないようになっているためです。

しかし、お互いの作業が干渉し合わなく、どちらかが集中力を必要としない作業であれば同時に進行することは可能だといいます。

例えば、食器を洗いながら会話をすることができる、ラジオを聴きながらいつも行っている近所のスーパーまで車を運転できる、というマルチタスクは、「食器を洗う」「近所の良く知った道を運転する」という作業が集中力を必要としないため、同時に行うことが可能なのです。

逆に、「会議をしながら別の相手にメッセージの返信をする」という場合、メッセージを送っている時に同時に会議の内容を聞くことはできません。また、クライアントから来ているメールに何と返そうか考えながらデータの数を数えることも不可能です。

前提として、「マルチタスクができる」という人は正確には「マルチタスクを行っているふり」をしているだけで、実際はどちらかのタスクを中断してすばやく他のタスクに切り替えている「タスク・スイッチング」をしているだけであると本書では書かれています。

複数のタスクを同時にこなそうとして、タスクを中断されたり集中力を途切れさせられたりすると、脳は疲弊し、ストレスを感じやすく、逆に達成感や充実感を感じにくくなります。

また、タスク・スイッチングばかりしていると、情報を効率良く処理し、保管する能力がなくなり、理解力や記憶力が低下するということが分かっています。そのため、マルチタスクを行っている限り、生産性は上がらなくなります。

■集中できないと信用を失う

例えばクライアントとの会議の時に、PCを開いているとチャットの通知が上がってきます。すぐに返せる内容だからとチャットの返信をしている時には、会議の内容を聞くことができません。

そのような時に、「どう思いますか」などと意見を求められたら、話を聞いていなかったことが相手には分かってしまいます。このように、話を聞いている時は相手に100%の集中力を向けないと、信用を失ってしまいます。

本書では、1時間部下の相談に乗りながら別の仕事をしているのと、15分だけしか相談には乗らないが、その間は全力で相手の話に集中しているのでは、後者の方が相談をして良かったと思ってもらえるという実験結果が紹介されています。

このように、だらだらと集中せずに話を聞くよりも、短い時間でも相手の話に集中したほうが、相手からの信頼が得られるのです。

例えば忙しい時に電話が来た場合も、電話をしながらPCの操作をするのではなく、相手に最初に「この後すぐに予定が入っているので15分だけなら時間が取れる」と伝えた上で、電話に集中した方が、相手に信頼してもらえ、かつ時間も短時間で済ませることができます。

■マルチタスクをしているから時間がなくなる

私は今まで、「忙しいから複数のタスクを同時にしなければいけない」と思っていました。しかし、本書を読み、「複数のタスクを同時にしているから時間が無くなるのだ」ということが分かりました。

例えば朝クライアントから来ていたメールを返信しないまま放置していると、原稿チェックを行っている最中に「そういえばあのメールに何と返そう」という考えがついよぎってしまい、もう一度原稿チェックを最初からやり直す、ということになってしまいます。

また、別の考えが頭に浮かんできて上司の話を集中して聞けていない時も、後から分からないことが出てきてもう一度同じことを聞いてしまうこともあります。

このように、一見複数のタスクを同時に行った方が早く終わるように錯覚しますが、実際は複数のタスクに同時に取り組むということはできないため、1つ1つにしっかりと集中しなければ、結果的に無駄な時間を使ってしまいます。

■邪魔な情報をシャットアウトする

インターネットに接続してると、常に情報が入ってくる状態になり、その中には不要な情報もたくさんあります。また、電話がかかってきたり、話しかけられたりといったことでも、集中力は途切れてしまいます。

そのため、集中をすると決めたらデバイスの通知をオフにする、会議室にこもる、「何時以降に返信する」といった旨の自動返送メールを設定しておくなど、不必要な情報をシャットアウトする工夫が有効です。

■時間を決めて集中する

上記のように集中作業をする時は邪魔が入ってこないようにするということで、他の人に連絡が取れずに迷惑をかけると思ってしまいなかなか実行に移せません。

そこで、長時間集中して行わなければならない作業がある時は、予め周囲の人に「集中しなければいけない作業があるため、連絡が取れるのは〇時以降になる」と伝えておくことが必要です。

また、メールに関しても1日3回、20分ずつメールの確認と返信をする時間を決め、その他はメールボックスをチェックせずに目の前の作業に集中するように本書では書かれています。

クライアントによっては1日3回だと遅いと感じる方もいると思うので、そこは柔軟に「この2時間の作業が終わったらメールとチャットを確認する」「1時間ごとに作業を中断してメールとチャットを確認する」というように決めておくことで、それ以外の時間はしっかり作業だけに集中することができるでしょう。

また、本書でも書かれていたのですが、私は作業に本当に集中して没頭すると時間を忘れてしまうことがあります。そのため、集中して作業を行いたいからこそ、タイマーをセットして「〇時までは集中する」と決めて、作業に没頭するようにします。

■思いついたことはメモをしておく

1つの作業を行っていると、関係の無い別の作業についてのアイディアが浮かんでくることもあります。本書では、人は新しい情報に気を取られてしまうため、意識をしていないと新しく浮かんできたアイディアに気を取られ、最初の作業が進まないということがあると書かれています。

そのため、そういった別のアイディアややらなければいけないことが発生した場合には、一旦メモに残しておくことが有効だと本書では書かれています。人は長期間記憶を残しておくということができないため、メモに残しておくことで忘れて漏れることがなくなります。

しかし、そのようなメモをするときに、何かの書類の裏や切れ端に書くとどこかに行ってしまうので、場所が分かるところにメモを残しておくことが重要です。

■相手の期待をコントロールする

1つ1つのタスクに集中するには、相手の期待をコントロールすることが重要であると本書では書かれています。

例えばタスクが詰まっている時に上司に今すぐやってほしいと時間がかかりそうなタスクを頼まれた時には、タスクが詰まっているという状況を伝えて期限の交渉をするか、そちらのタスクの対応をすると別の作業が後倒しになるが良いかと相談をすることが必要です。

私は急ぎのタスクを頼まれると、「なんとかなるだろう」とあまり考えずに対応をして、結局別のタスクが期限に間に合わないと後から分かって、その場で初めて交渉をすることがよくあります。

しかしその方が結果的に迷惑をかける可能性が高く、信用も失ってしまいます。

本書では、「ノーと言える方が信用してもらえる」と書かれています。「言いにくいから」と適当に仕事を受けてしまうことは、逆に相手に不誠実になります。

緊急で仕事を頼まれた時は、その場で相手の期待通りの期限にできるかどうかをすぐに確認し、不可能な場合はただ「できない」と言うだけでなく、他の仕事の期限を調整できるかなど、すぐに相談をするようにします。

■タスクの分類分けをする

効率よく生産性を高めるために、本書では2つのタスクの分類の仕方が紹介されています。

1つは、類似タスクをまとめる方法です。

例えば、私が1日の中で行う作業では、「メールの確認と返信」「ランサーとの連絡」「チャットの確認と返信」などの連絡系作業グループ、「デザイナーから上がってきた制作物の確認」「ライターから上がってきた原稿の確認と修正」などの確認系グループに類似タスクをまとめられます。

こうした類似タスクを行う時間を1日に数回時間を決めてまとめて行うことで、効率良くタスクが進められます。

もう1つのタスクの分類分けの方法は、タスクにかかる時間で分類する方法です。

まずは、タスクを「1分前後で片付けられるもの」「10分以内で片付けられるもの」「1時間以上かかるもの」に分類します。

そして、1分前後で片付けられるものには今すぐ着手をし、10分以内で片付けられるものには1日のうちでできるだけ早い時間帯に取り組み、1時間以上かかるものは今後2、3日のスケジュールのどこかにそのタスクに取り組む時間を予定として入れておきます。

また、本書によると、やらなければいけないが、考えるだけで気が重くなり、なかなか着手できないタスクは、朝イチで片付けてしまうことが推奨されています。

理由は、重要なタスクを先延ばしにしているといつまでもそれが自分の重荷となり、他のタスクに集中することができないからです。

■内省の時間をつくる

ネットサーフィンをしていると常に色々な情報が入ってきて忙しく時間を過ごすことになるが、その時間をひとりでじっくり内省をする時間に充てるべきだと本書では書かれています。

自分を見つめることで、他者に共感する能力を高められるというイタリアの研究結果が出ているそうです。

また、なぜ人は内省をする時間を避けるのかという問いに、本書ではつい自分中心に考えてしまうため、友人にアドバイスをするのは簡単でも、自分自身の問題の解決方法を考えるのは難しいから、向き合うことを避けてしまうと書かれています。

そのため、内省をする時には問題が自分自身ではなく第三者に起こっていることのように考え、他人に起こった問題のように考えるといいと研究によって分かっています。

■一点集中力を鍛える方法

一点集中力は、不必要な情報を遮断し、トレーニングすることで鍛えられます。また、集中力や創造力を高めるためには、休憩してリラックスする時間を設けることも重要だと本書では書かれています。

そのため、普段の業務以外でも、休日には1~2時間、インターネットとの接続を遮断して映画を見たり、自然に触れたり、友達と食事をしたりするなど、興味のあることに没頭する時間を設けることが有効です。

また、瞑想や、「ゼンタングル」という基本的なパターンを繰り返し描いていくアートに15~20分ほど取り組むことでも、集中力が鍛えられると言います。

■いまやるべきことを決めたら、一心不乱に取り組む

集中力や注意力が散漫になる原因の一つは、「嫌な事をしぶしぶやっている」という状態です。

例えばなんとなくあることがやりたくなくて、だらだらとテレビを見ていたいという気分になった時は、楽な道を選ぶのではなく、「今、何をすることが自分にとって本当に大切か」ということを考え、今取るべき行動を選択します。

そして、一度今やるべきことを決めたら、それが何であれ一心不乱に没頭することが大切だと本書では書かれています。

一時のラクをしたいという気持ちに流されるよりも、本当に大切なことであると自分で決めたことを選ぶことで、結果的に満ち足りた気分を味わうことができます。

■まとめ

本書では、「いまここ」に集中し、1つ1つタスクに取り組んでいく重要性とその方法を学びました。その内容をふまえ、下記のことを実践していきます。

・1日の最初にスケジュール確認をする時に、タスクの分類分けを行い、類似タスクをまとめて行う時間を決め、早く終わりそうなタスクから片付けていく

・「やりたくない」と思う作業は朝イチで真っ先にやる

・集中する時は時間を決め、長くかかりそうな場合には〇時まで連絡が取りにくくなるということを周囲に予め伝えておく

・メールやチャットの確認や返信をする時間を最初に決めておき、その時間以外は見ない。また、「返信をしなければ」と考えないように、集中作業に入る前にメールの返信は終えておく。

・休日にはネットの情報を切って、別のことに没頭する時間を作り、集中力を鍛える

・作業中は常にノートを開いておき、関係ないアイディアやタスクが思い浮かんだら、一旦メモをして脇に置いておく

・他の人と話をする時は別のことを考えたり、したりせずに、相手の話に100%意識を傾ける。時間が無いのであれば、いつなら時間があるのか、何分なら時間が作れるのかを予め相手に伝えておく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?