短歌 一人百首

死ぬ前にホンの一分時間をくれたらキミと死ぬほどセックスするのに

どうしても離れたくない人たちを集めて告げる離れたくない

つゆほども知らない人の思い出をのぞき見してはつい涙ぐむ

カラフルなものも必要なくなればゴミとなるのが受け入れ難い

ガンダムを見たことないけど知っている彼らが集まり飲み明かしてる

君だけはわかってくれると言ったのが思い返せば別れの始まり

セックスの最中に神話がどうこういう奴に惚れたあたしは馬鹿か神様

とりあえずピンクに塗って乾かせばエロい小部屋が出来上がるはず

真っ直ぐに立ったちんこに札つけて寄贈と書いて誰を待つのか

しっかりと立ったフラグを折り曲げて180年生きていた君

約束は要らないからと言ったのにその手はすぐに手帳に伸びる

旅立つと急な話を聞かされたタンゴ踊ったすぐ後なのに

捨てきれず持ち帰ってきた性欲を小箱に入れて大事にしている

新幹線速いぞ速いぞ新幹線そんな夢見てまた寝しょんべん

早朝にサンバの衣装を運んでる業者がくれた青の飾り羽

みっちりと前後のカゴに詰め込んだチワワがこぼれるチャリのスピード

おっぱいのちからをけしてあなどるな朽ちた遺跡に残された文字

森光子3005年の放浪記クローンが魅せた片手側転

柔らかな赤いシートに導かれ眠り埋れて三崎口まで

木の枝をあり得ないほど振り回し世界を救えと駄々をこねる子

成れないと思った次の瞬間に成りたくないと口にしている

これからはお前の国だと渡された六畳一間に呼吸をおろす

路地裏の猫のお尻の穴の上海賊王の宝のありか

当分はこれだけ食べて暮らせるね玄関先に活きたアンコウ

断捨離に後悔する気はないけれど細川ふみえのサイン恋しい

つい昨日しまったコタツをすぐ出して春までずっと暁覚えず

赤子と赤子が並んだ時のグルーヴ感俺はいつでもあれが欲しいの

今朝方にもらった餌に黄昏て遠い目をして糞をひるパグ

朝青龍投げてよこした転校生一度に惚れた男子三人

駅前のLUSHの匂いで昏倒し時をかけてる制服おじさん

初恋の味と呼ばれた飲み物と知らずに味わう失恋の朝

不器用を言い訳にして立ち去ったあの人多分テレビチャンピオン

ポイントが溢れ出るほど貯まってるこのTカードのオーラが見えるか

一晩中夏帆のあだ名を考えてなぜか天井下がりと名付け

西荻の駅のホームでディープキスしてるカップルフィギュア化計画

税金を裸で納めにやってきて満足顔で逮捕されてる

見るからに変態ヅラした妖精に石を投げつけ今日も安泰

フレッシュを売りにここまでやってきた八十七のソングライター

大きめのラクダを停めた駐車場大家も困り餌をあげてる

世界一心の強い生き物は多分明日のあなたじゃないか

つけめんを熱盛り一つと頼んだがよくみりゃここは猿の惑星

最高の自分になったその時に永作博美に会いにゆきたい

目覚めるといつも記憶はないけれど好きな気がする女のとなり

中華屋のレジに立ってるフランス人ボンソワールと小声で言った

カラオケに行くか世界に飛び立つか選択ばかりが立ちはだかる夜

ピッコロの声真似してる時だけは優しい気持ちで居られる不思議

心配をすればするほど収入が増えてくのならここは天国

ケツの穴かゆし気持ちは置いといて今日はあなたの悩みを聴く日

緩やかに描くカーヴのお尻しか救えぬ世が今あるやも知れぬ

プレスリーのペースについて行けずに過ぎた日々だけ重ねたブルースを今

卒業と同時に無理に諦めた初恋を今4コマで描く

大は小を兼ねるの言葉を真に受けて作ったビスコ誰が食べるの

辞めどきの無い恋愛を続けてく指さえも口ずさむ2人でずっと

あの時確かに僕は後輩に告白されたが気づかなかった

毒ライオンという無敵の生き物がサバンナで独り嗚咽を漏らす

ゆでたまご全員もらえるキャンペーン新入社員がまた茹で忘れ

定年の親父と鍋をつつき合い無職の俺が悩み聞いてる

トマホーク投げても投げても日がくれぬここはどこだの声がこだます

骨壷の中身を全部俺にくれ還らぬ時間が言葉にならない

野良犬に道を聞かれて立ち止まるそういうものに私はなりたい

エイヒレに群がる子供をたしなめてパナップあげて殴られる夢

コンドームの精子溜まりに家族で住んでるイメージって言えばわかる?

達人と達人同士が語り合う隣の席で達人が見てる

手の甲に乗せたマカロン落とさずに殴り合ってる理想の世界

寿司を食う姿でさえもエロとグロ語りたがる君16才

肩こりと言い聞かせてもがしゃどくろ背中に乗せてる新入社員

天国に持ってお行きと偽ダイヤ死んだインコと同じ量埋め

六人でホットプレート探してるせっかくハラミを持って来たのに

靴下の中に隠したビリケンさんギャングに見つかりWhat is this?

おりこうさんねと頭を撫でられて死んでいく部屋の隅に小さなサボテン

君が居てツノがこんなに長ければなんでもできると思った時代

どうしてもあなたと一緒に居たいのだ出来ればずっと変わらないまま

双子座の今日の運勢調べてる双子座だったら最高なのにな

昨日から涙がずっと止まらないパッキンが多分馬鹿になってる

ホトトギス鳴くも鳴かぬも時の運悟ったふりして鳴いてと祈る

毒メロン食べて痺れて過ごしてる全然余裕二連休だし

騙し絵に女子と男子が隠れてるお互いのこと意識しながら

タイトルも歌詞も知らない洋楽がいつも流れてる嬉しい時に

担任が夢の中でもうざかった起きたら恋に落ちてた昨日

カラーコーン食べても食べてもなくならない夢みたいだね夢だったけど

カナリヤの声録音したカセットを配る転校生貰えない僕

初恋の人は今でも幸せと嬉しい知らせを歌う野インコ

大好きと秘めた心にディレイかけテレパス仕掛ける君異星人

必ずと目を見ず交わした約束の期限は決めないまた会えればいい

兄弟も姉妹も全部引き連れてここは西滋賀ディズニーランド

遠くても太陽みたいなあの人は曇った顔も少し眩しい

死に際の負け惜しみで言うケ・セラ・セラ未練の輝くひとでありたい

ガラス戸を割れないギリの力で押してスリル味わうすることないし

初孫の産声枕にインザスカイ残す遺産とウィザダイヤモン

ぎゅうぎゅうの満員電車で向かい合う俺とあなたの間にチェシャ猫

未来から来たと私に告げたのはポケットのない猫型ロボット

アツアツに熱した小銭をポケットに使う頃には冷めているけど

石造りの道を踏みしめる今まさに歩み覚えたロボと一緒に

彼こそはメイドビキニの発案者墓石に掘られたトリビアを撫ぜる

今日もまた壁を眺めて過ごしてるアリさえ踏めぬ優しさでもって

積みパンをすればするほど食べきれず己の背丈を超える熱量

青空がガストの色に変わってくクルクル回る看板も溶け

いろはすのボトルに花を生けている明日の自分を咲かす発明

可能性が無くてもやると意地を張るゼロの意味などまだ知らぬキミ

ここに居てここに居ないよな僕らだけ炎の中の火を見つめている